Brunello di Montalcino Riserva gli Angeli 2004 La Gerla
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ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ リゼルヴァ・リ・アンジェリ 2004 ラ・ジェルラ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョベーゼグロッソ/フルボディ》
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ協会の地図を拝見しますと、モンタルチーノの街の北側に位置しています。その南隣はイル・パレディソ・ディ・マンフレディ、北隣はカナリッキオ・ディ・ソット、東隣はフランコ・パチェンティのカナリッキオなんですね。オーナーはセルジオ・ロッシ氏、元々はビオンディ・サンティ家が所有していたコロンバイアと呼ばれる農園を1976年に購入し、ラ・ジェルラを興したのが1978年のこと。現在では約11.5haの畑を所有しています。エノロゴはかのヴィットリオ・フィオーレで、アグロノモはアルベルト・パッセリが就いています。
そんなモンタルチーノの北側のゆるかやな斜面は海抜約320mのあたりとなりますが、所有する畑はふたつの区画に分かれます。ひとつは、北東から東向きのカナリッキオ地区にある畑‥こちらは6haとなり、1976年と1982年に植樹したグロッソが植わる畑で、このカナリッキオの区画は石灰質に富む土壌。このカナリッキオの地区に所有する畑の中の1.5haがクリュとなる「リ・アンジェリ」の畑となり最も日当りのよい区画。もうひとつはカステルヌォーヴォ・デッラバーテ区画で南東向き(ポッジョ・ディ・ソットの近く)。1988年にグロッソが植樹されています。所有する畑に植樹されているのは、すべてサンジョベーゼ・グロッソで、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを目指しますが、そのポテンシャルごとに樽を分けセレクトされます。
そんなラ・ジェルラがリリースしているのは、ロッソ・ディ・モンタルチーノ、スタンダードなブルネッロ・ディ・モンタルチーノと、単一クリュであるリ・アンジェリの名を冠したブルネッロ・ディ・モンタルチーノと、良年のみリリースされるそのクリュ・リゼルヴァ。唯一のIGTとして、ビルバと名付けられたサンジョベーゼ・グロッソを100%をバリックで熟成させたもの‥あとはオリーブオイルとグラッパもリリースしているようですね。
サンジョヴェーゼ・グロッソは、伝統的なT字型、コルドーネ・スペロナートで仕立てられ、2つの芽のみを残すように剪定され低収量を保ちます。手摘みでの収穫後、温度管理やデレスタージュ(液抜き静置法)が容易なステンレス・スチールのタンクで発酵が行われます。ボトリングは無菌スペースで自重を利用して行われています。そのIGTであるビルバ以外は、大樽での熟成を施している生産者‥ながら、古典ではない良い意味での現代的な洗練さも兼ね備える生産者でもあります。
今年訪問したブルネッロ・ディ・モンタルチーノの展示会では、2006年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノのみをテイスティング‥樽熟成途中かと思われましたが、その印象は悪くない。ロッソ・ディ・モンタルチーノの2009年はテイスティングできず‥単一クリュは出品されていませんでした。
その単一クリュであるヴィーニャ・ディ・アンジェリよりもさらに12ヶ月の樽熟成を経ます。その割には価格差はほとんどない‥ながら、日本入荷があまりにも少ないもので‥今‥買うなら絶対このリゼルヴァ・ディ・アンジェリを確保しておいて下さい!!
海抜270m-320mに位置する斜面で栽培される平均樹齢25年のサンジョベーゼ・グロッソが使用されます。コルドーネ・スペロナートで仕立てられたそれは、各葡萄樹に2-3房のみを残して収量を抑え、手摘みでの収穫と選果が行われます。収穫された葡萄は、やさしく圧搾され、約30度に温度管理されたステンレス・スチールのタンクで15日間の醸し発酵が行われます。熟成期間は合計5年。50-100hlのスロヴェニア産の樽で48ヶ月の樽熟成後、無菌状態、自重を使って瓶詰めされ12ヶ月の瓶熟成期間を経ます。なお、リ・アンジェリのクリュの収穫量はhaあたり500kgと他の畑よりも低い収量となるようです。基本的な醸造スペックはスタンダードなブルネッロ・ディ・モンタルチーノと同じながら、その使用される葡萄がクリュであるリ・アンジェリのものとなるようです。リゼルヴァを名乗らないリ・アンジェリとの差は、樽熟成期間にあり、このリゼルヴァはさらに12ヶ月の樽熟成を経て瓶詰めされます。この2004年のリゼルヴァの生産本数はフルボトル5700本、マグナムが300本、ダブルマグナムが20本と発表されています。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ラ・ジェルラらしい、センスのよいフォオト使いと色合い。このリゼルヴァ・ディ・アンジェリは、茄子紺のラベル地に、金文字、紋章は綺麗なピンク紫となります。ラベル地と同じ茄子紺のキャップシールには縦張りでDOCGのピンクの帯封。バックラベルには、スロヴェニア産の大樽で4年熟成‥と書いてありますね。なお、表記のアルコール度数は14度。コルクはなかなかの質の5cm、グラスはロッソ・ディ・モンタルチーノとの比較毒味となるので、オヴァチュアにしました。
