Flors di Uis 2016 Vie di Romans
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フロールス・ディ・ウィス 2016 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/マルヴァジア・イストリアーナ55%、リースリング・レナーノ34%、フリウラーノ11%、/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。
17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
2016年のビンテージ情報
年明けから平均年よりも暖かくなり、結果的に発芽が少し早まりました。
春の後半からは雨が降り出し、5月下旬から6月中旬にかけて20日間続けて
降雨がありました。その後、気候が回復し、日中の気温は30度を越え始め
収穫期まで安定した気候が続きます。温暖なビンテージとなりましたが、
昼夜の寒暖差もしっかりあり香りの熟成、タンニンの熟成も良く、完熟し
たブドウを収穫できました。ワイン全体の出来は素晴らしく、味わいも豊
かで香りには太陽の温かみがかなり感じられます。オーナーのジャンフラ
ンコ氏もワインの出来には非常に満足しており、自身が作った年の中でも
素晴らしい年のひとつと語っています(ほんまかいな)。
ヴィエ・ディ・ロマンスの熟成樽に関しての追加情報
西野嘉高もテクニカル情報を書きながら気になっていたのが熟成樽の容量の
情報なんですね。225Lと228L‥その3Lの違いに何があるのか?輸入元さんか
ら回答が来ましたので追加情報として記載しておきます。
樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボル
ドータイプである225Lの樽のが異なるそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマン
スではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカ
ー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めて
しまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入する
ことになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメ
ーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないと
のことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのラベルデザイン。この2016年は、2015年よりもマルヴァジア・イストリアーナの比率が10%上がり、リースリングとフリウラーノが減りました。こういうのも混醸の妙であり楽しみですね。グラスはヴィノムのブルゴーニュの予定でしたが、割ってしまいましたので、ヴィノムXLのピノ型にしようかと思いましたが、ここはブルネッロ型にしてみましょう。なお、あたし的にヴィノムのブルネッロ型は、ボルドー型に近いながらも、ブルゴーニュ型の特徴もあるハイブリッドで、結構万能なんですよね‥イタリアワインにとって。もちろん冷蔵庫キンキン温度です。コルクはなかなかの質の4.5cm、数年前にディアム社製コルクが多かった時代がありますが、この数年はみませんね。実際のアルコール度数は13.76度の発表ですが、表記のアルコール度数は14度となり、2016年らしく2015年よりもアルコール度数は高め。
フロールスらしい少し緑色が射す透明度あるレモンイエロー。少しレモンキャンディ的な甘味ある香りも感じる柑橘香、少しリースリングを思わせる石油香にオイリーさ。黄色と白の花の香りに、少しメロン果汁があるんですね。口に含みますと、おおらかなボディ、密度感がキッチリあるのはヴィエ・ディ・ロマンスらしいし、終盤の苦味は2016年の共通項。暑かったであろうビンテージを思わせるボディ感がありますが、この苦味がユルませないし、もちろん酸味もしっかりと感じる。クリアなミネラルにもやや重さを感じ、苦味の前に少し塩味もあり暑い夏に嬉しい塩分補給。
苦味を感じるとやはりグレープフルーツが近くなる。水溶性レモンバーム、角を射すような感じ摘みはなく、シャープな丸さなんですね。時間経過とともに、少し緑の要素もでてきてフロールスらしいですね。2015年同様に重心の低さを感じさせつつ、爽快さもあります。ヴィエ・ディ・ロマンスらしい満足感。いい酸味がありますね。温度が上がってきても果実味はダレませんが、酸の輪郭がクッキリしてくる感じ。とてもおいしいです。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムXLのピノ型にしてみます。うん、初日同様に柑橘を主体に、少し緑がメロンに繋がる。キレイにミネラルが冷え、キュンと引き締まった酸味と初日ほどではないが終盤の苦味があって14度近いアルコールや、果実味の密度を重く感じさせない。火山性土壌なミネラルは、白いミネラルが前になってきました。甘味がないわけではないが、しっかりとドライなのもいいすね。魚料理、白身魚のムニエルやフライ、レモンをギュっとプラスしたり、イタパセ散らすとさらに合いますね。ボンゴレ・ビアンコや、アクアパッツァもいいかもしれません。シラスと、何か緑の野菜‥ほうれん草とかブロッコリーのフリッタータ。塩味で合わせたいですね。
温度が上がってくるとより深い密度感、キンキン温度よりも重みも出てきます。いやあ、温度帯って大事ですね。ほんと重たくなってきたわ。どっちが?どっちもですね。キンキンに冷した方が似合う時はそうすべきだし、温度を上げた方がいい時も‥好みです。○×にしなのが正解。
三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのキャンティ型。グラス選びが定まらないわけではないのですが、三日目のまとまり、香りがストレートに、なかなかこのグラスもいいですね。果実味に納まりを感じます。メロンにレモンを搾って、イタパセ散らしたような香味。花の香りもありますね。ミネラルもありますが、果実味もしっかり、うん、このグラス、三日目いいでね。余韻も長いですね。密度感もあってうーん、これぐらいのサイズで納めた方がいいんでしょうね。なんだかんだと14度未満に納めてあるのはこのワインらしい。単一品種では醸し出せない複雑さもありやっぱりいいですね。
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