Ciampagnis Chardonnay 2017 Vie di Romans
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チャンパニス・シャルドネ 2017 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/シャルドネ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。
17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
2017年のビンテージ情報
2017年ビンテージは、2016年に似た気候となり晩熟なブドウ品種でもしっ
かりと収穫を待てる気候となりました。春にはほとんど雨は降りませんで
したが、4月下旬に訪れた氷点下3度の寒波を乗り切るために畑で火を焚く
など、緊急措置を施したおかげで被害は最小限に抑えることができました。
以降は安定した気候が続き7月下旬から8月上旬は例年よりも寒暖差が少な
い非常に高温な日が続きましたが、8月中旬からは例年通りの理想的な寒暖
差が続き、収穫時期も雨に困ることはなくブドウはしっかりとフェノール
熟成ができ、香り高いワインになったビンテージです。
ヴィエ・ディ・ロマンスの熟成樽に関しての追加情報
西野嘉高もテクニカル情報を書きながら気になっていたのが熟成樽の容量の
情報なんですね。225Lと228L‥その3Lの違いに何があるのか?輸入元さんか
ら回答が来ましたので追加情報として記載しておきます。
樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボル
ドータイプである225Lの樽のが異なるそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマン
スではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカ
ー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めて
しまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入する
ことになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメ
ーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないと
のことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
海抜32mに位置する約5,43haのチャンパニスの畑。2015年は約5,43haと記載しましたが、2016年の公式サイトの情報では約7,83haに拡張されています。2017年の情報はまだ更新されておりません。2016年は2015年と比較しても24年から16年に変更されていますので、植え替え、増畑があったのかもしれませんね。
約8度に温度管理されたステンレスタンクでのコールドマセラシオンの後、16度から19度に温度管理されたステンレスタンクで約16日間のアルコール発酵。マロラクティック発酵は施されず、澱と接触されたまま9ヶ月の熟成を経て瓶詰め。9ヶ月以上の瓶熟成期間を経てリリースされます。
アルコール度数は2009年が14.31度、2010年が13.84度、2011年は14.27度、2012年は14.40度、2013年は13.93度、2014年は13.20度、2015年は13.50度、2016年は14.03度、この2017年は13.5度となります。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのラベル、2017年は四本目ですが、例年よりも少しコルクが荒く硬い印象。まあ、悪くはないんだけどね、コルクメーカーも数社と付き合いその年に良かったものをと聞いておりますが、今年は弾力感はあまりない感じです。冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのブルゴーニュ型。表記のアルコール度数は2016年よりもちょっと低めは2017年の特徴かな。さすがに樽ドネよりも色はクリアでレモンイエローな感じ。ああ、この香りがチャンパニスだなあ‥と、思うのは駄菓子のパイン飴的なパインとその甘味。香りにミネラル、みずみずしさを感じますが、果実香の密度はしっかり感じますね。白い果肉は、もう一歩で熟れる洋梨や、白桃、チャンパニスらしい甘味のある果実香はキンキン温度で閉じ感がありません。口に含みますと、旨味があり、思ったよりもボディ感がある。そして、思ったよりもドライな辛口‥と、感じるのは終盤のほんのり苦味かもしれません。そうハーブ香が前なわけではないし、シャルドネらしい酸味もしっかりとある。もちろん、味わいにもミネラルを感じてますけどね。ソリッドとまでは言わないが、ヴィエ・ディ・ロマンスらしいシャルドネの表現、樽がないから、やっぱりソリッド。
すでに旨味があり果実感がジューシーなのは、ピエーレやフロールスと同じ。でも、チャンパニスはそれらほどジューシーではないし、華やかさも大人しめ、それは終盤のほんのりと、そして主張のある苦味も関係しているかもしれない。
ああ、温度やね‥そらそやね‥。ちょっと上がってきたらめっちゃうまいわ。まろやかさ、しっとり感でてくる。少しまとわりつくような粘性すら感じる。ゆっくりと喉を流れて、旨味とともにもどってくる。ああ、うまい。こうなるとパイン飴はおとなしいけれども、非常にシャルドネの果汁感が溢れる。口先から余韻まで、確かにジューシーだ。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのブルゴーニュ型です。初日同様パイン飴、モモ、少しアプリコットの風味もありますね。ヴィエ・ディ・ロマンスらしい甘味を感じ、もちろん、樽の要素のないシャルドネ。飲み口に皮の色の濃い柑橘の果汁、マンゴー、旨味もありますが、酸味と苦味がとても心地よい。
三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのブルゴーニュ型です。特にサイズダウンする必要はないと思います。やや香りは二日目よりも大人しくまとまりつつありますが、旨味が出てきましたね。旨味と酸味の関係がとてもいい。最後の苦味が酸味とともに引き締め効果があるから、ピエーレやフロールスほど目立ちませんが、やっぱり果汁のジューシーさがありますね。滴り、溢れるような果実味が特徴。ザ・シャルドネというよりも、ザ・ヴィエ・ディ・ロマンスのシャルドネであるのも間違いはなく、樽ドネとともに、シャルドネらしさと、ヴィエ・ディ・ロマンスらしさが両立できているんだな。
いい意味でピエーレやフロールスよりも食事向き。白身魚(にしの家ではパンガシウスとかタラとかね)のレモンバターソースなんかいいかもしれません。
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