Dessimis Pinot Grigio 2018 Vie di Romans
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デッシミス・ピノ・グリージョ 2018 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ピノ・グリージョ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。
17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
2018年のビンテージ情報
ここ20年で特に暑かったビンテージ。冬は長く、雨がちで低い気温と日が続
きましたが、極端な気温の降下は見られませんでした。寒い冬の影響で発芽
は過去2年と比較すると10日ほど遅れましたが、穏やかな気候の時に発芽を
迎えることとなり、すべての品種の発芽がほぼ同時期となりました。また、
冬の間の降雨で土壌は十分な量の水分を蓄えることができました。4月、5月
と気温は上昇し、7月、8月では一週間続いて高い気温を記録することがあり、
35度を超える日もありました。総合的にみると発芽は過去2年より遅れて始ま
りましたが、その後の温暖な気候により開花、成熟を早期に迎えることがで
きました。結果、果実は実が詰まっており、安定した収量を確保することが
できました。2008年のように熟成ポテンシャルを持つ、パワフルかつバラン
スの良いワインに仕上がっています。
ヴィエ・ディ・ロマンスの熟成樽に関しての追加情報
西野嘉高もテクニカル情報を書きながら気になっていたのが熟成樽の容量の
情報なんですね。225Lと228L‥その3Lの違いに何があるのか?輸入元さんか
ら回答が来ましたので追加情報として記載しておきます。
樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボル
ドータイプである225Lの樽のが異なるそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマン
スではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカ
ー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めて
しまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入する
ことになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメ
ーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないと
のことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
海抜34mに位置する約9,05haのデッシミスの畑。平均樹齢は21年となります。2018年8月21日、23日、24日に収穫。収穫されたブドウは、約8度に温度管理されたステンレスタンクでのコールドマセラシオンの後、16度から19度に温度管理されたステンレスタンクで14日から20日間のアルコール発酵。マロラクティック発酵は施されず、澱と接触されたまま新樽比率20%のバリック(50%は225リットル、50%は228リットル)で10ヶ月の樽熟成を経て2019年の8月2日、3日、5日に瓶詰め。9ヶ月以上の瓶熟成期間を経てリリースされます。
アルコール度数は2009年が15.56度、2010年が14.21度、2011年が15.00度、2012年は15.23度、2013年は14.66度、2014年は13.20度、2015年は13.8度、2016年は14.92度、2017年は14度、2018年は14,94度となります。
数年間まではもっと赤味がかった色を持つピノ・グリージョでしたが、この数年は淡さを感じる薄いピンク色。スキンコンタクトによる色の抽出と思われがちですが、決してそうして色が付いているわけではないそうです。ピノ・ノワールの亜種のひとつであるピノ・グリージョが完熟すると、ブドウ果皮の色がしっかりと果汁に伝わり、スキンコンタクトをせずとも果汁に色が付くそうです。また、搾りたてのモストから酸化が進めば透明に近づくそうですが、ヴィエ・ディ・ロマンスでは酸化を嫌う為に搾りたて同様のピンク色が保たれるそうです。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのラベルデザイン。コルクはなかなかの質の5cm。冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムXLのピノ型です。バックラベルに記載のアルコール度数は14度と2017年と同じ。この数年、デッシミスらしいほのかな赤味を帯びた色合いも安定して見えます。こういう色合いのロゼもないわけではないが、レッキとした白ワインになります。それにしてもすんごい色してますけどね。まあ、これを最近はオレンジワインって呼ぶのかな‥嫌だなあ。でもラマート(銅)ではありませんね。やっぱり夕張メロンやスイカの果汁のさらに濃い色合いになります。熟れたマンゴーと夕張メロン、アプリコットに密度があり、ミックスフルーツのタルトでもある。香りからも酸味は感じているので、だれだれとはしていない。口に含みますと、口の中を満たす果実味はもちろん膨大ですが、やってきましたブラッドオレンジの要素、終盤に苦味を伴うクッキリとした赤い果肉果汁の柑橘の酸味が効いてくる。
しっかり果実味に熟度を感じ、重みもあるのですが、この酸味と苦味がとてもいい。ミネラルも感じるが、前ではなくこの特徴あるフルーツ達を邪魔しない。柑橘はブラッドオレンジだけではないが、皮の色の濃いオレンジや、ピンクグレープフルーツ感がやはりある。苦味もそこから。すでにバランスよくまとまっており、いきなり美味しい。苦味も感じるので、カンパリやアペロールちっくさがこの2018年も感じられるが、このワインのキモは苦味かもしれないなあ(もちろん酸味は大事だけれども)。樽ドネよりもより樽の風味に馴染みを感じますね。
甘味もあるんだけど、酸味に爽やかさがあるんですよね。それはフレッシュさでもあるんだけれども、新鮮な‥ハーブというほど青くはないからなかなか例えが思いつかない。それにしても猛烈にして強烈な個性、ヴィエ・ディ・ロマンスの裏番長というか、番長だな。こういうのはワイン単体で飲むのがいいし、これを白ワインだとサービスするのがおもろいんだな。ピンクグレープフルーツと、ブッラータのインサラータなんかどうでしょう。新鮮なフルーツトマトもあってもいいし、パスタやセコンドもトマトの使いようでなんとかなるけれども。あれだな‥トゥールダルジャンの鴨肉のオレンジソースみたいなのをブラッドオレンジでするか、ピンクグレープフルーツでしたらええわ。
温度が上がると旨味がグンと深くなる。でも、クリアなミネラルがそこで生きてくるね。酸味や苦味がイガつくこともなくどの温度帯でも美味しく飲める。いつもデッシミスを飲むと、ついチャントンスと被る要素を思い出すなあ(遠い目)。やっぱりデッシミスのこの個性、うまいですね。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムXLのピノ型です。二杯目を注いだら、残りわずかに‥あ、初日ちょっと飲みすぎたのかな。それぐらいスムーズだし、複雑な香味を確かめるために、ついつい‥だったんだな。発酵に関しては樽ドネのように一部樽発酵の情報はないんだけど、そうかもしれないなあ‥という感じの樽の風味。例年よりも酸っぱい‥という意味ではなく酸味が効果的。苦味とのコントラストもいい。重さと濃さをそう感じさせないミネラルと酸味、苦味。でも、複雑な香味があり、でもでも、とてもスムーズに飲めてしまう。もっと濃く感じさせるビンテージもあるけれども、この2018年のバランス、とてもいい。
旨味があるねえ。赤い果汁の柑橘の旨さ、赤い果肉の果汁がまろやかにもしてくれる。味わいは力強い。でも、酸味と苦味、ミネラルがありそっちばっかりじゃない‥という複雑な飲み口。うまい。
三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムXLのピノ型です。最後の(少なめの)一杯ですので、グラスを小さくしてもよかったのですが、このグラスでもイケるだろうという読み。香りは相変わらずですねえ。白桃やスモモの風味もありますね。樽の香味も初日から一貫したレベル。気持ち二日目よりもミネラルを強く感じるんだけども、これは、グラスに対しての量が少ないからかな。酸味なども二日目と同じ。三日目も絶好調の個性的な色合いと複雑な香味。フレッシュなブラッドオレンジとピンクグレープフルーツのむき身とブッラータの前菜なんかあればいいなあ。この色合いに合わせたような火入れの豚肉、オレンジのソース。家だとなかなかできないけどねー。2018年もいいですよー。
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