Chianti Classico 2017 Poggio Scalette
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キャンティ・クラッシコ 2017 ポッジョ・スカレッテ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョベーゼ/ミディアム》
醸造家として数々の生産者の作品を手掛けているヴィットリオ・フィオーレ氏‥イタリア醸造技術協会理事や、国際醸造家組合執行委員なども勤め、イタリアワイン界の重鎮であり、その功績は計り知れません。1978年、病気がちな妻の体調を気遣い環境のよいトスカーナに移住することを決意。また、これまでの経験と知識、理想を具現化するために自身のワインを造るべく畑を探し始め、ついに1991年、グレーヴェ・イン・キャンティ地区のルッフォリに理想の畑を見つけ出します。
1800年代後半、フィロキセラの害により、イタリアの畑は全滅しますが、その後‥第一次世界大戦後に初めて植えられたサンジョベーゼがあるこの畑を、当時の農夫達が「イル・カルボナイオーネ」と呼んでいたことから名付けられました。
そこに植わるサンジョベーゼは、サンジョベーゼ・ディ・ラモーレと呼ばれるオリジナルのクローンで、樹齢70年を越える古樹が大事に育てられています。キャンティ・クラッシコエリアではありますが、その土壌は石灰やガレストロではなく、砂岩質や、砂質が主体で、水はけの良く、その標高の高さは、日夜の寒暖の差をもたらし、風が吹き込む独特の山肌に広がる畑は、夜9時になっても、葡萄は太陽の光を浴びながらも、涼しく、病気から葡萄を守るミクロクリマとなります。
1968年に生まれたのがヴィットリオの息子であるユーリ・フィオーレ。1992年にブルゴーニュのボーヌ醸造学校
「Beaune Technicien Supereur en Viticolture ed Oenologoe」
にて醸造課程を終了し、1993年から偉大なる父、ヴィットリオと共にポッジョ・スカレッテ働き始めます。そして現在は実質的にユーリが主導し、イル・カルボナイオーネのみならず新しいワインにも挑戦しています。2007年が初ビンテージというカベルネソーヴィニョン、メルロ、カベルネフラン、プチヴェルドを各25%混醸したカッポガットや、かつてはピンキオーリ専売だったメルロ100%のピアントナイア、シャルドネ100%となりリキアーリ。そして2009年からはキャンティ・クラッシコDOCGをリリースしています。
ポッジョ・スカレッテと言えば、サンジョベーゼ・ディ・ラモーレとなりますね。もちろんこのキャンティ・クラッシコも、サンジョヴェーゼ・ディ・ラモーレが100%使用されています。ただし、比較的樹齢の若い区画から‥とのこと。現在、ポッジョ・スカレッテが所有するブドウ畑は22ha‥その内、サンジョヴェーゼは15haとなり、そこからイル・カルボナイオーネとキャンティ・クラッシコのブドウが収穫されますが、その樹齢が80年の区画、40年の区画、10〜20年の区画と分かれており、どの区画のブドウもイル・カルボナイオーネにもキャンティ・クラッシコにもなる可能性を持っていますが、やはりイル・カルボナイオーネになるブドウはたいていが高い樹齢からのブドウとなるそうですが、収穫後、アルコール発酵とマロラクティック発酵が終了する月から12月後半の段階で試飲をして、最終的に振り分けられているそうです。
ポッジョ・スカレッテの畑の規模であれば、年間10万本ほどのワインの生産が可能。ながらこれまではその30%にあたる3万本のみのイル・カルボナイオーネを中心に、あとは極少量のワインばかりで残りの70%はバルクで販売していたわけですが、現在は25%の規模に相当する約2万5千本ほどのキャンティ・クラッシコをリリースしています。とはいえ、残り45%に相当する4万5千本相当は変わらずバルク売りのようですね。
