Chianti Classico Berardenga 2015 Felsina
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キャンティ・クラッシコ・ベラルデンガ 2015 フェルシナ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョヴェーゼ/ミディアム》
ドメニコ・ポッジャーリ氏がカステルヌォーヴォ・ベラルデンガのワイン荘園を購入したのは1966年のこと。友人であった故ルイジ・ヴェロネッリ氏の紹介で、フランコ・ベルナベイ氏をエノロゴに雇い入れ、1983年にリリースしたのがフォンタッローロと、キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ・ランチャ。このふたつのワインで一気にフェルシナの名声が高まることになります。ポッジアッリ家の所有となりますが、現当主は、娘婿であり1982年までは哲学博士として高校で教鞭をとっていたというジュゼッペ・マッツォコーリン氏。
フェルシナが位置するのはシエナの北、キャンティ・クラッシコ認定地域最南端のカステルヌォーヴォ・ベラルデンガ地区で、一部はキャンティ・コッリ・セネージ地域となり、境界を跨いで畑を所有しています。ランチャはキャンティ・クラッシコ地区内の単一畑、フォンタッローロはキャンティ・コッリ・セネージ地区のブドウも混醸されてますので、キャンティ・クラッシコを名乗ることはできないんですね。
カステルヌォーヴォ・ベラルデンガ地域は土壌は石灰を含む岩と薄板状のマール土壌が主体で、僅かに砂質とシストが混じり込みます。この複雑な土壌は感想しがちでブドウ樹は地中深くの粘土層まで根を生やさないと十分な水分を得られません。現在ではビオロジックを採用してブドウ栽培を行っていますが、ブドウのみならず様々種の植物をブドウ畑に隣接させることでミツバチや、動植物との共存を進めているそうです。
「有機的な栽培だけでは十分とは言えない。サンジョヴェーゼはマッサル
セレクションによって色々なクローンの最良の樹を増やしてきた。
更に森や動植物との共存を進め、次世代に僕達の伝統を残していきたい。」
また、同時に、
「自然な栽培環境とワインの美味しさは関係ない。」
とも言い切るところに共感を覚えます(まったくその通りだよ!)。
キャンティ・クラッシコ地区最南端であるカステルヌォーヴォ・ベラルデンガの個性をストレートに表現したフェルシナの基本となるCC。haあたり5,400本の株密度で栽培されるサンジョヴェーゼ100%で、標高320mから450mの風通しの良い斜面の異なる様々な畑からのブドウを使用されます。上部は水晶や石灰が豊富な痩せた土壌、下部は粘度が強く砂も多く混じります。初ビンテージは1967年と歴史もありますね。
サンジョヴェーゼ100%な単一品種ですが、様々な環境からのサンジョヴェーゼを混醸することで単一品種ながら複雑さを表現しています。標高によって収穫時期が異なりますが、10月の中旬と比較的遅め。
粒選りで選別されたブドウはすべて除梗され28度から30度に温度管理されたステンレスタンクでの12日から15日間の醸し発酵。発酵中は毎日パンチダウンとポンプオーバーの処理が施されます。樽熟成はスラヴォニア産の中樽が基本で、数%のみ2年または3年落ちのバリックで熟成されます。熟成期間は12ヶ月で樽熟成後アッサンブラージュされ瓶詰め。瓶熟成期間は約3ヶ月。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
近年は、キャンティ・コッリセネージもリリースされておりますが、リゼルヴァもランチャのみならず、ベラルデンガ・リゼルヴァもありますので、ラベルもしっかりとチェックしたいところです。このスタンダードなCCは白地のラベル。筆記体で書かれた"Berardenga"の文字が中心でその土地の表現という姿勢は今も変わらず。数年前に一新されよりシンプルでセンスのあるものですが、相変わらず"FELSINA"の文字の配置がちょっと慣れません。コルクはまあまあの質の4.5cm、グラスはヴィノムのキャンティ型です。ちなみに表記のアルコール度数は13度となり2013年よりも0.5度低くなっています(2014年が輸入されていませんので不明)。
いい色していますね。明る過ぎず、赤黒いグラデーション。香りもよく開いています。軽くスパイスを伴い、少し甘味のあるスミレの香りと、赤い果実達に純度を感じます。全体的に軽いという意味ではなくとてもフルーティー。果実香にも黒い皮の果実も。樽は決して果実香を邪魔をしない。