さすがに、ロッソ・ディ・モンタルチーノよりも濃い目の色調‥。中心部はかろうじて透ける黒紫、エッジは小豆色な深いルビー色。グラスから放たれる香りにロッソ・ディ・モンタツチーノとの共通項なよく熟したブラックチェリーや、スミレの密な香りを感じますが、さらに紫のベリー香と、樽由来の香りが広がります。そのラベルの茄子紺のイメージな果実香ですね‥。バリックでの熟成ではありませんが、なかなか乳脂肪分な樽香、新樽比率がそれなりにあるのかな‥。樽と果実両方の甘味のある香り、ロッソ・ディ・モンタルチーノよりも明らかに重いボディを香りからも感じます。
口に含みますと、なめらかな輪郭、やさしい果実の広がり、重過ぎないですね。密度も感じるが、とてもピュアで雑味がまったくないんですね。含み香の中に、樽熟成の長さを感じる香り、酸味の質が違いますね。フレッシュな酸味ではなく、旨味が乗った酸味。どこか柑橘のニュアンスを感じるのもロッソ‥同様。とても純度のたかいスミレからのエキス、スワリングと時間経過で、最初に感じた樽熟成の長さ‥的な香りが馴染んでくる。まったく派手ではない濃さ‥いや深さかな。外へのベクトルがないわけではないが、深度で計りたいタイプ。
実は、すでに飲める‥。なぜならリゼルヴァだから‥かもしれない。リゼルヴァだからこそ長熟でもあるが、リゼルヴァだからこそしっかりと樽熟成期間、瓶熟成期間がありすでに飲める状態に近くもある。
とてもやわらかさがあるのがラ・ジェルラなんだな。ロッソと、リゼルヴァ両極端な(極端じゃないが)を飲み比べると、ラ・ジェルラの共通点である「らしさ」を感じますね。リゼルヴァならでは‥の、鉛っぽい感じ、酸味とそこに繋がる香味にプラム‥これは柴漬けとか合いそうだな。単体でも飲めてしまうが、マリアージュの楽しみもある。赤ワインで煮込まれた肉が欲しい。
あ‥実は、すでに二杯目なのだ。オヴァチュアで飲んでますが、実はブルゴーニュ型グラスも合うのでは?と、密かに思ってたりします。どんどんグラスの中で複雑さが増すのもロッソ同様。渋味も美味しいですね。ロッソのような若さは(もちろん)ありませんが、その分、大人のブルネッロ。酸味と渋味が、とても伸びやか‥上質の墨汁のように、伸びますな。
二日目です。グラスはオヴァチュア。乳脂肪分を高く感じた樽香は、杉っぽい木質な香り主体になってきました。薄らとヴァルサミコのヒント、ベリーとスミレの香りは、閉じているわけではないが、大人っぽくしんみりとしている。口に含みますと、その完成度の高さが伺える。とてもなめらかな輪郭がやさしい。初日よりも酸味がじゅんわりとしてきましたが、どこかミネラル感に瑞々しさがあるんですね。ゆっくりと楽しみたい‥そんな深さがあるのがリゼルヴァ・リ・アンジェリですね。
酸味が旨いですね‥うん、イタリアワインってそこ‥評価したいんだなぁ。必ず、お料理と合うんだよなぁ。
二杯目です。初日から試してみたかったブルゴーニュ型で飲んでみましょうかね。うおっほ!めっさ香りが密に広がるやん‥木質、乳脂肪‥両方ともの樽香よりも、どっぷりと深い果実香がぶぉんと広がりますね。うーん、酸味が綺麗だなぁ‥無理はあるがピノ・ノワール的だな‥ブルゴーニュではなくカリフォリニアの上品なピノ・ノワ−ル的なスタイルに感じられる。アルコールも、ブルゴーニュ型グラスの方が感じるかもしれませんが、大丈夫‥過ぎるわけではない。うん、このブルネッロはブルゴーニュ型グラスを推奨しよう。エクストリームのボルドーでも良いかもしれないが‥。
うおっほ‥旨酸っぱいね〜。ラ・ジェルラの古酒‥は経験したことないのですが、どうなるんでしょうね。2004年‥熟成もさせてみたいが、今飲んでも美味しいですよ。
三日目です。グラスはオヴァチュア(え!?)やはり、ロッソ・ディ‥と比較すれば樽香もしっかりしておりますね。ただし、上級クラスだから濃い‥とか、そういう事はラ・ジェルラにはありません。しかし、使用される葡萄の熟度の高さ‥は伺える。それは、ロッソ・ディ‥よりも密度の高いスミレの香りにも表現されていますね。もちろん、口に含んださいの密度、ボディも一回り大きいのですが‥。どっしりと落ちつきながらも、酸の質量はさすがにまだまだ膨大。タンニンも…を、考えるとやはり長熟なんだろうな‥。でも、ラ・ジェルラ‥若い内から飲めるのも嬉しいですね。
プラムの旨酸っぱさが食欲をそそる。とても美味しい。
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