Piere Sauvignon 2020 Vie di Romans
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ピエーレ・ソーヴィニョン 2020 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ソーヴィニョンブラン/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。
17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
2020年のビンテージ情報
極端な気候がなく、 全体的にバランスよくお手本のように熟したブドウが
収穫できたビンテー ジ。 シーズン初期の乾燥した気候により、 房の数が
少なくなりましたが、6月の降雨と気温の変化のおかげで開花は順調に進み、
房の成長が促されました。夏の気候は穏やかで、有機酸、糖の素晴らしいバ
ランスを保ったまま成長しました。アロマの成熟により、個々のブドウ品種
の個性がより顕著に表現されたヴィンテージとなりました。時間経過による
進化も期待でき、このヴィンテージが持つ真の高貴さが現れることでしょう。
ヴィエ・ディ・ロマンスの熟成樽に関しての追加情報
西野嘉高もテクニカル情報を書きながら気になっていたのが熟成樽の容量の
情報なんですね。225Lと228L‥その3Lの違いに何があるのか?輸入元さんか
ら回答が来ましたので追加情報として記載しておきます。
樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボル
ドータイプである225Lの樽のが異なるそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマン
スではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカ
ー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めて
しまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入する
ことになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメ
ーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないと
のことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
1981年、1984年、1997年、2002年にhaあたり6000本の株密度で植樹されるピエーレ畑は12,5haの表記となっており、2016年の11.45haよりも畑が少し増えた模様。平均樹齢は18年となっています。
ソーヴィニョン・ブランのステンレス仕上げがこのピエーレとなりますが樽熟成されるヴィエリスとの違いは醸造方法のみならず、畑の土壌の違い=ソーヴィニョン・ブランのクローンの違いとなります。ピエーレとなるソーヴィニョンブランは、イタリアのクローンで粒が大きく房が小さい"R3"と呼ばれるタイプ。粒が大きいので果汁に富み、香り豊かで酸もしっかりしたもの。ヴィエリスで栽培されているのはフランスのクローンで粒も房も小さいタイプ。粒が小さいということは、果汁に対する皮の比率が大きくなり皮からの香味成分が豊富でパワフルでボリュームがありそれを熟成させるワインに仕上げるには樽が必要とのこと。
「ピエーレ」は「石」という意味で、砂利や小石を含む、赤味がかった肥沃な泥粘土質土壌で海抜33mに位置します。2020年は9月3日から5日、7日と9日に手摘みでの収穫。ステンレスタンクで約8度でのコールドマセラシオンの後、16度から19度に温度管理されたステンレスタンクで23日間のアルコール発酵。マロラクティック発酵は行われません。澱と接触させたまま約8ヶ月間ステンレスタンクにて熟成され、2021年の3月25日から27日に瓶詰め。9ヶ月以上の瓶熟成を経てリリースされます。
アルコール度数は、2007年は15.06度、2008年は14.8度、2009年は14.84%、2010年は13.82度、2011年は15.24度、2012年は15.27度、2013年は14.91度、2014年は13.08度、2015年は13.90度、2016年は14,76度、2017年は14.5度、2018年は15度、2019年は14,19度、2020年は14,52度となります。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのヴィエ・ディ・ロマンスのラベルですね。コルクはなかなかの質の5cm。冷蔵庫キンキン温度、グラスは、ザルトのユニバーサル型です。軽く黄緑色がかったレモンイエロー。ちなみに温度は6,6度。まだ温度が低いので香りはやや控えめですが、ピエーレらしいソーヴィニョンのハーブの香りと、柑橘を主体に少し白い果肉果汁感のある果実香の両方がいいですね。ひとま口に含みますと、分厚いミネラルの層の内側には、みっちり密度感のあるソーヴィニョンの白い柑橘の皮やハーブの風味がある。しっかりとドライで分厚さとシャープさの両方がありますね。よく切れる出刃包丁という感じかな。この2020年の毒味前に、2019年を飲んでいますが、温度も関係もありますが、まだ2020年は新鮮で少しミネラル硬さがある。ただ、2019年も最初はそうだったので、時間経過とともに旨味などもでて深みが出るのだと思われる。2019年は14.19度、この2020年は14,52度と、0,3度程度アルコール度数は上がってますが、そう意識させるものではありません。
温度を14度まで上げました。うん、旨味も出てきますね。そしてクッキリしたシャープな酸味も際立ってます。唾液を誘発するようなおいしい酸味があり、密度感も十分ありますね。終盤のほんのりとした苦味が余韻にも表現されています。二杯目を注ぎ足して温度は12度。柑橘は基本、黄色の皮なんですが、香りの中にはどこかオレンジの皮、マンダリンのような温かみのある柑橘の風味もある。柑橘のグラデーションが結構あるんですよね。つまり複雑さがあるということです。グンとボディ感が出てきました。でも、しっかり酸味があって疲れない。思ったほどアルコール感が増した感じはありませんね。
二日目は飛ばして三日目です。冷蔵庫キンキン温度、グラスはザルトのユニバーサル型。温度は9度です。香りは初日よりもグンと開いてきましたね。ピエーレはソーヴィニョンの個性はもちろんあるんですが、どこかクリーミーさもあって、トゲトゲしい感じのソーヴィニョンではないんですね。生のバジルというよりも、バジルソースな感じ。少しオリーブオイルの風味があるようにも思います。どこか香りにもなめらかさがあるわけです。口に含みますとレモンやグレープフルーツの果汁感があり、ミネラルも出しゃばらないのがいい。三日目ですが、まさかヌケもオチもありませんよ。旨味もでてきて余韻も長いですが、サッパリさは持ち合わせてるから飲みやすい。
三日目から夏休みだった‥orz。ということで初日から一週間後(つまり8日目)ですが、二日目までと同じバランスを保ちながら、全体的に軽さが出てきてますね。いい意味でヌケもあるんですが、バランスを保っているので、穴が開いた感じじゃない。全体的に密度、球体の中に均一にヌケた感じがあり軽快に感じます。これはこれでおいしい。さすがソーヴィニョン、アロマチック品種らしく、香りもちゃんと残ってるしね。ヴィエ・ディ・ロマンスのワインを8日前まで引っ張ったことがなかったのである意味新鮮、そう、新鮮さも8日目も持続していますね。酸味も、まさか酸っぱくなったりするわけではない。ほんと初日のバランスを維持して全体的に軽やかになっている。そんな感じ。
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