Pinot Nero Alto Adige 2013 Franz Haas

トレンティーノ アルト・アディジェ州の赤

更新履歴 2016/06/07
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アルト・アディジェ ピノ・ネロ 2013 フランツ・ハース
《イタリア/アルト・アディジェ/赤/ピノ・ネロ/フルボディ》


アルト・アディジェ地方におけるワイン生産と言えば、比較的組合組織からなる生産者の銘柄が多いのですが、このフランツ・ハースは、1880年にモンターニャ・モンタン村で創業したという老舗の自社瓶詰めの生産者。代々その名である「フランツ・ハース」を襲名るという‥まるで歌舞伎な一家で、現在の当主は1986年から‥7代目のフランツ・ハースさんが取り仕切っています。。

アルト・アディジェらしく海抜240mから800mにも及ぶ高地な斜面に合計60haのブドウ園を所有しており(内自社畑は40ha)、その土壌は大きく二種類の異なる地質が複雑に入り組んだドロミテ峡谷独特の地質だそうです。

アルト・アディジェの土壌は複雑。斑岩や石灰岩が複雑に入り組む粘土質土壌がゆえに様々な品種の栽培を可能にもしてきた背景があるそうです。アディジェ川の西側にあるコルタッチャ村近郊では、カベルネやメルロを。モンターニャ村や、エーニャ村のある東側はピノ・ネロの栽培に適しているそう。トラメーノ村を中心としたトラミネール・アロマティコはその名前の由来にもなっています。

所有(+契約)するブドウ畑はそんなアテジーナ低地のモンターニャ村とエニャ村のチソン山の斜面に点在しています。温暖化の懸念からより冷涼な気候を求め標高850mに達するブドウ園も新たに購入していますが、さらに最近購入したアルディーノの畑は現在のDOC規定では認められていないながらも1,150mに至るブドウ畑も購入したそうです。

1982年から1986年にかけて仕立てをグイヨーに変更するのとともに、株密度をhaあたり6,500本から10,000本から12,500本にまで高めたことはフランツ・ハースの品質の高さに繋がりますね。

他のアルト・アディジェの生産者同様に、赤であれば土着品種のラグレインのみならず国際品種であるカベルネやメルロ、そして絶品のピノネロを‥。白はトラミネールや、ミュラートゥルガウ、リースリングなど、やはりドイツ圏の影響を色濃く受ける品種やシャルドネなどを栽培しています。ボルツァーノは盆地‥昼と夜の寒暖差は大きく、しかも標高の差が激しいのでアルト・アディジェは栽培されている品種も多様になるんですね。


白は混醸のマンナ、赤も混醸のイスタンテがフラッグシップですが、イスタンテはあくまでもボルドーブレンド。単一品種ならピノ・ノワールこそフランツ・ハースの赤の顔になりますね。上級ラインのシュヴァイツァーは希望小売価格9,000円税別と手が出ませんし、正直、飲み比べればはコスパは圧倒的にこのピノ・ネロで十分です。

ピノ・ネロはマッツオン、ピンザーノ、ゴレノ、モンターニャな標高350mから900mまでの多種多様な土壌で栽培されています。ピノ・ネロの醸造はステンレスタンクやロータリーファーメンターなど様々な手法が試されてきたが現在は開放型の発酵層で発酵されています。発酵途中はパンチダウンや、ポンプオーヴァなどの手法が取られ果皮からの香味を抽出しています。発酵後はバリックでの12ヶ月の樽熟成後瓶詰めされます。

2011年以来の扱いになります。2012年は毒味もしてなかったかもしれません。試飲会では、フランツ・ハースの最上級なボルドーブレンドであるイスタンテなんかもありましたし、メルロ単一もありましたが、やはりフランツ・ハースの赤はピノ・ネロですね。

イタリアにはろくなピノ・ネロがないのは事実ですが、フランツ・ハースは違う。他のピノ・ネロが青さがあったり、密度が足りなかったり、まるでガメイのように雑な果実味しかなかったり(語弊あり)、ピノ・ノワールとはほど遠い、しかも、優れたピノ・ノワールとはすでに方向性が違う、違う品種のようなピノ・ネロばかりですが、フランツ・ハースのピノ・ネロはまさにピノ・ノワールです。では、どこのピノ・ノワールか?ブルゴーニュ的でもあり、新世界的でもある。ブルゴーニュ的だなんて、ピノ・ノワール好きからすれば、ヴォーヌ・ロマネっぽいの?ミュジニーっぽいの?ジョブシャンっぽい?なんて聞かれそうですが、そんなのコンセイエのあたくしにはわかりません(←え!?)。

色合いは、ああ、ハースのピノ・ネロだ‥と実感する透明度もあり濃い黒ではないのだが深い赤色。バリックな樽香もあるが、決してすべて新樽ではないのだろうな。樽香も深いながらも上品です。しっかりと熟したイチゴ系ベリー香も密で甘味のレンジが幅広い。同時にマンナも飲んでいるのですが、同じ密度感に感じるのは同じ生産者だから当然ですね。そんな密度ある深い果実味、単一品種ながらも複雑さもある。十分な余韻、旨味があるんですよね。旨味やボリュームに隠された、いや、実は構成を担う酸味はまったくイガイガしない。真っ赤なミネラルで果実味がたっぷり。

いいなあ。やはりハースのピノ・ネロは旨い。北や南‥緯度だけでは計れない。標高もあるしね。北、かつ標高の高いピノ・ネロですが、他のアルト・アディジェのそれはもっとミネラル推しなんだな。冷涼過ぎる。でもハースは違うね。

ピノ・ネロは二種類。こちらは希望小売価格が5,000円税別、シュヴァイツァーと呼ばれる上級ラインは9,000円税別。確かに、シュヴァイツァーは旨いですよ。もう一段の深さと、もう一回りのふくよかさがあります。でも、このスタンダードなピノ・ネロで十分です。

少し、こし餡っぽさもある。重みのある甘味と餡子。そこにベリーの果実達。ベリーな果実が小さ過ぎない。そしてワイルド系ベリーや、一歩間違えば雑に感じさせるようなスパイスも控えめ。果実味の濃さ、密度に洗練を感じる深み。じっとりとフルボディでああ、ピノ・ノワールを飲んでる実感がある。

やっぱり旨い。フランツ・ハースのピノ・ネロは最高、至高!

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