Ciampagnis Chardonnay 2019 Vie di Romans
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チャンパニス・シャルドネ 201 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/シャルドネ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。
17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
2019年のビンテージ情報
冬から春にかけて厳しい気候が続いたが、夏前から熟成期にかけて回復、気
温も上がり安定しました。ブドウの芽が出始めたのは4月上旬。気候は安定し
ていましたが、5月に入ってからは気温が下がり寒く雨が多かった。湿度は高
く、ブドウの栄養バランスが崩れることが懸念されたが6月に入ると気温は上
がり、開花を迎える品種には好条件の気候となった。気温の上昇による水不
足もあったが、好転の影響でブドウの葉は成長、懸念していた栄養不足も回
復。7月上旬は気温が下がり、雨も降り涼しくなりました。雹が降ることもあ
りましたが、それ以降は天候は回復、昼夜の寒暖差(昼33度、夜16度)も十
分にあり、ブドウにとって恵まれた気候条件となりました。8月以降、熟成を
迎えるまで好転が続きました。出来上がったブドウはキレイに熟成したアロ
マをもち、酸と糖度のバランスが良く、フェノールの理想的な熟成を遂げま
した。
ヴィエ・ディ・ロマンスの熟成樽に関しての追加情報
西野嘉高もテクニカル情報を書きながら気になっていたのが熟成樽の容量の
情報なんですね。225Lと228L‥その3Lの違いに何があるのか?輸入元さんか
ら回答が来ましたので追加情報として記載しておきます。
樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボル
ドータイプである225Lの樽のが異なるそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマン
スではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカ
ー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めて
しまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入する
ことになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメ
ーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないと
のことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
海抜32mに位置する約7,83haのチャンパニスの畑(2016年ビンテージから拡張)。平均樹齢は19年となります。2019年の9月21日と25日に収穫。収穫されたブドウは、約8度に温度管理されたステンレスタンクでのコールドマセラシオンの後、16度から19度に温度管理されたステンレスタンクで15日から18日間のアルコール発酵。マロラクティック発酵は施されず、澱と接触されたまま8ヶ月の熟成を経て2020年の6月19日から21日に瓶詰め。11ヶ月以上の瓶熟成期間を経てリリースされます。
アルコール度数は2009年が14.31度、2010年が13.84度、2011年は14.27度、2012年は14.40度、2013年は13.93度、2014年は13.20度、2015年は13.50度、2016年は14.03度、2017年は13.5度、2018年は13,94度、2019年は13,77度となります。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのヴィエ・ディ・ロマンスのラベルですね。2019年は商品名(このワインの場合は"Cianoagnis")のフォントが少し太くなったように見えますが、2018年と比較すると太さは同じなんだけど、少し色味が濃くなったようですね(2018年はもう少し薄いというか、2019年は黒味が濃くなったというか、でも少し茶色入ってると思う)。んなことはどっちでもいいですね。コルクはなかなかの質の5cm。冷蔵庫キンキン温度、グラスは、シュビゲラウのユニバーサル型です。色味はボチボチ14金ゴールドもあるイエロー。温度が7,2度と低めなので、まだ全開ではありませんが、ミカン、パイン、オレンジ、甘味にハチミツ、爽やかさもありますね。とてもクリアな果実香で、ヴィエ・ディ・ロマンスのシャルドネらしさを感じます。
口に含みますと、新鮮な酸味もありますが、プチプチしているわけではない。穏やかなミネラル感があり硬質過ぎないし、ミネラル推しではない。ほどよいボディがあり果実味もよくまとまっていますよ。うん、美味しいですね。終盤に少しの苦味はありませんが、塩味はほぼ感じていません。まだヒエヒエの状態ですが、余韻はすでに長い。
継ぎ足し二杯目、温度は9,8度。少し開いてきました(最初が閉じてたわけではない)。11度、いいですね。香り、味わいもクッキリとしてきました。この数年のヴィエ・ディ・ロマンスは少し硬質感が強く、若いうちは、どうかなあ、少し寝かせたいなあという思いもありますが、2019年はそれほど硬さを感じるわけではありませんね。ミネラルが少ししなやかに感じます。11度でもまだ低めに感じますが、これぐらいからが本領発揮ではないでしょうか。少しクリーミーさも出てきたかな。奥深さ、立体的になりますね。13度。これぐらいかな。白ワインだし、「冷えてない」と感じるのは「ぬるい」と一緒ですからね。ある程度は冷えて感じる方がおいしく感じる。要はソコなんですよね。目の前のワインが美味しくするためには飲み手の創意工夫が必要だし、そのポイントを探るのも面白い。継ぎ足しの三杯目は11度ですが、うん、最初の11度の時よりもグンとよくなりますね。これは、空気と触れることで‥という、開きや、まとまりがもたらされたんだな。温度と時間経過、ここポイントですね(テストに出ますよ)。12,5度、いいねえ。少しまったりと粘度も‥少しですけどね。これはまた二日目も楽しみです。温度計で測りながら飲むなんてのは、非現実的だと思いますが、温度を意識して欲しいということですね。なお、アルコール度数も13,77度、いいですね。これぐらいがいいんですよ。シャルドネなのでアルコールによるボリュームがあってもいいですけどね、こちらはステドネなので、これぐらいがいい。
二日目は10度スタート。グラスはシュビゲラウのユニバーサル型です。まだ低い温度ですが、初日よりも果実香豊か、パインや柑橘系がいいですね。少しクリーミーな香りもあります。飲み口も開いて感じますね。味わいは深く、酸味はクッキリとしてきました。これなら10度ぐらいでもいいかもしれません。で、15,5度。うん、これもおいしい。エグ味は出てませんしね。
三日目は8,8度。三日目ともなると、香味は開いているので、逆にユルみをなくすために温度は低くてもいいという考えです。ちょっと〆てあげる感じですかね。最後の一杯となりますが、バックラベルにも記載していますが、酒石酸っていうんですかね。白い結晶の澱のようなのが少しありました。グラスに沈んでいます。基本沈む要素なので最後の一杯は少し丁寧に注いであげてください(自分に言うてます)。うん、この温度でもイケてますね。でも、やっぱりもう少し高くてもいいかな。まあ、おいしいからこの温度でもOKです。徐々に、酸味のクッキリ度も上がるし、苦味も少し増したように思います。とはいえ、果実の香味は柑橘を中心にしっかりとあり、ミネラルにほどよい厚みを感じ、軽々しいタイプではないんですよね。
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