Vie di Romans Chardonnay 2022 Vie di Romans

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ヴィエ・ディ・ロマンス

更新履歴 2024/06/29
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ヴィエ・ディ・ロマンス・シャルドネ 2022 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/シャルドネ/辛口》

フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。

17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。

創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。

彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。

流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。

2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。

イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。

イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。

また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。

 2022年のビンテージ情報

 2022年は全体的に暑く乾燥しており、地中海スタイルの気候に分類できます。
 特に果実の品質と、健康面において、管理しやすいビンテージでしたが、初
 期の数ヶ月は雨が少なかったため地中水の貯水量が減少しました。生育期間
 の3月から4月初めは低温のためやや遅れ、4月中旬に芽吹きが始まりました。
 その後は好天が続きブドウ樹の成長が著しく促進されました。この好条件に
 より、開花は5日ほど早まり、結実も7日早まりました。この早い発育サイク
 ルのおかげで起こり得る果実と果房の異なる成熟段階を示す状態を免れるこ
 とができました。5月、6月、7月は過去になかったほど暑くなりましたが、
 8月と9月に降雨があり気温が下がりました。8月26日に収穫を迎え、全体的
 に果実はバランスのとれた酸度とともに優れた糖度に達することができまし
 た。

 ヴィエ・ディ・ロマンスの熟成樽に関しての追加情報

 西野嘉高もテクニカル情報を書きながら気になっていたのが熟成樽の容量の
 情報なんですね。225Lと228L‥その3Lの違いに何があるのか?輸入元さんか
 ら回答が来ましたので追加情報として記載しておきます。

 樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボル
 ドータイプである225Lの樽のが異なるそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマン
 スではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカ
 ー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めて
 しまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入する
 ことになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。

 なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメ
 ーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないと
 のことです。

 ・タランソ  :ブルゴーニュタイプ
 ・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
 ・ダルジュ  :ボルドータイプ
 ・バロン   :ボルドータイプ

1990年から始まった単一畑別のワインの中でも、ヴィエ・ディ・ロマンスの名を冠した海抜31mの畑。1986年、2000年、2001年の植樹の樹が栽培されており、平均樹齢は23年。比較的浅めの土壌に砂利や小石を含む赤みがかった粘土質の畑こそが、その名もヴィエ・ディ・ロマンスと呼ばれる単一畑となり2015年から9,95haと記載されていますが、2021年は10,75ha、2022年は11,2haとなってますね。そう言えば、樹齢も2021年も24年と記載していますので、畑の広がりとともに平均樹齢も変わったのかもしれません。この2022年は9月の7日から10日と13日に手詰みで収穫。

ステンレスタンクで約8度でのコールドマセラシオン。16度から19度に温度管理されたステンレスタンクで20日から26日間のアルコール発酵が施されます。マロラクティック発酵は施されません。澱と接触させたまま228リットルのバリックで9ヶ月以上の熟成後、澱引きを兼ねてステンレスタンクに戻してから瓶詰め。この2022年ビンテージは、2023年7月の13日、17日から18日1に瓶詰め。8ヶ月の瓶熟成期間を経ます。アルコール度数は、2008年は14.6度、2009年は15.15度、2010年は13.77度、2011年は15.10度、2012年は15.24度、2013年は14.42度、2014年は13.25度、2015年は13.7度、2016年は14.5度、2017年は14度、2018年は14,30度、2019年は14.12度、2020年は14.94度、2021年は14,42度、2022年14,43度となります。

独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味

お馴染みのヴィエ・ディ・ロマンスのラベルですね。コルクは良質の5cmですが、やはり他のアイテム同様、コルクメーカーが今年は違うような気がします(知らんけど)。冷蔵庫キンキン温度、グラスは、シュピゲラウのディフィニッションのボルドー型(ブルゴーニュ使い)です。チャンパニスは0,5度以上アルコール度数の上昇がありましたが、樽ドネに関してはほぼ同じですね。色調は若いという意味で少し黄緑が入るような黄色ですが2021年ほど濃い黄色ではない。チャンパニスとの違いは明白(どっちが上とかいう問題ではない)、この樽ドネには新鮮で音域の高いバリックの風味が確かにありますね。2000年以降のほどよく、そしてハッキリと樽の風味を感じさせ、チャンパニスとの違いの明白さはとてもいいですね。まだ温度が低いですが、パインやマンゴーなどの南国系フルーツにアプリコット、まだ柑橘は控えめな状況です。いつもと同じ冷蔵庫ですが、湿度との兼ね合いで、めっちゃ冷えてますね。少々温度を上げましょう。