標高350mから550mの西南西の畑は、砂質、砂岩質(水はけに優れた石だらけ)と、少々のガレストロ、泥質の土壌に、コルドーネスペロナートとグイヨで仕立てられた樹齢30年から35年のサンジョヴェーゼは、若い畑はhaあたり7,250本の高い植樹率、古い畑はhaあたり3,000本の植樹率となります。収穫されたサンジョヴェーゼはセメントタンクにて15日から18日間の醸しとアルコール発酵の後、マロラクティック発酵が施され、セメントタンクの中で約11ヶ月の熟成後、40ミクロンという非常に軽いフィルターで濾過された後瓶詰されます。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ポッジョ・スカレッテらしいラベルデザインが踏襲されています。この鮮やかな赤がポイント色となるこのCCは好みの色使いです。2012年から新しいデザインのDOCGの帯封に変更されています。2011年の度数は14度でしたが、2012年からこの2014年は13度、2015年は13.5度、2016年は生産されず、度数は13度に戻っています。コルクはもっと頑張って欲しい4.5cm。例年、ポッジオ・スカレッテのサンジョヴェーゼ(・ラモーネ)は少し黒紫っぽさがあると書くことが多いのですが、この2017年も少しピンクの近くに紫を感じますが、そう黒いわけもありません。
ピュアなスミレの香り、アメリカンチェリーと、黒いベリー系の果実香もよく開いています。香りは2015年よりも少し軽やなフルーツを感じますね。少し甘味をおびたスパイス、プラム、少しラズベリー。単一品種ですが相変わらず複雑さがありますね。
口に含みますと、輪郭はやさしく、プラム香感じる酸、ミネラル、カーボン、タンニンもきめ細かいですね。少し香ばしさがありますが、樽熟成はされていません。2017年、現時点で並年になるか、銘柄によってはオフになるかもしれないビンテージですが、バランスがいいんですよね。2015年はさらに強く、深く、大きいビンテージでしらが、(小ぢんまりしてしまった‥という意味ではなく)同じスカレッテのCCらしい要素がちゃんとあり、スカレッテらしいバランスで「らしさ」を感じます。もちろん、ヌケや、ユルみがないのもうれしいですね。全体的に2015年よりも軽やかな酒質ですが、密度不足はなく、例年どおりのおいしいスカレッテのCCで間違いありません。
ついつい2015年と比較するとネガティブな表現に思われるかもしれませんが、それと比較しつつ、ちゃんと2017年単体での判断は大事なんですよね。まだ一杯目ですが、グラスの中でミネラルがやわらかくなり、旨味にも感じてきました。十分おいしいCCですよ。
二杯目。やわらかな旨味も増してきましたね。少し火打ち石的なミネラルも感じます。甘味もありますが、とってつけた感はありません。濃さだってそう。無理がないから飲みやすい。13度というのもポイントですね。
二日目もヴィノムのキャンティ型です。果実味に力みがないですね。パーっと華やかな開きではありませんが、まったく閉じを感じさせない開き。果実味も穏やかにまとまり、2015年のような力強さや、集中度ではありませんが、とても程よいミディアムで飲みやすさが2017年の利点。それほど悪いビンテージではいと思っているのですが、悪いビンテージほど、生産者の作為的な何かを感じさせると×なんですね。そのビンテージの特徴を素直に受け止め、表現しながらも‥アベレージの範囲内のクオリティーを保つ‥これが大切。なら2016年はなぜCCは作らなかったのか?の回答はまだですが、これまでヤッてた桶売りも2016年はしなかったとのことで(大いに語弊あり)、栽培または醸造の段階で何かあったのかもしれません。
旨味も出てきましたが、決して旨味推しでもない。やわらな旨味と13度というホッとするような度数がストレスなく染み入ります。強くはありませんが(最近、ドルチェットを続いて飲んでるので)スパイスもありますし、乾いたタンニンも相まって、甘味推しでもないので、親しみやすさがありながらもシリアスな一面もある。酸味の質は高いですね。キャンティ・クラッシコがおいしいかどうか?陳腐じゃないかどうか?は酸の質、とても大事です。
三日目もヴィノムのキャンティ型です。二日目よりも一層まとまったかな?程度でそう変わりませんね。まとまりは、より密度感も感じさせますので、ヌケもなければ、ユルみもない。ほんと2017年は丁度イイというアベレージが嬉しい。酸味が突出することもなく、適度な旨味を持つ果実味、渋みと酸味のバランスがほんといいですね。やっぱり13度が似合う2017年を実感します。2015年よりは、重さや強さは感じないかもしれませんが、とてもおいしいですよ。
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