Sassicaia 2021 Tenuta San Guido
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サッシカイア 2021 テヌータ・サン・グイード
《イタリア/トスカーナ/赤/カベルネソーヴィニョン85%、カベルネフラン15%/フルボディ》
マリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏(現投手のニコロ・インチーザ・デッラ・ロケッタ氏の父)が、シャトー・ラフィット・ロートシルトから苗木を譲り受け、ボルゲリの地でブドウ栽培を始めたのは1940年代とのこと。公式な初ビンテージとなる1968年までは、自家消費用のワインだったそうです。当時は2haの畑から5,000本程度の生産本数だったとか。
その後のサッシカイアの名声はご存知の通りで1994年には、スーパートスカーナとしてVdT(ヴィノ・ダ・ターボラ)として生まれながらも、遂に単独DOC『ボルゲリ・サッシカイアDOC』を名乗ることになります。現在は90haのブドウ畑から、サッシカイアは約20万本生産しています。約20年前の1995年ビンテージあたりは5万本だったそうですから、4倍になったわけですね。その名声の高まりとともに世界的な需要も増えたことでしょう。その期待に応えるためには、畑を買い増ししなければなりません。当時のボルゲリならば、まだそれも可能だったのかもしれませんし、元々、オリーブ畑だった場所がブドウ畑に開拓された場所もあったでしょう。現在はサッシカイア以外にも、レ・ディフェーゼやグイダルベルトも生産しているわけですが、基本的にサッシカイアのセパージュ比率はカベルネソーヴニョン85%、カベルネフラン15%は、初リリース時から(ほぼ)不変だそうですし、ジャコモ・タキスの監修、レシピもいまだに(ほぼ)守られているとのこと。
畑が増えると平均樹齢も下がるでしょう。しかし、そこを新しいワインを作るなど調整してきたのでしょうね。もちろん、当時と今とでは、ブドウ栽培に関する技術は手法も飛躍的に‥となると、サッシカイアとしての品質を保ちながら増産が可能になったのだと思います。1995年当時の希望小売価格は不明ですが、生産本数が4倍になれば、希少性は1/4になる‥なんて単純ではないはずですが、希少性が下がっても、価格は上がるんですよね。お金の話で申し訳ないのですが、そこまで値上げになるともういいや‥とならないギリギリのラインを保ちながら、サッシカイアってそれぐらいするよねーの「それくらい」を、知らぬうちに徐々に、わからんように上げてくるあたり、ビジネスとしても成功したのかもしれません。もちろん、コスパだけで計れない「特別ななにか」を持つからこそサッシカイアなわけですが。
現在のエノロゴはグラツィアーナ・グラッシーニ(Graziana Grassini)女史。彼女の公式サイトには、ジャコモ・タキスの紹介もありますから、ジャコモ・タキスの元でエノロゴとしての経験を積んだ方なのだと想像します。テヌータ・サン・グイード以外にも手掛けている生産者は複数あるようですが、特に著名な生産者がいるわけでもないのはそれなりに志もあるのだと思います。ついつい、ジャコモ・タイスや、ジュリオ・ガンベッリなど伝説的なエノロゴの名前を亡き後もまるで手掛け続け続けられているような情報が氾濫していますが、その志とともに継いだ者が手掛けていたとしても、進化もあって当然、経費を評しつつもいつまでも、レジェンド達の名前を前に出すのはそろそろ止めるべきかもしれません(自分にも言い聞かせています)。なお、アグロノモはヌコラ・ポリーティ。
「サッシ=石」「カイア=な場所」の名前にもあるようにボルドーはメドック地方に似た土壌は、サンジョヴェーゼではなくカベルネソーヴニョンに最適と判断したんですね。2021年は9月の第一週にカベルネフランの収穫を開始、その後、標高の低い畑からカベルネソーヴィニョンの収穫が開始され、9月の最終週までには全ての収穫を終えました。十分な選果の後、ソフトプレス、28度から29度に温度管理されたステンレスタンクでのアルオk0ール発酵は11月の第一週まで続き、その間、デレスタージュとモンタージュを繰り返し香味を引き出します。タンクないでは自ずとマロラクティック発酵が始まり、12月の上旬には終了。新樽40%、一年落ち40%、二年落ち20%のフランス産のバリックで24ヶ月の熟成。清澄のあとアッサンブラージュされて瓶詰め。
ワインアドヴォケイト/100点(M.L.)
Here it is: A quintessential Sassicaia that represents the excellence of the vintage and also respects the unique taste profile of this distinguished Tuscan blend of Cabernets Sauvignon and Franc. The Tenuta San Guido 2021 Bolgheri Sassicaia offers impeccable balance, excellent freshness and absolutely no signs of over-ripeness. The fruit balance is ideal with a hint of crunch and lasting tension from pulp and skins. The tannins are deftly managed with firm grip and enough velvetiness to add volume and length. There is no greenness on the bouquet that instead offers mulled herbs and spice, with cinnamon and clove, layered delicately between mostly red and some purple berry fruits. Redcurrant, blueberry, sweet pomegranate and Rainier cherry run strong in this vintage. A fragrant hint of heritage rose emerges with time. The oak tones are geared toward gingerbread, hazelnut, cigar, sandalwood and something like a grilled sweet red pepper. To the palate, it offers nice weight with no heavy glycerin, and a rinse of acidity that adds to the wine’s natural energy, brightness and viscosity. That marked freshness opens the wine up to long aging potential, but you still need to give it more time in bottle.(1/2024)
ヴェロネッリ/100点(G.B.)
