Trebbiano Spoletino 2023 Perticaia

イタリアの白ワイン

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更新履歴 2025/01/16
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トレッビアーノ・スポレティーノ 2023 ペルティカイア
 《イタリア/ウンブリア/白/トレッビアーノ・スポレンティーノ/辛口》

中部イタリアの古い言葉である[Perticaia]は、日本語に訳すと「鋤」なんて聞き慣れない言葉に辿り着きます。「鋤(すき)」とは、幅の広い刃に柄をつけた櫂(かい)状の農具で、手と足で土を掘り起こすのに用いる農具が由来です。

ペルティカイアのブドウ園が発足したのは2000年。同地区にある名高いサグランティーノの生産者であるコルペトローネや、スカッチァディアヴォリでの長年の経験を元に、ブドウ栽培のみならず、ディレクターとして活躍していたグイド・グアルディッリ氏が独立し、興しました。もちろん、これまでも、サグランディーノ・ディ・モンテファルコに携わっていた彼にとって、夢の自身のアジェンダとなる約束の地は、モンテファルコ以外に選択肢はありませんでした。コルペトローネと同じく、ペルージャの南であり、モンテファルコ地区の東に位置すグアルド・カッタネオ地区にあるスカッチャディアヴォリが所有していた畑を譲りうけることになりました。2,5haのオリーブ畑の15haのブドウ畑からスタートとなります。

そんなペルティカイアのブドウ園は、海抜300mから350mの緩やかな斜面の中腹に位置し、南西向きとなります。土壌は水はけのよい小石混じりで、石灰や粘土も混じる複雑な砂質だそうです。低いコルドンで仕立てられたブドウ達は、haあたり5500株の株密度で、ひとつの樹からは、7房から8房までしか実をつけさせない徹底ぶりは、グイド・グアルディッリ氏自身がアグロノモと勤め、きっちりと畑でブドウを見ているから成せる業なのかもしれません。ただし、2018年からは新しくオランダ出身のベッカー氏がアジェンダを購入し運営を行っているとのこと。

現在所有するブドウ畑は50haにまで拡大。モンテファルコの東、カザーレ地区が中心となるようで海抜320mから350m、石灰質を含む年度質土壌で南から南西向きの斜面とのこと。

設立当初は、コルペトローネと同じく、エノロゴに名高いロレンツォ・ランディ氏を迎えてましたが、その後、エミリアーノ・ファルシーニが担当。フラビオ・ベッカー氏の所有となってからは、モンテヴェルティーネなども手掛けるパオロ・サルヴィ氏が担当とのこと(知らんけど)。そんなペルティカイア唯一の白ワインが、僅か2haの畑で栽培されているトレッビアーノ・スポレンティーノ種100%からなる辛口の白ワインなんですね。

ペルティカイアが所有るるスポレート近郊のトレッビアーノは、トレッピアーノ・トスカーノに比べて収穫時期が10月末と遅く、完熟した状態でも酸度が6%から6.5%となります。その酸度の高さこそが長期熟成に向くと言われる所以で、当主グイド氏曰く、ペルティカイアのトレッビアーノ・スポレンティーノの上質かつ豊富な酸とミネラルは長期熟成向き。10年以上熟成させて欲しいと言われつつも熟成させたことはありません。

南東と南向き、海抜320mから350mのの石灰質と粘土な土壌には、haあたり4500本の株密度で、トレッビアーノ・スポレティーノ種が栽培されています。すでに黒ブドウはすっかり収穫を終えた10月末に収穫されたブドウは、不活性ガスの元(酸化を嫌う)丁寧に搾られます。温度管理されたステンレスタンクで、まずは7度で24時間のコールド・マセラシオンの後、13度から14度で約15日間の発酵。そのままタンク内で3ヶ月から4ヶ月熟成され、瓶詰めされます。

