Flors di Uis 2022 Vie di Romans

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ヴィエ・ディ・ロマンス

更新履歴 2024/06/09
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フロールス・ディ・ウィス 2020 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/マルヴァジア・イストリアーナ55%、リースリング・レナーノ31%、フリウラーノ14%、/辛口》

フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。

17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。

創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。

彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。

流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。

2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。

イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。

イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。

また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。

 2022年のビンテージ情報

 2022年は全体的に暑く乾燥しており、地中海スタイルの気候に分類できます。
 特に果実の品質と、健康面において、管理しやすいビンテージでしたが、初
 期の数ヶ月は雨が少なかったため地中水の貯水量が減少しました。生育期間
 の3月から4月初めは低温のためやや遅れ、4月中旬に芽吹きが始まりました。
 その後は好天が続きブドウ樹の成長が著しく促進されました。この好条件に
 より、開花は5日ほど早まり、結実も7日早まりました。この早い発育サイク
 ルのおかげで起こり得る果実と果房の異なる成熟段階を示す状態を免れるこ
 とができました。5月、6月、7月は過去になかったほど暑くなりましたが、
 8月と9月に降雨があり気温が下がりました。8月26日に収穫を迎え、全体的
 に果実はバランスのとれた酸度とともに優れた糖度に達することができまし
 た。

「フロールス・ディ・ウィス」とは「花の香り」という意味。単一品種からなる個性と、らしさ溢れる酒質が魅力のヴィエ・ディ・ロマンスのラインナップの中でドゥトゥンと、このフロールス・ディ・ウィスのみ混醸となります。このフロールス・ディ・ウィスに混醸される品種は三種類。セパージュ比率はビンテージによって異なる可能性がありますが、マルヴァジア・イストリアーナを主体にリースリング・レナーノ、フリウラーノが混醸されます。

合計の畑の面積は3,88haとこれまでと同じ。1987年、1995年、2001年に植樹されたブドウとなり平均樹齢30年のブドウ樹は、ボキス、チャンパニス、ヴィエ・ディ・ロマンスの畑で栽培されており、砂利や、小石を含み、鉄分を多く含む赤味がかった砂質のシルト質土壌だそうです。海抜は29mから34mの畑で収穫されたブドウで醸されます。

収穫は2022年の9月2日と3日、6日で例年フリウラーノ→リースリング→マルヴァジアの順番に収穫されます(収穫日にそれなりの差がありますね)。ブドウは約8度でのコールドマセラシオンの後、16度から19度に温度管理されたステンレスタンクで澱と接触させたまま13日、17日、20日と品種によって違うアルコール発酵期間。マロラクティック発酵は行われずにステンレスタンクで澱と接触させたまま約8ヶ月の熟成後、2023年の5月19日に瓶詰めされ9ヶ月の瓶熟成となります。

アルコール度数は2008年が14.4度、2009年が14.86度、2010年が13.9度、2011年が14.4度、2012年は14.42度、2013年は14.00度、2014年は12,60度、2015年は13,10度、2016年は14度、2017年は13.5度、2018年は13,44度、2019年は13,33度、2020年は14,22度、2021年は13,84度、2022年は14,2度となります。

独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味

お馴染みのヴィエ・ディ・ロマンスのラベルですね。コルクは良質の5cmですが、やはり他のアイテム同様、コルクメーカーが今年は違うような気がします(知らんけど)。冷蔵庫キンキン温度、グラスは、シュピゲラルのディフィニッション、ユニバーサル型です。色調は少しほうじ茶がかったレモンイエロー。やわらかな白い花に、和梨の新鮮さ、洋梨のやわらかな果汁、白桃と、少しのハチミツ。すこしバナナのスムージーの風味があり、柑橘も酸のそばにあるが控えめ。芳香さはありますが、芳香剤っぽくないのがいい。口に含みますと、輪郭はなめらかで、オイリーさのある果実味がたっぷりとありますが、なかなかシャープな酸味が行き届いており、終盤にほんのりと苦い風味があってダレない。全体的にミネラル推しではなく、果実味がたっぷり。アルコール度数が高い分、ある程度のボリュームアップはありますが、セパージュ比率がどうやら2021年と一緒ながら、味わい、表情に違いは感じますね(とてもおもしろい)。甘すぎず、果実味がたっぷりとはいえ、キレイに芯にあるミネラルが冷えてるのも重すぎない。少し温度が上がると、スパイスがジン(ジンジンではない)。メロンの風味が出てくるのもいつもと同じですね。青い(緑)のメロンですよ。柑橘も見え隠れするのよねえ。

ヴィエ・ディ・ロマンスともなれば、単一品種でも十分に複雑で、時間経過や温度変化での表情の変化を楽しむことができますが、三種混醸ともなれば‥いや、三倍楽しめるとまではいいませんが、思いもしなかった香味を感じることもあります。シャルドネや、ソーヴィニョンで想像のつくマリアージュも悪くありませんが、そうか、そういう意味ではお食事も素材に一点豪華主義ではない‥があると尚更いいですね。

二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはシュピゲラルのディフィニッション、ユニバーサル型です。メロンやスイカの皮のような瓜っぽさは控えめながらそんな香りと、スパイスの風味が初日よりも強めに感じます。白い花の華やかさは変わらず。飲み口は初日よりも密度が増し、柔軟ながら塊を感じ密度はすごい。後半は苦味もあって、酸味とともに、膨大な果実味が引き締まります。旨甘みのある果実味、リースリングのようなマルヴァジアのようでえ‥初日最後のオイリーさはフリウラーノっぽさでしたね。品種探しも楽しいですが、三位一体かつ複雑な香味は、うーん、逆にお料理思い浮かばない。ヴィエ・ディ・ロマンスのワイン達は基本ワイン単体で成立しちゃってますからね。あえて書けば、バジルソースとチーズの組み合わせ。ベシャメルとバジルソースが層になったグラタンなんてないですかね。

三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはシュピゲラルのディフィニッション、ユニバーサル型です。徐々に柑橘の果実香や酸味が前に来ますね。これはリースリングぽいのか、マルヴァジアっぽのか。飲み口もミネラルが増してきて、相変わらず苦味があって、ドライというか、結構な辛口で引き締まります。深層部分の梨や白桃などの果実味は健在。初日ほど広がりはありませんが、密度感も三日目でも損なわれていません。まあ、順当においしいんですよね。やっぱりワイン単体で満足できちゃいます。

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