Etna Bianco 2017 Graci
→ Tremilla Yen di Vino Italiano :イタリアワイン三千円
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エトナ・ビアンコ 2017 グラーチ
《イタリア/シチリア/白/カリカンテ70%、カタラット30%/辛口》
元々、実家はシチリアでブドウ栽培農家だったがそれを継がずにミラノの投資銀行で働いていたというアルベルト・グラーチ氏。しかし、エトナを訪れてワイン造りを夢見るようになったのだとか。2004年、祖父の他界を機に実家に戻ったアルベルトはシチリアでは一般的な(語弊あり)質よりも量を重視していた祖父の荘園を売り、エトナに畑を購入します。
エトナは特別な土地。火山性土壌で、豊富な日照がありながらその標高の高さから冷涼。そして、100年を越える樹齢の高いブドウが現存していること。
アルベルト・グラーチの好むワインはバルトロ・マスカレッロや、ジャコモ・コンテルノのバローロだとか。規律の中に厳格さがあり、妖婉さや純粋さがあって野蛮ではない。そんなワインを造りたい。彼が購入した醸造所は100年以上の歴史を持つ建物で、古い大樽や、木製のプレス機もまだ残っています。発酵槽は大き過ぎて使えないので小型のセメントタンクを導入しています。
ステンレスタンクは発酵時に温度が一気に上がるので、温度がゆっくりと上がるセメントタンクの方が酵母の能力を最大限に引き出せるという考え方。
畑は、エトナの北斜面、最も注目されているエリアのひとつである「パッソピッシャーロ地区」にある。2004年に購入した畑は標高660mの「アルクリア」と標高1200mを越えるフランク・コーネリッセンの隣の畑でもある「バルバベッキ」の2つ。以前の畑の所有者がケチだったお陰で一切農薬が使われていなかったとか。剪定は効率的ではなかったが、土壌は痛んでおらずとても良い畑のようです。
アルクリアは25haの敷地の内、ブドウ畑は15haでネレッロ・マスカレーゼが90%、ネレッロ・カプッチョとカタラット、カリカンテが他に植えられている。1200mを越えるバルバベッキに至ってはフィロキセラも到達していない区画で、そのほとんどの樹が自根。あまりにも標高が高いので他にはオリーブとリンゴしか育たないとか。湿気や病原体は少なく、ブドウにまつわる病気はほとんどない。それは農薬を使用する必要もなく、ボルドー液さえ使わずに栽培することが可能ということ。ただ、極度の乾燥による自然発生する山火事が問題になる。
グラーチのエトナ・ビアンコは標高600m付近のアルクリアにあるカリカンテ(1.5ha)とカタラット(1ha)が混醸されます。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
エトナロッソと同じ意匠。赤は赤色、白は黄色の書体です。下部の黒帯に、白抜きのGRACI、シェパードも健在、コルクはなかなかの質(結構イイ)の4,5cm、冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムXLのピノ型です。表記のアルコール度数は2016年は12.5度でしたが、この2017年は13度となります。色は2016年のようにオレンジが射す感じはありませんね。しっかりとしたレモンイエロー。
なにが凄いって、香りが凄い。
非常に芳香な白、黄色の花の香りもありますが、それにも増して、それに導かれるように柑橘果汁のたっぷりとした果実香が惜しげも無く開きまくっております。色味はそれほど濃さはありませんが、香りには濃さを感じますね。黄色の皮の柑橘果汁だけではなく、少しオレンジ色の皮、果肉の柑橘果汁があるので、少し低音にも感じます。
口に含みますと、塩味を感じるミネラルが十分に果実味に溶け込んでおり、13度と少しアルコールも高くなったので、果実味にボリュームも感じます。酸味も溶け込みを感じ、塩味とともに、甘味ある果実味をダレさせない。硫黄っぽさなどない火山性土壌らしさも少し感じ、少し硝煙反応的ミネラルの香味もありますね。まだヒエヒエですが、グンと旨味が増してくるタイプで、酸味を道しるべに沸き上がる感じもとてもいい。
旨いですねえ。テッレ・ネレや、ベナンティのエトナ・ビアンコも大好きですが、白だとこのグラーチが一番メリハリが効いてるんですよね。もちろんエトナらしさもあるんだけれども、親しみやすい果実の香味もたっぷりあるし、サッパリとタップリのメリハリがいいんだな。華やかで芳香な香りもいいね。
二杯目も断然おいしさわかりやすい。他のワインが難解という意味ではないが、真面目過ぎないという親しみやすさ。酒質は軽くはないが、軽快に理解できるおいしさがある。ガチの(このワインがガチじゃないという意味ではない)エトナは、土壌由来の香味もやや前過ぎて(それはそれでいいんだけど)、やっぱりワインってブドウが原料なんだけど、いろんなフルーツたっぷりなのがいいですよね。
二日目も冷蔵庫キンキン温度。グラスはヴィノムXLのピノ型です。華やかかつ開いた柑橘系の香りがとてもいいですね。ちょっと雰囲気的にヴェルメンティーノの華やかさにも似てるような気もします。そこに混じるミネラルにはやはりエトナらしさを感じますけどね。柑橘の中に、少し熟れた洋梨の果汁、微量の桃のようなニュアンスもありますね。飲み口に透明感があり、少し硬度を感じるミネラルが出て来ましたね。そのミネラルにはやはりエトナな火山性土壌が溶け込んでいます。土壌由来の要素ってのは、ある程度の時間が経ってから出てくることが多い‥というか、揮発的な香りなどが落ち着くので、ポジションが前に感じるだけで量は同じなのかもしれませんが。
少しラムネの粉、そこが旨味。まるでハッピーターンの粉のよう。あ、こんなこと書くと化学調味料に過剰反応される方には経験されるかもしれませんね‥反省。香りには果実由来の甘味を感じますが、味わいに旨味と甘味を感じつつもしっかりとドライ、辛口でフィニッシュするのもいいですね。
そう、塩味もよりクッキリとしてくる。香り、味のレンジが広い≒複雑なのが、グラーチのいいところですね。
三日目も冷蔵庫キンキン温度。グラスはヴィノムXLのピノ型です。いい。ほんと華やかで果実香も豊かでとてもいい。飲み口に落ち着き‥穏やかな旨味と、落ちない酸味。ワインとしてちゃんとしてますよね。伸びやかな味わいで余韻も長い。酸味と、しっかりドライなフィニッシュもいいですね。新鮮な野菜に、ニンニクの効いたヴァージャカウダ、サルサヴェルデで蒸し鶏(サラダチキンとか)もいいかもしれない。イワシのマリネ、オイルつゆだくにシチリアらしいチェリートマトなんかもあればいいですね。テッレ・ネレのエトナ・ビアンコもしっかり柑橘の香味もあり(土壌由来のミネラルばかりではない)大好きですが、グラーチのエトナ・ビアンコのメリハリのある華やかさ、果実の香味も大好きですね。
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