Piere Sauvignon 2013 Vie di Romans
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ピエーレ ソーヴィニョン 2013 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ソーヴィニョンブラン/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクマを持つテロワール。17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
■オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏による2013年のビンテージ解説。
2013年は全般的に気候が安定をしており、収穫自体も非常に良く、出来上がったワインは品種別にしても良好でした。結果、糖度と酸度が十分に高く、ワインの熟成面のポテンシャルも高いです。近年では2009年、2011年と同じレベルでヴィエ・ディ・ロマンスとしても良い収穫年です。特にオーナーのガッロ氏が自信を持ってお薦めするのは、樽熟成をさせている、ヴィエリス ソービニョン、ヴィエ・ディ・ロマンス・シャルドネ、デッシミス、です。若い時はパワフルさを感じていただけますが、各ワインのポテンシャルが非常に高く、熟成も期待できるヴィンテージとなります。
■熟成樽に関する追加情報
ヴィエ・ディ・ロマンスが使用する樽の容量は225Lと228Lの二種類。樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボルドータイプである225Lの樽を併用しているそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマンスではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めてしまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入することになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないとのことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
1981年、1984年、1997年、2002年にhaあたり6000本の株密度で植樹されるピーレ畑は、8.03haでヴィエ・ディ・ロマンスの所有する畑の中では比較的大きな畑。ソーヴィニョンブランのステンレス仕上げは、このピエーレ。同品種の樽仕上げは「ヴィエリス」となりますが、実は土壌の違い=栽培するクローンの違いでもあるそうで、ピエーレとなるソーヴィニョンブランは、イタリアのクローンで粒が大きく房が小さいタイプ。粒が大きいので果汁に富み、香り豊かで酸もしっかりしたもの。ヴィエリスで栽培されているのはフランスのクローンで粒も房も小さいタイプ。粒が小さいということは、果汁に対する皮の比率が大きくなり皮からの香味成分が豊富でパワフルでボリュームがありそれを熟成させるワインに仕上げるには樽が必要とのこと。
「ピエーレ」は「石」という意味で、砂利や小石を含む、赤味がかった肥沃な泥粘土質土壌で海抜33mに位置します。手摘みでの収穫、ステンレスタンクで約8度でのコールドマセラシオンの後、16度〜19度に温度管理されたステンレスタンクで16日間のアルコール発酵。マロラクティック発酵は行われません。澱と接触させたまま約7ヶ月間、ステンレスタンクにて熟成され瓶詰。10ヶ月以上の瓶熟成を経てリリースされます。
アルコール度数は、2007年は15.06度、2008年は14.8度、2009年は14.84%、2010年は13.82度、2011年は15.24度、2012年は15.27度、この2013年は14.91度。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのラベルデザイン。バックラベルに表記のアルコール度数は14.5度となります。2013年は三本目ですが、近年のヴィエ・ディ・ロマンスは生コルクとディアム社製の圧縮コルクの併用でしたが、このピエーレに刺さるコルクはディアム社製の5.5cmという長い圧縮コルク。
ワインは冷蔵庫キン温度、グラスはヴィノムのボルドー型です。少し緑とシルバーさ射す薄めのレモンイエロー。ステン仕上げなピエーレらしい猫のおしっこが鉱物由来。とても頑丈な鉱物の存在感があり、キンキン温度ながら柑橘香を含めとても開いていますね。これは2013年のVdRの特徴かもしれません。シトラスの果汁と皮、完熟レモンの白いピロピロ。ボリュームがありますね。クリアで、香りから唾液誘発系の酸も感じる。
口に含みますと、塩気を感じさせる酸味、口の中を満たすボリュームはありますが、奥底の酸やミネラルによる構成に揺るぎなく硬ささえ感じますが輪郭部分はとてもしなやか。含み香の柑橘は少し和風な緑。ゆず、ゆこう。それは黄色の柑橘にハーブを重ねたがゆえの感覚かもしれません。
柑橘のレンジは幅広い、軽やなものもあるが、柑橘の油を感じさせる重みあるものもある。ただし、皮は濃くない。黄色または緑でありオレンジではない。昨年同様に味がハッキリしている。メリハリがありとてもわかりやすい。どこか果実味にハイチューな乳な部分もある。
温度が上がってくると柑橘由来の酸味を伴う出汁、旨味がでる。分厚いねえ‥分厚いよ。温度が上がると少しの苦みも出て来るが、酸味とともにダレさせない要素。味わいは非常にドライですが、ワンポイントでキャンディ系の甘味がひとつあります。
共通の分厚いミネラル感はこのピエーレにもありますね。そして、2013年は香りがとても良く出ていますし、味も開いている。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのボルドー型。猫のおしっこは大人しくなり、黄色の花の芳香さと皮の色の薄めの柑橘果汁と皮の香り。少し火打石っぽさがあるが煙硝反応まではない。
口に含みますと相変わらず塩っ気を感じるミネラルがありドライ。黄色ハーブの香りが鼻からも抜ける。苦みを感じるグレープフルーツの果汁、シャープだけれども薄刃ではない。酸味のレンジも厚みがありますね。果実、ミネラルの厚みに負けない‥からバランスが取れてる。ソーヴィニョンは斬鉄剣的なものも多いが、これはモンハンの武器のような太刀。
三日目も冷蔵庫キンキン温度。グラスはヴィノムのボルドー型です。ほんと2013年のVdRは冷蔵庫キンキン温度でも香りが開いて感じますね。湧き出るような酸味も上質で、キリリとした温度とともに引き締まってますね。グラスはもう少し小さなものでも大丈夫かと思いますが、この大きさでも決してユルみはありません。
口の中での、旨味というよりも「味」がしっかり、そしてハッキリとしているのも2013年の特徴かな。決してまとまりがない‥トゲトゲしいのではなく、メリハリがあります。とても明るい表情でポジティブ。とてもわかりやすいおいしさ。
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