Dessimis Pinot Grigio 2012 Vie di Romans
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デッシミス・ピノ・グリージョ 2012 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ピノ・グリージョ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海
と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度〜46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
■オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏による2012年のビンテージ解説。
気候の変動が激しかった年でしたが、最終的に収穫期の雨もなく、非常に理想的な状態でブドウを収穫できました。冬の間は極度に雨が少なく、ロシアからの北風「ボーラ」が吹き荒れました。3月になると暖かい気候になったものの、4月頃に再び降雨と気温の低下がみられたため、ブドウの成長は遅れ気味に。
しかし7月以降はとても暑い夏を迎えたことによって成熟はぐんと進み、9月の理想的、かつ安定した気候、昼夜の寒暖差によって、キレイな酸味ののったブドウへと成長。結果、状態の素晴らしい病害のない健全なブドウを収穫することができました!
■熟成樽に関する追加情報
ヴィエ・ディ・ロマンスが使用する樽の容量は225Lと228Lの二種類。樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボルドータイプである225Lの樽を併用しているそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマンスではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めてしまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入することになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないとのことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
「デッシミス」とは"農家の年貢"という意味だそうです‥。いまどき「年貢」なんて単語を聞くのも稀ですが、その昔‥農家は「出来のいい」農作物を奉納しなければならなかった…。つまり「年貢」となるのは「出来のいい作物」なんですね。よってヴィエ・ディ・ロマンスの出来のいいワインとして「デッシミス」という名前となったようです(たぶん)。
デッシミス畑はヴィエ・ディ・ロマンスが所有する畑の中でも比較的広い7.50haの畑。haあたり6000本の株密度でピノ・グリージョが栽培されています。植樹は1985年、1999年、2002年。平均樹齢は18年で海抜は34m。砂利や小石を含み、鉄分由来の赤みがかった粘土質の土壌。
手摘みで収穫されたピノ・グリージョは、約8度でのコールドマセラシオンの後、16度〜19度に温度管理されたステンレスタンクでの約24日間の発酵後、マロラクティック発酵は施されず、澱と接触させたままオーク樽(50%が225L、50%が228L)で約9ヶ月の樽熟成後瓶詰め。9ヶ月の瓶熟成期間を経てリリースされます。
アルコール度数は2009年が15.56度、2010年が14.21度、2011年が15.00度、この2012年は15.23度となります。
数年間まではもっと赤味がかった色を持つピノ・グリージョでしたが、この数年は淡さを感じる薄いピンク色。スキンコンタクトによる色の抽出と思われがちですが、決してそうして色が付いているわけではないそうです。ピノ・ノワールの亜種のひとつであるピノ・グリージョが完熟すると、ブドウ果皮の色がしっかりと果汁に伝わり、スキンコンタクトをせずとも果汁に色が付くそうです。また、搾りたてのモストから酸化が進めば透明に近づくそうですが、ヴィエ・ディ・ロマンスでは酸化を嫌う為に搾りたて同様のピンク色が保たれるそうです。
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