口に含みますと、やはりフルーツに純度がありますね。ミネラリーさと心地より酸味、とてもキレイなミディアムボディでとても飲みやすい。まだムクるはずですが旨味もすでにあり酸味と相まってジューシーさも。そこにフェルシナらしい良質のタンニンもあり、この構成感はフェルシナならではですね。全体的にすでに整っており、すでにバランス良く飲める状態。
2015年は果実香もとてもいいですね。しっかりと熟しながらも過熟感がないのもいい。アルコールも13度と適切にコントロールされているのがしつかりと伝わります。グラスの中で、一段、二段と深くなりますね。深さは濃さにも感じるし、やはり立体的になる分フラットではないんですよね。
ああ、どんどん旨くなってくる。2013年のような前へ前へのミナギリではなくすでに完成され、タタズム感覚。うん、完成度高い。未完成な(語弊あり)の状態の方が、ある意味凸凹として印象に残るかもしれない。完成されたものは、いい意味で引っかからないほど‥まとまっています。
この感じだともう少し大きめのグラスでもいいかもしれませんが、初日はヴィノムのキャンティ型にしておきましょう。
二杯目です。単一品種ですが複雑さも十分。赤や黒の果実に、ミネラル、スパイス他、要素は十分ですね。よりまろやかに、しっとりと、やわらかさも出てきました。これは初日から旨過ぎますね。そして、すんごく飲みやすい。ストレスのないワイン‥理想です。先の話しとも被りますが、ストレスがない=凸凹してないとも言える。となるとスルリと飲めてしまって引っかかりがないほど‥まとまってるんです。
二日目は思い切ってヴィノムのブルネッロ型にしてみます。よりスミレと果実の香りが適度に開いて感じますね。例年よりも果実の熟度を感じる、甘味ある香りを2015年は強めに感じますが決して軟派なものではありません。口に含みますと、初日よりも増した旨味に甘味、酸味との関係はジューシーでしっとり感がありますが、フェルシナらしいタンニンはカーボン粉のように微粉で乾いています。甘味を感じるけれどもしっかりとドライ、辛口に終息しますね。
赤や黒のチェリーやベリー系の果実が酸味と渋味を伴うわけですが、どこかマンゴーちっくな味わいがあるんだな。
うん、フェルシナらしいなあ。この渋味がフェルシナらしい。例年よりもやわらかく感じるんだけれども、しっかり渋味があって、そこが酸味とともにストラクチャーなんだなあ。
2015年はアルコール感にも似た、そう決してアルコール感ではないんだけれどもエキスを感じますね。しっかりと果実が熟してて「味が濃い」そんな状態。余韻の長さに通じる満足度の高さ。グラスの中でやっぱり良くなる。ワインを勉強し始めた頃はよく空気を含ませて‥なんて習いましたが、注ぎたてよりも(スワリングし過ぎはダメですが)、時間経過とともに空気を含ませるとより甘味やまろやかさが増します。
二日目の二杯目はヴィノムのキャンティ型に戻しましょう。やっぱりこのグラスかな。より大振りなグラスだと役不足というわけではないが、CCなサンジョヴェーゼはこのグラスが座りがいいし、やっぱりより密度感があります。
うーん、やっぱりいいバランスだよね。それは間違いない。フェルシナのCCらしさ、高次元でのバランス、まだまだ若いんだけれども十分においしい。もちろん、5年ほど熟成させてよりまたーりさせてみたい気もするがもうこれで十分に旨い。
フェルシナの真面目さはそのままに、厳し過ぎない‥そんな感じかな。緩急というわけでもない、とてもいいまとまり。
三日目は(素直に)ヴィノムのキャンティ型。しっかりと開いていますね。しっとりとした旨味に溢れ、期待通りのジューシーさ。いい意味で力が抜けて飲みやすさもあります。とはいえ、CCらしい酸味も不足はないし、フェルシナらしい渋味が揺るぎない構成感に。
甘味に逃げてはいないですね。2015年の優位性も感じるが、いつものフェルシナ同様のスクっとしたイデタチも嬉しい。まだまだ熟れてさらによくなる要素もあるのは若いビンテージゆえだが、すでにおいしい。三日目でもそう初日と変わるわけではない。
うんまい。とてもいい。やっぱりグラスの中で良くなりますね。オヴァチュアや一般的なサイズでいいと思います。ゆっくり飲めますね。抜栓後も長く持ちますし、飲食店さんも使いやすいんじゃないかな。酸味もあるので食事栄えも間違いない。
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