Fontalloro 2013 Felsina
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フォンタローロ 2013 フェルシナ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョヴェーゼ/フルボディ》
ドメニコ・ポッジャーリ氏がカステルヌォーヴォ・ベラルデンガのワイン荘園を購入したのは1966年のこと。友人であった故ルイジ・ヴェロネッリ氏の紹介で、フランコ・ベルナベイ氏をエノロゴに雇い入れ、1983年にリリースしたのがフォンタッローロと、キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ・ランチャ。このふたつのワインで一気にフェルシナの名声が高まることになります。ポッジアッリ家の所有となりますが、現当主は、娘婿であり1982年までは哲学博士として高校で教鞭をとっていたというジュゼッペ・マッツォコーリン氏。
フェルシナが位置するのはシエナの北、キャンティ・クラッシコ認定地域最南端のカステルヌォーヴォ・ベラルデンガ地区で、一部はキャンティ・コッリ・セネージ地域となり、境界を跨いで畑を所有しています。ランチャはキャンティ・クラッシコ地区内の単一畑、フォンタッローロはキャンティ・コッリ・セネージ地区のブドウも混醸されてますので、キャンティ・クラッシコを名乗ることはできないんですね。
カステルヌォーヴォ・ベラルデンガ地域は土壌は石灰を含む岩と薄板状のマール土壌が主体で、僅かに砂質とシストが混じり込みます。この複雑な土壌は感想しがちでブドウ樹は地中深くの粘土層まで根を生やさないと十分な水分を得られません。現在ではビオロジックを採用してブドウ栽培を行っていますが、ブドウのみならず様々種の植物をブドウ畑に隣接させることでミツバチや、動植物との共存を進めているそうです。
「有機的な栽培だけでは十分とは言えない。サンジョヴェーゼはマッサル
セレクションによって色々なクローンの最良の樹を増やしてきた。
更に森や動植物との共存を進め、次世代に僕達の伝統を残していきたい。」
また、同時に、
「自然な栽培環境とワインの美味しさは関係ない。」
とも言い切るところに共感を覚えます(まったくその通りだよ!)。
現在リリースしているキャンティ・クラッシコは四種類。CCベラルデンガ、CCRベラルデンガ、CCRランチャ、CCGSコローニア(高過ぎです)。サンジョヴェーゼ100%からなるIGTのフォンタッローロにカベルネソーヴニョンのマエストロ・ラロ、シャルドネのイ・シストリ、ヴィンサント。近年はスプマンテにも挑戦しています。
フォンタッローロは実は単一畑(クリュ)ではないんですね。そう、キャンティ・クラッシコDOCG認定の南端の畑と、キャンティ・コッリ・セネージDOCGに股がる区画になります(つまりキャンティ・クラッシコは名乗れないんですね)。もちろん、認定されているか否かは土壌他モロモロに違いであり、個性の違うふたつの区画のサンジョヴェーゼの混醸‥こういう解釈でお願いします。
haあたり5,400本の株密度、厳選され収穫したブドウは除梗され圧搾されます。28度から30度に温度管理されたステンレスタンクで醸し発酵は16日から20日間。期間中は毎日パンチダウンとポンプオーバーが施され香味を抽出します。新樽と、一年落ちバリックの併用で18ヶ月から22ヶ月の熟成後させます。瓶詰め後は8ヶ月から12ヶ月の樽熟成後リリースされます。
フォンタッローロもランチャ同様、ラベルの意匠はイメージは昔から同じですね。何度か書きましたが、最近のラベルは上部がちょっと重たいんだよなあ。紋章とFELSINA(Berardenga)のロゴの上下を逆にした方がバランスがいいと思うんだけど。それにしてもコルクの質がいいいですね。5.5cmですから抜栓時はご注意下さい。色調はランチャよりも黒さがあります。照りも艶やか。ちなみに、アルコール度数は14度と、ランチャよりも0.5度低い表記です。ランチャのように注ぐ途中から‥ということはありませんし、グラスに鼻を近づけると、まだ全開ではなさそうな感じ(とはいえ、閉じ感はない)。あ、グラスは、ランチャ同様、初日はザルトのユニバーサルで飲んでます。予想通り、フォンタッローロの方がフレンチオークのバリックの風味、しかも新樽の風味が強い。強いと言ってもランチャと比較しての話で、トスカーナIGTとしてのスーパータスカンの中ではまだ大人しい方だと思いますけどね。スミレの香りも芳香で、サンジョヴェーゼ単一のIGTらしいんだよなあ。ほんとランチャとフォンタッローロは上手にキャラクター分けができています。
口に含みますと、輪郭に甘味、豊かな果実味があり、ランチャほど硬さを感じるわけではない。もちろん、フェルシナらしいタンニン由来の構成感もあるが、より肉付きを感じるグラマラスな女性的なワイン。少し香ばしさがあり、甘味のあるタンニンに少し苦味もある。しっとりとした果実味はランチャと共通で、フルボディだがド派手なアクション映画ではない。とはいえ、CGを多用するような違和感もなく、単一品種らしい一体感がおいしい。うん、ランチャと比較するととてもやわらかですね。今すぐにおいしい。めっちゃおいしい。
二日目はランチャ同様にヴィノムのブルネッロ型です。二日目は注ぐ途中から果実香の開きを感じますね。たっぷりのフルーツの中に、少しバルサミコや、スパイスを感じます。やはり樽香がフォンタローロですね。飲み口はエアリーな膨らみがあり、ほろほろと苦味を伴うタンニン、旨味もグイグイと出てきて、甘味もランチャよりも明快ですね。ランチャが分かり難いという意味ではなく、フォンタッローロは、そのおいしさがわかりやすい。ランチャよりも少し低い度数も感じるし、ランチャほど硬さを感じないのがさらにスムーズ。もちろん構成感はフェルシナらしいですけどね。にしても、まあ、このお値段は反則やね。ランチャもそうだけど、次が2014年と厳しいビンテージだと思うと、なおさら2013年がこの価格は買いで間違いない。とても素直なワインですね。実直、で、やっぱり女性的で親しみやすい。
三日目はザルトのユニバーサルです。集中力がありますね。この三日間で一番密度を感じる香りです。輪郭から甘味がありやわらか。しなやかに詰める果実。余韻もとても長くなりました。ヴィノムおブルネッロ型よりもいい感じ。でも、きっとヴィノムのキャンティ型だと窮屈、ザルトのユニバーサルはその間‥便利ですね。タンニンのみならず、酸味もとてもおいしいですね。ランチャと比較すれば、いわゆるスーパートスカーナ的ですが、決して派手で甘味推しの軟派なそれではないのがフォンタッローロなんですな。旨いです(というか、まあ、終売セールに慣れると、毎年、輸入元変わってくれと思ってしまうほど安いのでそれはそれで困りますけどね‥)。
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