さて、口に含みます(まだ低めですが)。口の中を満たすどころか、脱獄する外側へのベクトルすら感じるフルボディ。堅牢なミネラルもあるのですが、全体的なしなやかで、果実味を邪魔することはない。グラス内側をぷちぷちする要素はありませんが、舌先に酸味の新鮮さが少し感じますね。密度感は半端なく、非常にクリーミー。冷凍ミカンのような柑橘、ギュっとした収斂味な酸味がパワーを溜めるような力強さにつながる。余韻も素晴らしく長い。

味が濃い。

もちろん複雑な香味なんだけれども、とにかくシャルドネでこんなに味が濃い、しかもエグ味を感じさせないピュアでクリアな感覚は他にはない、ヴィエ・ディ・ロマンスだけのもの。いやあ、旨い。2020年以降のヴィエ・ディ・ロマンスのシャルドネの進化は何があったのか?ジャンフランコに聞いてみたい。

決して甘味が強いわけでもない。膨大なんだけど、これで甘味が強いときっと疲れる。樽、甘味、過ぎてないのがとてもいいんだ。昨年も書きましたが、啜るように飲んではいけません。たっぷりと口の中に含んで、含み香味から余韻までを楽しんで欲しい。

うん、決してカスタードな風味が強いわけでもない(ある)。温度が上がってくると苦味は出てきませんが、複雑な要素のひとつ。いやあ、チャンパニスも負けじ劣らず複雑さありましたけども、さすが樽ドネは複雑。温度が上がってくると柑橘でてきますね。冷凍みかん、マンダリンオレンジ、皮の色よりも果汁の旨み、重心の低い果実や酸味を持つ柑橘‥。2022年は2021年よりも見た目の色味はそう濃くはないだけれども、すんごい樽ドネだわ。

最近、ブルゴーニュもカリフォルニアも(その時点で俺は古いのか?)シャルドネを飲めてませんが、あたしのイメージとしては、エレガントなカリフォルニアのシャルドネですね。あたし大好物(うふ)。

いやあ、(細切れなのは、あえて細切れに飲んでるからです)、二杯目をあえて程度の時間経過、温度上昇すると、確かにカスタード的なコクではありませんが、コク味がでてきましたね。フルボディだし、味は濃いし、それ以上に何があるねん‥と思われるかもしれませんが、その先があるんですね。

二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスは、シュピゲラウのディフィニッションのボルドー型(ブルゴーニュ使い)です。確かに今年は色はそう濃く見えませんが、味わいはしっかり。和梨のシャックっとほとばしる白い果肉果汁の新鮮さ、樽は穏やかに溶け込み、みかんとマンゴー、バナナなミックスジュース。アルコール度数を思うと確かにアルコール感は2021年と同様ですね。味わいが薄いわけではなく、果実の要素が一段淡い感じ。マンダリンよりもみかんになるし、それぞれの果実の色温度が一段淡い。ただ、味わいが淡いわけではない。非常に複雑なんですよ。エグ味ではなくニガ味、ミネラルの厚みに塩味。スイカに塩的な塩味の感じ方ですね。酸味も果実味に負けじギュンとしてるのも旨い。

三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスは、シュピゲラウのディフィニッションのボルドー型(ブルゴーニュ使い)です。三日目よりも色調は一段深くなったような気がする(気がする)。樽の風味をまとった、パインやマンゴー、黄桃にアプリコット、バナナの風味がいいですね。チャンパニスにはない要素があるんです。でも、チャンパニスにしか感じられない部分もあるんですけどね。飲み口も高いアルコールはボディに貢献しているだけで、飲み辛さにはつながらないですね。十分な密度がありますが、クリアなミネラルも感じられるので、どこか瑞々しくおいしい。温度が上がると旨みも出ますが、クドさはないですね。2021年の圧倒的いや暴力的な果実の香味ではありませんが、ほどよさが身の上ですね。満足度と飲みやすさの両立です。

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