Chianti Classico 2005 Livernano
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キャンティ・クラッシコ 2005 リヴェルナーノ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョベーゼ80%、メルロ20%/ミディアム》
ワイナート誌16号‥2002年の秋なんですね。特集は『サンジョベーゼ・イン・キャンティ』に掲載され、すぐさま並行輸入で引っ張ってきてもらったんですよね。当時は、サンジョベーゼ100%のプーロ・サングエに、ボルドーブレンドのリヴェルナーノ、白のアニマに、リヴェルナーノのグラッパ、畑の周りで自生するベリー類を蒸留したグリンなど‥扱ってましたねー。1998年も扱ったような記憶ですが、1999年や2000年‥1999年前後のスーパートスカーナはゲキ熱でしたもんね。当時のメルマガでは、どこか正規が付かんか?な、ことをよく書いていた記憶です。時は流れ‥2002年あたりは生産されてなかったか‥並行市場でも、いつまでも2001年おオファーがあり、2003年に切り替わるまで相当なブランクがあったんだな。西野嘉高は2001年までしか扱ってませんでしたが、最近になって、正規輸入元が付いたんですよね。
当時のオーナーであるマルコ・モンタナーリ氏はスイス人医師。ワインに取り憑かれ、医師を辞めて1993年にリヴェルナーノを立ち上げました。ステファノ・キオッチョリをエノロゴとして初めて雇い入れたのも彼で、彼の好きな葡萄品種は‥ピノ・ノワール‥実験的な醸造を経て、1995年に初ビンテージを迎えます。
実は昨年‥エミリア・ロマーニャ州のブルジゲッラという小さな村の代表と、その地でワインを‥サンジョベーゼを醸しているという生産者が来日され(しかも俺のいない阪急百貨店のイタリア展)ていたわけですが、その生産者こそが‥リヴェルナーノを辞めたマルコ・モンタナーリ氏だったんですね。
どうしてリヴェルナーノを辞めたのか‥その真意‥阪急百貨店のイタリア展は顔を出したのですが、結局マルコ・モンタナーリ氏には会えず‥ということで‥現在も、当時‥マルコ・モンタナーリ氏の時代からリヴェルナーノで働くアルベルト氏によると‥(今年のヴィニタリーで、正規輸入元さんに聞いてきてもらいました)
「個人的な理由で辞めた‥ブルジゲッラの可能性に賭けたのではないか」との答え。
またいつか‥いや、もうブルジゲッラでのワイン造りに没頭する彼に、リヴェルナーノを辞めた理由を聞くのもヤボかな‥。
一世を風靡したスーパートスカーナ‥オーナーが代わった‥なんて話は珍しくありません。老舗なオルネライアだって‥ロドヴィコ・アンティノリから、フレスコバルディになりましたし、一旦‥生産されてなかったとか‥あるあるあるある‥それもオモロい‥何でもありなのが、これまたスーパートスカーナな感じですね。
新しいオーナーの元‥再出発となったリヴェルナーノ。前オーナー時は、生産してたけど‥ピンキオーリ専売だったか‥なキャンティ・クラッシコの登場ですよ♪
キャンティ・クラッシコDOCGエリアの中心部…ラッダ・イン・キャンティ地区。街から少し離れた高台に醸造所を構えます。ラッダ・イン・キャンティ地区は、他の地区よりも標高が高いのが特徴で、リヴェルナーノの他には、モンテヴェルティーネや、テッラビアンカなどが同地区にアジェンダを構えます。その高い標高は650mあたり。高台がゆえ、日照量は多いが、気温は相対的に低めで、傾斜の強い畑なんですね。
リヴェルナーノの建築は12世紀から13世紀に建造された古いもので、敷地内には1031年の文献にも記載されている古い教会もあるとか‥。マルコ・モンタナーリ氏の時代から改築が始まりましたが、それも近年完成。マルコ・モンタナーリ時代と違うのはセラーが移築されたことと‥(完全な温度管理になったそうです)醸造にグラヴィティシステムを導入したことだそうです。(グラヴィティシステムとは重力に逆らわずに‥収穫した葡萄を搾って発酵させて熟成させて‥な一連の作業が上から下へ‥なシステムね)
現在のオーナーは、ボブ・クイッリオ氏とオーストラリア出身の妻、グドラム夫妻。ボブ・クイッリオ氏は、元々、フロリダのパームビーチで美術の取引や、劇場の興行に携わっていたそうで、ブロードウェイを中心としたアメリカ国内のみならず、ヨーロッパや、オーストラリアを駆け回っていたビジネスマンだったそうな。
2002年‥夫婦でリヴェルナーノを訪れたのがきっかけで、ワインの生産者になることを決意‥マルコ・モンタナーリ氏からリヴェルナーノを引き継いだようです。ちなみに‥マルコ・モンタナーリ氏時代から、洒落たアグリツーリズモも経営してましたし、最近では、ウエディングパッケージ‥なんてのも掲載されてますね。また、ワインのみならず‥ジャムにハチミチ、オイルなんかも造ってまして、アグリツーリズモで使いつつ‥お土産売場とかあるんでしょうかね‥販売もされているようです。(マグカップまで売ってるぞ。)
現在リリースしているのは、リヴェルナーノ、プーロ・サングエ、キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ、キャンティ・クラッシコ。白のアニマ。グラッパ系は、グラッパ、グラッパ・リゼルヴァ、グリンのようで、特に変化はありませんが、同じ醸造所ながら、カサルヴェントという別ブランドもも始めたようで、こちらは買い増しした畑からの葡萄で造られ、違う個性、キャラクターが与えられており、近年までは、またもや‥エノテカ・ピンキオーリ独占だったようです。(ヤヌスとかいう、杉浦幸の学園ドラマかよ‥みたいなワイン名。)
