Etna Bianco Arcuria 2019 Graci

イタリアの白ワイン

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更新履歴 2024/08/04
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エトナ・ビアンコ・アルクリア 2019 グラーチ
《イタリア/シリチア/白/カリカンテ100%/辛口》

元々、実家はシチリアでブドウ栽培農家だったがそれを継がずにミラノの投資銀行で働いていたというアルベルト・グラーチ氏。しかし、エトナを訪れてワイン造りを夢見るようになったのだとか。2004年、祖父の他界を機に実家に戻ったアルベルトはシチリアでは一般的な(語弊あり)質よりも量を重視していた祖父の荘園を売り、エトナに畑を購入します。

「エトナは特別な土地。火山性土壌で、豊富な日照がありながらその標高の高さから冷涼。そして、100年を越える樹齢の高いブドウが現存していること。」

アルベルト・グラーチの好むワインはバルトロ・マスカレッロや、ジャコモ・コンテルノのバローロだとか。規律の中に厳格さがあり、妖婉さや純粋さがあって野蛮ではない。そんなワインを造りたい。彼が購入した醸造所は100年以上の歴史を持つ建物で、古い大樽や、木製のプレス機もまだ残っています。発酵槽は大き過ぎて使えないので小型のセメントタンクを導入しています。

ステンレスタンクは発酵時に温度が一気に上がるので、温度がゆっくりと上がるセメントタンクの方が酵母の能力を最大限に引き出せるという考え方。とはいえ、ステンレスタンクも使用してますけどね。

畑は、エトナの北斜面、最も注目されているエリアのひとつである「パッソピッシャーロ地区」にある。2004年に購入した畑は標高660mの「アルクリア」と標高1200mを越えるフランク・コーネリッセンの隣の畑でもある「バルバベッキ」の2つ。以前の畑の所有者がケチだったお陰で一切農薬が使われていなかったとか。剪定は効率的ではなかったが、土壌は痛んでおらずとても良い畑のようです。

アルクリアは25haの敷地の内、ブドウ畑は15haでネレッロ・マスカレーゼが90%、ネレッロ・カプッチョとカタラット、カリカンテが他に植えられている。1200mを越えるバルバベッキに至ってはフィロキセラも到達していない区画で、そのほとんどの樹が自根。あまりにも標高が高いので他にはオリーブとリンゴしか育たないとか。湿気や病原体は少なく、ブドウにまつわる病気はほとんどない。それは農薬を使用する必要もなく、ボルドー液さえ使わずに栽培することが可能ということ。ただ、極度の乾燥による自然発生する山火事が問題になる。

標高1,200mともなるとブドウが完熟するのは11月になる。ゆっくりと熟したブドウは果皮の成分が豊かでタンニンに青さがない。樹齢が高いので収量は自ずと減る。1つのブドウ樹に3から4房しか収穫はできない。さらにブドウ樹は水分を吸い上げる力が弱いので、粒も小さくなる。

エトナ北側斜面のパッソピッシャーロ村。標高660mのアルクリアの区画は黒色火山岩が風化した土壌でミネラルが強く、水捌けが特によい土壌。例年収穫は10月末まで待って行われ、発酵はセメントタンクと大樽の併用で野生酵母のみ。その後、澱とともにコンクリートタンクと大樽の半々に移し替えられ12ヶ月熟成後アッサンブラージュされ瓶詰め。

ヴィノス/94点(E.G.)
The 2019 Etna Bianco Arcuria is captivating, with an intense blend of apricot and young peach complemented by crushed oyster shells, wet stones and smoke. This impresses further with silky textures offset by citrus-infused orchard fruits under a perfumed floral air, as salty minerals saturate toward the close. The 2019 finishes lightly structured and incredibly long, with hints of tropical melon and raw almond that linger. This is such a beauty, plus with the potential for medium-term cellaring. (6/2022)

デキャンター/95点(T.G.)
From the renowned area of Passopisciaro, this is a Carricante white of great character. Aged partially in concrete tank and partially in large oak barrel, it's a brilliant straw-yellow colour with a rich bouquet of broom and aromatic herbs, white melon and grapefruit. In the mouth it’s juicy, supported by balanced acidity and saline notes. Long, tense and electric. Organic. (10/2021)

ガンベロロッソ/トレビッキエリ

独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味

撫で肩瓶。IDDAではGAJAとジョインしているグラーチですが、ラベルもGAJAのラベルデザインを反転させたような感じに見えなくもない。冷蔵庫キンキン温度、グラスはシュピヴェラウ・ディフィニッションのユニバーサル型。そしてコルクはなんとディアム製ですが、5cmの(30)ですから、30年熟成させてみましょう(!)。表記のアルコール度数12度はある意味嬉しい。しっかり目の緑茶、レモンイエローな色合い。発酵や熟成には大樽が併用されてますが、非常にテクニシャンな樽使いですね‥樽のニュアンスはあるんですが、あくまでも脇役。やわらかいミネラルの風味も強すぎず、カリカンテらしい、いい意味でニュートラル果実の香味が中心。

口に含みますとなめらかな果実味に柑橘の風味がありますが、酸味にシャープさもあり。まろやかな旨味ばかりではありませんし、12度というアルコールは疲れないが、決して軽いワインではなく、身の詰まりは最高レベル。非常においしいし、なるほど、偉大な白だなあと思います。GAJAも同様ですが、赤のネレッロ・マスカレーゼと同等、いや、それ以上にカリカンテのポテンシャルの高さを感じます。グラーチもスタンダードなエトナ・ビアンコも美味ですが、このアルクリアになると二段階、三段階ぐらい上がっちゃうんですね。果実味の甘味はありますが、酸味もしっかりと感じますね。ミネラル推しではありませんが、なるほどエトナだなあ‥と感じんるミネラルの風味があります。では、このワインの熟成後の姿は想像できないし、まさか30年もは無理ですけどね。でも、今飲むに贅沢なエトナの白。

二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはシュピヴェラウ・ディフィニッションのユニバーサル型です。この花の香りはなんかな。エルダーフラワーとかやったかな、やわらかい甘味のある香り、少し柑橘の青い皮の酸味や苦味の風味もある。おだやかな密度、重心は低め。酸味に新鮮さ。ミネラルに隠れた塩味もとてもおいしい。

基本的にエトナは村名でよし。クリュなんてもったいない派ですが、このワインは確実に村名よりも上を感じることができますね(村名でも十分だけど)。食事との相性はニュートラル。酸味の輪郭もあり、やっぱり柑橘さえあれば、鶏でも豚でも魚でも。案外、青いトマトなんかもいいのかもしれません。

冷涼(清涼)感もありますが、構成感が整ったとても良い(おいしい)エトナの白ワイン。ガンベロロッソのトレビッキエリ常連なのがこのビアンコってのがまたすごいですね。ちなみに、最新2021年もトレビッキエリなんですが、日本市場はちょっとビンテージ遅れてるんですね。それである程度落ち着きを感じるのかもしれません。ひとクラス上を実感して下さい。

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