ヴェロネッリ/ソーレ
ヴェロネッリ/年間最優秀赤ワイン
Here it is, the new Bolgheri Sassicaia, the 2021, the wine that constantly manages to amaze, to take us by surprise so much that we always seem unprepared for its presence. Will we be able to grasp its subtleties, those details that make it magical and mythical so much so that it is the most "clicked" Italian wine in the world? There is no wine site that does not celebrate it, that does not sing of it as a jewel of extraordinary brilliance: it is its astonishing personality, mysterious and therefore increasingly fascinating. Do not try to describe it, neither to yourself nor to others, you would only disappoint. Listen to it in silence and enjoy it in the glass; breathe in its inebriating scent for a long time, feel it descend into your throat rich in flavors now Quiet, now lively, always caressing. Savor again the traces it will have left in your mouth. Do not ask yourself how and why: it is only magic.
デキャンター/99点-100点(A.B.)
In 2021, ‘we had a nicely paced harvest... surely a very fortunate vintage for us, for Bolgheri,’ said Priscilla Incisa della Rocchetta at the launch in London of the 2021 vintage of Sassicaia. Welcome rain in mid-August came at just the right time to save the harvest, and production ended up being slightly higher than in 2020. Around eight to 10 separate vinifications were made, fermented in stainless steel with indigenous yeasts and spontaneous malo. The wines were racked to second- and third-use barriques in December 2021, then racked into a mixture of new and used barriques in March 2022. The last step was to make the final blend in stainless tanks, where the wine underwent micro-oxygenation before bottling and further maturation in bottle. Rich dark fruit and herb aromatics are pockmarked by blueberry and petrichor, leading into an intense and vertical palate that's super-fresh with a delightful breezy, saline character. Textured, integrated tannins emphasise the refinement of Sassicaia, showing just a touch of youthful dustiness. Tangy, bright black, blue and red berry fruits overlay underlying hints of dark chocolate and forest undergrowth in a remarkably precise fashion, with pomegranate and a stony minerality surfacing on the mid-palate. 2021 demonstrates lovely sapidity of fruit along with that characteristic freshness and lightness of step, finishing long and poised. Superb.(2/2024)
ジェームス・サックリング/98点
Very classy and typical of Sassicaia with currant, tobacco, chocolate, sage and lavender on the nose and palate. Medium- to full-bodied with very integrated and refined tannins that are caressing and pretty with a lovely length and beauty. Such finesse and structure at the same time.(2/2024)
ヴィノス/98+点(A.G.)
The 2021 Sassicaia is one of the best young Sassicaias I can remember tasting, certainly on par with anything in recent memory. The preference here is picking on the earlier side relative to many neighboring properties, which is one of the reasons Sassicaia is always a wine of refinement more than opulence. At the same time, Sassicaia can be light. Not in 2021. All the elements came together during a long growing season to produce a rich, deep wine that marries textural intensity with classicism. Dark cherry/plum fruit, spice, new leather, menthol, licorice and spice all race across the palate. Time in the glass brings out the wine's textural intensity and sheer power. The 2021 is one of the most concentrated Sassicaias on record. That allowed for long macerations, as long as 20 days for some Cabernets. Aging was 25 months in French oak barrels (95% French, 5% a mix of Hungarian and Slavonian wood), 40% new, 40% once-used barrels and 20% in twice-used barrels. One of the recent developments here is some bâtonnage in aging, which is used to build texture. That approach worked well in 2021. In a word: magnificent.(2/2024)
ジャンシス・ロビンソン/18+点(J.R.)
