Dessimis Pinot Grigio 2014 Vie di Romans
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デッシミス・ピノ・グリージョ 2014 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ピノ・グリージョ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール。
17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシ
アから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
イソンツォ川の南部は粘土質や石灰質が多い土壌で、畑での仕事量は半端ない。グリーンハーヴェストは二度行い、一本の樹から収穫されるブドウは600g、一本のワインを造るに1000gのブドウが必要と言われているので、そのためには二本の樹から収穫したブドウを使うことになりますね。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
■2014年のビンテージ情報
2014年ビンテージは収量が40%減と苦しいビンテージだった。涼しい気候で、決して多雨ではなかったが、日照が少なめのビンテージでした。断続的に降雨があったことで三回にわたってブドウ樹の手入れを行い、除葉することでブドウの房間の通気を良くし、ブドウの健康を保ち完熟させることに注力しました。完全に手作の収穫は通常は45人程度で行われるが、2014年はひとつひとつの房の健康状態を畑で見極めるために70人ものスタッフで収穫することでしっかりとブドウを選別した。アルコール度数は例年よりも穏やかで、酸がしっかりしてるビンテージ。ブーケに花や柑橘、ミネラルの印象が多くあり、香り豊か。長期熟成に向いたクラッシックなスタイルに仕上がっています。
■ヴィエ・ディ・ロマンスの熟成樽に関しての追加情報
西野嘉高もテクニカル情報を書きながら気になっていたのが熟成樽の容量の情報なんですね。225Lと228L‥その3Lの違いに何があるのか?輸入元さんから回答が来ましたので追加情報として記載しておきます。
樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボルドータイプである225Lの樽のが異なるそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマンスではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めてしまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入することになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないとのことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
「デッシミス」とは"農家の年貢"という意味だそうです‥。いまどき「年貢」なんて単語を聞くのも稀ですが、その昔‥農家は「出来のいい」農作物を奉納しなければならなかった…。つまり「年貢」となるのは「出来のいい作物」なんですね。よってヴィエ・ディ・ロマンスの出来のいいワインとして「デッシミス」という名前となったようです(たぶん)。
デッシミス畑はヴィエ・ディ・ロマンスが所有する畑の中でも比較的広い7.50haの畑。haあたり6000本の株密度でピノ・グリージョが栽培されています。植樹は1985年、1999年、2002年。平均樹齢は21年で海抜は34m。砂利や小石を含み、鉄分由来の赤みがかった粘土質の土壌。
2014年ビンテージは9月の3日から5日、15日と16日の五回に分けて。手摘みで収穫されたピノ・グリージョは、約8度でのコールドマセラシオンの後、16度から19度に温度管理されたステンレスタンクでの発酵(2/3)とバリックでの発酵(1/3)の併用では18日間。マロラクティック発酵は施されず、澱と接触させたまま樫樽(50%が225L、50%が228L)で約9ヶ月の樽熟成後瓶詰め。2015年の8月3日と4日に瓶詰めされ、約10ヶ月の瓶熟成を経ます。9ヶ月の瓶熟成期間を経てリリースされます。
アルコール度数は2009年が15.56度、2010年が14.21度、2011年が15.00度、2012年は15.23度、2013年は14.66度、この2014年は13.20度と低めですね。
数年間まではもっと赤味がかった色を持つピノ・グリージョでしたが、この数年は淡さを感じる薄いピンク色。スキンコンタクトによる色の抽出と思われがちですが、決してそうして色が付いているわけではないそうです。ピノ・ノワールの亜種のひとつであるピノ・グリージョが完熟すると、ブドウ果皮の色がしっかりと果汁に伝わり、スキンコンタクトをせずとも果汁に色が付くそうです。また、搾りたてのモストから酸化が進めば透明に近づくそうですが、ヴィエ・ディ・ロマンスでは酸化を嫌う為に搾りたて同様のピンク色が保たれるそうです。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのラベルデザイン。バックラベルに表記のアルコール度数は13.5度ですが、前述の通り、ヴィエ・ディ・ロマンス公式カタログの数値は13.20度となります。昨年は5.5cmのディアム社製の圧縮コルクものでしたが、2014年は生コルクの5cm。コルクに関してはバリエーションがありますのでお客様が抜栓するのは合成コルクかもしれません。コルクにはビンテージの刻印もありますが、いつものは違う感触、ひょっとすると新しいコルクメーカーのものかもしれませんね。
冷蔵庫キンキン温度、グラスは迷ってヴィノムのブルゴーニュ型。デッシミスの場合は、その色調が気になるわけですが、2013年ほどオレンジや銅色が射す感じではない。まったくそれがないわけではないが、(デッシミスとしては)思ったよりも黄色が強い。ただ、注ぎたてと、一息ついた5秒後(5秒前ではない)には、一段、色が深くなります。
注いでいる途中から感じるのは夕張メロンと、マスクメロンの香り。そう、オレンジの果肉と、黄緑の果肉‥両方のメロン。そこに新鮮な完熟パインの果汁、アプリコット、やっぱりブラッドオレンジや、タンジェリンの皮、果汁も感じますね。香りはよく開いています。
実は今年も一部樽発酵がされているのかは確認が取れていないのですが、ほのかに樽香のようなニュアンスも感じますね。
口に含みますと、2014年も心配のないフルボディ。2013年ほどの重さは感じませんが、密度感はしっかりありますね。ミネラルはやわらかく、少しの苦み、渋味が余韻に繋がります。甘味はあるが、しっかりとドライな飲み口もいい。
2014年も旨いじゃないか‥。
どうも近年、安定してきた感があったのですが、一部樽発酵が似合うワイン(品種)なんでしょうね。相変わらず香りはとても複雑、柑橘とメロンがふんだんです。
少しの時間経過で、まるでヴィニフィカート・イン・ビアンコ的な金属的なミネラル感が増してきました。より冷酷で鉛のような重い刃物で、乾いた切れ味。すでに旨味がある。
正直2013年ほどではない。しかし、デッシミスの個性をしっかりと持ち、おいしい。甘味と旨味の中に、渋味と苦みがしっかりある。複雑なのはフルーツの香味だけではないのだ。
ふと、思い出す。アマのロザート。確かに赤い果実‥チェリーやベリー、紫の花のヒントこそないが、このなめらかなミネラル感に渋味や苦みがあり、強さを感じるこの感覚はロゼに近いと言える。色さえもっとピンクであれば、ロゼとして認識するはず。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのボルドー型。メロンの香りとブラッドオレンジの柑橘、黄色の花、香りはやっぱり良く出てますね。口に含みますとグンと一段の深さ、まとまりがあります。2013年ほどの密度の高さやふくよかさはありませんが、バランスがいいので、決して小さくは感じません。
うん、確かによくまとまってます。初日の渋味や苦みも溶け込んできました。温度が少し上がった方が似合いますね。とてもまろやかです。
三日目も冷蔵庫キンキン、グラスはヴィノムのブルゴーニュ型です。少し銅色がかってきましたかね。でもひとつシルバーのフィルターがかってるのがこの手のワイン。三日目ですが香りはまだまだ沸き立つように開いています。やはり樽もキレイですね。発酵から‥というのもよくわかる。デッシミスはこれくらい(もっと?)樽が効いてていい感じ。
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