2013年まではIGT表記でしたが、2014年から2011年に制定されたスポレートDOCを名乗ります。スポレートDOCはペルージャ県、白はトレッビアーノ・スポレンティーノ50%以上で品種名を名乗る場合は85%以上、度数11.5度以上の規定。スペリオーレや、スプマンテ、パッシートの規定もあり。ペルティカイアでは長らくトレッビアーノ・スポレンティーノはこの1種類のみでしたが、最近は(輸入されてないようですが)セレツィオーネ・デル・ポストというセレクションものもリリースしているようです。

独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味

お馴染みの撫で肩瓶に、ラベル。コルクはディアムではない圧縮タイプの4,5cm。冷蔵庫キンキン温度。表記のアルコール度数が2022年は13,5度でしたが、この2023年は13度ですので(なんとなく)グラスは、シュピゲラウ・ディフィニッションのユニバーサル型で。リンゴの果実香は、皮の色が赤から青、黄色までグラデーション。酸味に寄り添う部分に微かにパイン、柑橘はそれなりにある。奥底に新鮮なバナナ、アロエ。口に含みますと、とてもキレイに冷えてますね(ここ大事)。喉の多くに新鮮さ‥果実味はやはり皮の色グラデーション主体。ミネラルもあるがミネラル押しではないし、苦味もほんのりとしたもの。どこか蜜りんごを思わせる甘味があり、洋梨・和梨も確かにある。新鮮さもある酸味は角が取れてて刺激的ではない。アルコールも13度ですので、膨大なボリュームではありませんが、果実由来の密度がありとても良いですね。少し白コショウと、青さではないハーブの香りがほんのりとあります。全体的に全ての要素はファジーに繋がり複雑。密度とふくよかさに、いい意味でのほどほど感があり、とても飲みやすい。千差万別、ピンキリのトレッビアーノ界隈の中でもピンのひとつだし、個人的には(毎度書きますが)ヴァレンティーニのトレッビアーノよりも上。まず、クリアでなければなりませんからね。再発酵も許しませんよ。金目鯛やノドグロの炙り…に、レモンを絞る感覚で‥。それらの脂も流してくれるような気がします。昨年も書きましたが、豚ミンチの白いラグーや、焼き鳥を塩で‥もいいですね。野菜というよりも、白身の魚や、お肉の脂との相性が良さそうです。

全体的なバランスがいいんですよね。そして不足感がない。でも過剰な重さや厚みでもない。大抵のトレッビアーノは不足感という瑞々しさを水代わりに飲むタイプですが(語弊しかない)、ペルティカイアのトレッビアーノ・スポレティーノは、白ワインとしてモロモロを兼ね備えています。ただ、悲しいかな、知名度低い産地、造り手、ネガティブになりがちな品種でそれをやってのけてることに評価してるの俺だけなのが力不足ですんまへん。

二日目も冷蔵庫キンキン温度。グラスは、シュピゲラウ・ディフィニッションのユニバーサル型。柑橘もクッキリしてくるんですが、パインの風味も。アルコールに頼らない程よい密度とボディ。温度が上がった方がボディは感じやすいですが、キンキンでも閉じ感のない香味がとてもいい。酸味と苦味も程よい。全部が程よいですが、メリハリのあるバランスでとてもわかりやすい。カキフライでもいいな。ソースではなく、塩レモンで。フライではなく、蒸しや焼き牡蠣でもいい。果実の香味がハッキリしてるんだけど、ミネラルもあるから牡蠣が欲しくなるんだな。クリーム系ではないかも。それにしてもトレッビアーノとして秀逸、ヴァレンティーニと違いm、清潔感あるクリアな酒質はもちろんですが、トレッビアーノって単体でもこれぐらい複雑さ出るの?というのは目から鱗のはず。アドリア海沿いのチープか、サイボーグみたいなトレッビアーノは本当のトレッビアーノではない。だからって、このトレッビアーノの特別さは数本目にして、他を比較してわかる程度かもしれませんが、あたしゃとっくにわかっとる。


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