85% Cabernet Sauvignon, 15% Cabernet Franc. Aged for 25 months in 225-litre barriques. Mid to dark crimson but no attempt to break any records for colour intensity. Much subtler nose than most – no obvious sweetness and certainly no oak. Savoury and saline and introvert. All tucked in for a long life. Bone-dry finish. So different from Ornellaia! Neat, confident and non showy. But so well balanced and appetising that I swallowed it! 18+/20 points (2/2024)
サッシカイアは、あのロイヤルブルーと茄子紺の間みたいな、名付けて「サッシカイアブルー」の紙巻となります。輸入元にもよりますが、日本で一旦紙巻も外して日本仕様のバックラベルを貼り付けて、巻き直す場合は、紙巻きはおまけ程度でお願いしたいのですが(破れてることも多い)、エノテカさんの場合はね、きっとバックラベルは輸出国に合わせて現地印刷、現地貼り、その上から紙巻きしてあるのでは?とあくまでも想像ですが、しっかり巻いてあるのが好印象です。そんな紙巻きをはずすとお馴染みのらべるですが、良くも悪くもDOCになったのは違和感ありますね。元祖スーパータスカンなのに、VdTでもIGTでもないんですから。しかし、そこは下剋上的に出世したサッシカイアの単独DOCと思うと、うん、ありです。オリジナルボトルはボトル下部に「TENUTA SAN GUIDO BOLGHERI」の、肩部分に「SASSICAIA」の凸モールドがあります。瓶底の凹みは平均的。コルクは5cmで、特別、極上というわけではありませんが、まあまあ良いコルク。グラスはシュピヴェラウ・ディフィニッションのボルドー型です。ちなみに表記のアルコール度数は14度となります。
甘みのあるバリックと、甘味のある果実香があるんですが、濃密なんだけど派手じゃないんですよね。2021年にしいて14度の度数も、グッと抑えたわけではなく、アベレージの高さかもしれません。樽のローストや、スモーキーな香り、ヴァニラもあるのですが、果実香を邪魔することはありません。長らく、ボルドーの五大シャトーは飲めてませんので、比較はできませんが、過去に経験してきたサッシカイアの系譜はヒシヒシと感じます。香りに籠りや閉じは感じず、今飲めるはず‥という期待がよだれ誘発しちゃうんですよね。
口に含みますと、うーん、キレイなカベルネなんですよ。カベルネ特有の青さはありますが、複雑味の要素のひとつで支配的ではありません。輪郭からすでに角が取れ、スルリとした印象ながら、その内側にある重すぎない鉛感あるミネラル、全体的に密度を感じつつも無理がないのがいい。無理に濃くしたようなワインじゃないんですよね。これが、30万本弱生産させていることに驚き。どんだけ恵まれてるんだよ‥という話です。少量生産のワインは特異点ではいか、そこに価値はもちろんあるんだけれども。
渋味、酸味ともに洗練されている。
今のんでめっちゃくちゃおいしい。
あー、早まったとは思わないはずでよ。
熟成の余地はもちろんある。でも、熟成するとこの感じはなくまりますね。その代わり得る要素も多いかもしれません。できれば、こんなビンテージだからこそ、「今」と「熟成後」を経験して欲しい。
中盤に冷ややかな石灰系ミネラルの風味があるし、微かなチョコレート、深いながらも濃いわけではないベリー系の果実味、うん、青さが前じゃないのがとてもいい。舌に残る味わいの強さ(あくまでもレベル)は余韻の長さと比例する。まだ、バッセン直後の一杯目なんですけど。
ジャンシス・ロビンソンの評を読み返すと納得(笑)。
(オルネッライアとは違う!)
おお、正しくその通りなんだけれども、オルネッライアはオルネッライアで良いワインなんでしょ。こういう例えは危険ですがオルネッライアは男性的、サッシカイアは女性的、あかんか、今はこういう例えは‥。
「タイト」さと「ふくよかさ」が両立しているとも言える。媚びることのないスタイル、いやあ、感服しちゃう。非常においしい。
二日目もシュピゲラウ・ディフィニッション、ボルドー型グラスです。ヴァニラな樽香はあるのですが、決して派手じゃないのは初日同様。熟したベリーやブラックチェリーの果実香もしっかりあり、渋味と結びつくスバイスもキメが細かい。香りのレベルはさらに濃密で、奥深くなりましたね。外交的で華々しい開きもあるのですが、ほとんどは、内側へ沼のように深みに包まれるような開きです。濃密なんだけど、エキスではないし、アルコール度数14度がほんと素晴らしい。カベルネ系の杉の香りが尚更、重過ぎない要素かもしれませんが、腹落ちするような飲みやすさ。まとまりや、一体感はありますし、バランスも良好ですが、その先を期待させる部分も確かにある。いやあ、今、この状態以上を期待するのもどうかと思いますが‥。5年以内なら、そう変わらないでしょうし、10年以上熟成させるならHOLDでもいいかもしれません。もちろん、その気になるなら20年以上となりますけどね。
炭っぽさもカベルネ系のタンニンに通じる部分かもしれませんが、ローストの風味は強くはない。甘味だってそう。アルコールの甘味やエキスの甘味は抑えめだから上品。※オルネッライアが下品だと言うてるわけではありません。また、二日目の方が酸味や渋味の輪郭はくっきりとしてきますね。これも抜栓したてからの波のひとつです。初日はワイン単体で、この二日目は何か食べたくなりますね。
三日目もシュピゲラウ・ディフィニッション、ボルドー型グラスです。ブラックチェリー、樽の風味は随分と溶け込みました。カベルネのタンニンのカーボン、旨みもありなめらかですが、クドさがない。何杯でも飲めてしまうかもしれないな。落ち着いたビンテージの古酒のサッシカイアを彷彿しますね。そうそう、5年か10年経過したらこんな感じ。こうなると、またワインだけで楽しみたくなりますね。サッシカイアってのはね、おいしくて当然で、やっぱりおいしい。30万本も生産してるのが信じられない。小さな規模が評価されるのもわかるけど、これを30万本造れるんだから、相当恵まれた土地に、恵まれたブドウがなり、おいしいワインを造る技術、手法が確立されてるんでしょうね。それを工業的に感じるとすれば、ちょっと違うんだけどな。
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