さて‥せっかくのリヴェルナーノですが、リヴェルナーノは2003年、プーロ・サングエは2005年が近日‥とのこと。2003年のリヴェルナーノは華麗にスルー。2005年のプーロ・サングエは、飲んでみないと‥な感じ。(それなりのお値段するからね‥)しかし、このスタンダードなキャンティ・クラッシコがなかなかイイんですね。
haあたり6000本で植樹された葡萄達は、ステンレスタンクによる発酵、350Lのオーク樽で12ヶ月の樽熟成を経ます。キャンティ・クラッシコ地区の中でも、標高が高いことから、昼夜の寒暖差が大きいのがリヴェルナーノの特徴。石灰質の土壌ですが、さらに、大きめの石灰岩を畑に巻くことで、夜間の極度の冷え込みから、葡萄を守ります。サンジョベーゼは、糖度の高さのみを重要視するのではなく、糖度の酸度のバランスを最も重視しているそうです。(当たり前だが‥)225Lではなく、350Lのオーク樽を使うことで、十分な酸素供給を可能にしながらも、ワインに与える樽のニュアンスをコントロールしているそうです。
サンジョベーゼ80%にメルロ20%。最近の西野嘉高の趣向からすれば、キャンティを名乗るのであれば、メルロやカベルネブレンドはちょっと‥と、しばらく清閑していたのですが、飲めば納得!!
予想外にモダン過ぎず、メルロ‥20%も入ってるの?なドが付くサンジョベーゼな酸味‥モダンながら、ツボを押さえた香り‥
これぞ現代のキャンティ・クラッシコなんだなっ!!
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ボトルは、今時の平均的なボルドー型ですが、やっぱりラベルが可愛いんですよね♪このキャンティ・クラッシコは、TV版のシャア・ザクなピンク色で、久々に見たヤッターワンの顔のような紋章。チェッカーフラッグ的な格子模様。表ラベルの下に、バックラベル的のが貼ってあるのも、相変わらず。ちなみにアルコール度数は13.5度となります。マットな黒のキャップシールの上部だけマットなシルバーなのもイイですね。コルクは、並質の5cmで、URLや電話番号まで刻印されているのは‥珍しいですね。コルクのお尻は、綺麗な赤ピンクに染まっております。グラスは、迷いに迷って‥まずは、ヴィノムのボルドー型でスタートです。
エッジは、薄らのピンクがかったガーネットで、ようやく底が透けて見通せる感じの透明度あるルビー色ですね。グラスに注いだだけですが、なかなか香りが開いております。軽いコーヒー豆のロースト香を伴う樽香がまず飛び込みますが、決して強過ぎるわけではありません。ブラックベリー、詰めたスミレ、アンコ、メルロが20%ということもあり、ウルトラ・スーパー・モダンなサンジョベーゼを感じさせないキャンティ・クラッシコかと思ってたんですが‥モダンではありますが、モダン過ぎることはありませんね。たっぷりの酸味を感じさせる香り、赤く染まったラムネ菓子、杉じゃない、原木のスライスした感じ。スワリングとともに‥最初のローストな樽香は馴染み果実主体の香りになりました。
口に含みますと…さらに、しっかりとしたキャンティ・クラッシコであるのが判明。口の中の液体は、ミディアムなボディで、角は取れきれはしないものの‥なめらかさも‥なかなか優しい果実味なんですね。
この酸味が美味しく、この酸味はキャンティ・クラッシコそのもの‥でもあります。トマトソースが喰いたいな‥そんな欲求がフツフツするのは、やっぱりこれが、サンジョベーゼであり、キャンティ・クラッシコだから‥なんですね。強さ‥も強過ぎないんですよね。一部の(←ちゃんと言い訳もしておく)ビオ系のキャンティ、サンジョベーセに散見される優しさという緩みは皆無。やっぱり酸だと思うんだよな‥酸。
終盤から酸が美味しい。
試しにヴィノムのブルゴーニュ型で飲んでみる。一瞬、蝋石の香りが上がってきますが、スワリングで‥大丈夫。酸味を感じさせる香りは、ブル型の方が綺麗に出てますが、果実はボルドー型の方が強く感じられるかもしれません。
酸味同様に、しっかりとした渋味もあるんですよ。ミネラルの固さ‥もまだありますしね。口に含みますと、ブルゴーニュ型の方が、優しい横長の楕円形で、酸味も溶け込んで感じるのが不思議ではありますが‥
こっちの方が好きかも♪
ブルゴーニュ型で飲んだ方が、軽く甘味も感じてイイですし、当時のプーロ・サングエを思い出させるサンジョベーゼ‥時間経過とともに、もう一段階の深みや旨味が増す‥と確信していますが、初日から‥この状態は、この価格としては、十二分なコスパがありますね。
ここんところ‥キャンティ・クラッシコは連敗続きだったのですが、これは美味しいです。クラッシクではなく、トラディショナルなキャンティ・クラッシコを探せば、探すほどに迷宮入りしていたわけですが、やはり、ちょいモダンで、酸味の質のいいどこかエレガントさも兼ね備えるタイプ‥の方が、結果、西野嘉高の求めるキャンティ・クラッシコらしさ‥があるのを確認しました。メルロ20%を‥それはヤリ過ぎ‥と思ってたんですけどね。その予想‥きっとキャンティ・クラッシコらしくなくって‥IGTっぽいんだろうなぁ‥は見事い覆され‥ちゃんとキャンティ・クラッシコらしさがあるんですよ!
合格っ!!
酸味にお茶の渋味が交差します。ワイン単体で飲むよりも、お料理があった方が似合う酒質ですね。13.5度というアルコール度数も、ぴったりハマっています。実は、バランスがいいんだな。それなりにモダンなニュアンス以外は、何かに秀でるタイプではないんですが‥それは、バランスいいんじゃね?と≒なんですね。
いいねぇ。ボトル1/3ぐらいになったかな。抜栓後30分程度ですが、グラスの中で良くなりますね。いい甘味があるなぁ。樽に頼ってない‥のも好きですね。ほんの軽くですがタール。これは、二日目が楽しみだ♪
二日目です♪二日目はブルゴーニュ型グラス一択で。初日の二杯目同様、ひと嗅ぎ目は蝋石の香りがしますが、スワリングで、果実主体となります。放たれる香りのニュアンスは初日とさほど変化はないように思えます。
口に含みますと、うーんさすが二日目ですね。旨味がでてきて美味しいですね。香りも甘味のあるベリー系にスミレが交差します。酸味が、その旨味、液体に溶け込んできまして、ジュワジュワとしてきました。渋味にも甘味があり、美味しいですねぇ。
いいミディアムボディですね。もっとパワフルにも造れた‥と想像しますが、リヴェルナーノのスタンダードなキャンティ・クラッシコとして必要十分‥この価格なら、モダンに針を振り過ぎたなんちゃってキャンティ・クラッシコと比較すれば、十分にキャンティ・クラッシコらしさ‥を持っています。
スワリングし続けると‥旨味が前面に出て‥旨味だけーな単調に感じるかもしれません。それを思うと、二日目はオヴァチュアあたりの小さめのグラスでもいいのでは‥とも思いますが、そんな感じも美味しいですね。サンジョベ好きなお客様は、きっとご理解いただけるはずです。
なんだか、気取らずに飲めるんですよね。古臭くないし、エチケッタは可愛いし…。ジャケ買い誘発、ジャケオーダー誘発。なんだかんだと‥このワインがあるといいね♪なんて、いつの間にやら‥空瓶飾ってます系かもしれません。
うんうん、あんましスワリングしない方がいいかも。スワリングせずに、口に流し込むと決して単調でもないし、綺麗に酸味がジュワ、渋味がスーっと甘味を伴う‥十分なミディアムボディ‥楽しめますね‥美味しいです。
三日目です♪思い切って、グラスをサイズダウン‥オヴァチュアで飲み始めてみます。香りは馴染んでまして、含み香に軽く樽がフワっとして‥酸味も渋味もすっかり角が取れるというか、馴染んで‥すんなり喉を通ります。ブルゴーニュ型での飲んでみます。角取れ度はあまり変わりませんが、やはり三日目ともなれば、小さめのグラスで絞めてあげた方がいいかもしれませんね。オヴァチュアの方がオススメです。
口の中の液体としては、この段階が一番好きなんですよ。ほんとよく馴染んでいて、引っかからない‥でも、ふくよかさ‥やさしさは感じられる。旨味も、穏やかで、ほんと、いいですね。
この三日間を通して、20%もブレンドされているメルロをあまり感じませんでした。20%もブレンドされていますから、きっとふくよかさや、なめらかさ‥ボディの部分では、サンジョベーゼの下支えをしていたかもしれませんが、あくまでもサンジョベーゼが主役であり、国際品種のブレンドにより、モダンすぎるキャンティ・クラッシコを逸脱したような酒質ではなかった‥のが嬉しかったですね。
ついつい、セパージュ比率から、勝手な想像をしてしまってたもので‥。サンジョベ好きなお客様、キャンティ・クラッシコ好きのお客様‥ぜひお試し下さいね♪
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