Gattinara 2004 Antoniolo

ピエモンテ州の赤 > Antoniolo

更新履歴 2009/09/20
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ガッティナーラ 2004 アントニオーロ
《イタリア/ピエモンテ/赤/ネッビオーロ/フルボディ》


ガッティナーラ地区‥ピエモンテ州は、ヴェルチェッリ県内の地区なんですね。ピエモンテ州の北西部に位置し、すぐ西側は、ヴァッレ・ダオスタ州、ちょっと南東に車を走らせれば、ロンバルディア州の州都‥ミラノに行く方がトリノに行くよりも、よっぽど近い場所にあるんです。

そこで醸されるのが‥ガッティナーラDOCGなんですね。DOCG規定では、スパンナ(この地でのネッビオーロの呼び名)は90%以上と規定されており、ボナルダを10%未満のブレンドが可能となっています。

ガッティナーラ地区は、アルプス山脈の山裾にあり(Google Mapの"地形"で見ると‥一目瞭然)南部のランゲ地区と比較すると、冷涼が地域となります。よって、なかなかスパンナが熟し難い‥とも言われていますが、気候温暖化が進めば、ランゲ地区よりもよい産地になったりして‥な妄想もできなくもありませんね。

また、ランゲ地区の丘陵地は、元々は海底だったそうで、海の生物は、時間を掛けて石灰質のチョークとなり、チョーク質の粘土が、ランゲ地区の特徴。しかし、ガッティナーラ(や、ゲンメなど)ノヴァーラ丘陵や、ヴェルチェッリ丘陵は、元々は氷河だったそうです。もちろんそれは、アルプスに由来し、花崗岩主体の土壌であることが、この地域の特徴なんですね。

葡萄栽培には、土地が痩せ過ぎで、その冷涼な気候も相まって厳しい地域、ワインはミネラル分が強く、完熟しにくいことからも、熟成に時間を要する固い印象になるそうです。

とはいえ、ガッティナーラ地区で、スパンナ(ネッビオーロ)は作り続けられ、DOCGにも認定されている銘酒のひとつであるわけですね。かのマット・クレイマー兄さんの著書「イタリアワインがわかる」でガッティナーラの項を見れば‥

「伝統派と革新派との相違点は小さなもので‥なにしろ生産者の数がせいぜい30名と少ないから、もうけ主義のものとそうでない優品との違いという図式になる‥」

と、書かれており‥

「優れたガッティナーラの造り手を数えるには片手で足りる。」

と、した上で‥

「断然すぐれているのはアントニオーロで、この地区きっての模範的水準を保つ。」

と、言うことで‥アントニオーロのご紹介です!!(←自分で選べよ…)



1948年‥マリオ・アントニオーロによって設立されたアジェンダで、ガッティナーラの丘の南面に約15haの畑を所有しています。中でも、ガッティナーラを代表する単一クリュであるレ・カステッレ、オッソ・サン・グラート、サン・フランチェスコも保有し、それらの単一クリュなガッティナーラを少量ながら生産しています。

現在は、ロザンナと、その娘のロレッラ、息子のアルベルトの三人での運営ですが、ヴェロネッリ誌には、エノロゴとしてフランチェスコ・ボルトレッティ氏の名前が‥輸入元の資料では、アッティリオ・パーリ氏の名前が挙がっています。

僅か15haの畑ではありますが、そのスパンナ(ネッビオーロ)の樹齢は高く、古いもので60年‥平均して40年以上の樹齢を誇ります。

前述の通り、単一畑も三つ所有していますが、スタンダードな、このガッティナーラが最もコストパフォーマンスに秀でているかもしれません。スタンダードなガッティナーラDOCGではありますが、ミネラルに富む、火山性土壌と堆積土壌が主で、南〜南南西向きの斜面にから、1960年と、1970年に植え替えられた‥平均樹齢45年のスパンナが収穫されます。温度管理されたタンク内で、毎日のポンビングオーバーを施されながら14日〜16日間の発酵の後、中樽で24〜30ヶ月もの樽熟成を経て、瓶詰め‥12ヶ月の瓶熟成が施されます。

ボナルダが10%までのブレンドが認められていますが、スパンナ(ネッビオーロ)100%からなります。厳しい気候条件であるガッティナーラがゆえに、やはり良年であればぜひ試したいですよね。樽熟成期間が長いのも、酸味や渋味を穏やかにさせるガッティナーラならではの醸造方法とも言えるのかもしれません。

今‥飲めます。綺麗に熟成するとも思いますが、ほんと、綺麗な酒質で、ガッティナーナ見逃してました‥素晴らしいワインです。絶対飲んで下さいね。




独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味




しっかりとしたボルドー型の茶色瓶。アントニオーロらしいデザインのラベルで、白地に、真ん中部分がグレー地になっています。深紅と青紫で彩られた紋章が栄えるでザインで、ANTONIOLOの文字色はそんな青紫‥ガッティナーラ‥田舎のワインなイメージですが、ラベルデザインは秀逸。バックラベルは、上下で白地とグレー地とこだわってますね‥。キャップシールは、アントニオーロ共通であろう黒で、ANTONIOLOの文字が金色。ピンクの帯封なDOCGシールが上下逆に貼られているのがご愛嬌ですね。バックラベルに表記のアルコール度数は13.5度。コルクは、お尻にも頭にもビンテージの刻印のある良質の5cmで問題なし。グラスはブルゴーニュ型で飲んでみることにします。

とにかく色が凄く綺麗ですね。艶っぽく、透明度のある‥これぞネッビオーロなガーネット色‥これは、ぜひブルゴーニュ型で、色を見て欲しい。また、香りがエエわ‥めちゃくちゃエエわ‥。ネッビオーロな腐葉土混じりの、甘味を帯びた果実香は、まったく過熟感がないにも関わらず、キチンと熟した紫のベリー。

うわ〜めちゃくちゃアロマティック〜ぅ!!

これ‥好き〜、めっちゃ好き〜ぃ!!

もぉーめちゃくちゃ健全な果実香たっぷり‥そして、極上のサンジョベーゼにも似たスミレの香りが非常に特徴的ですね。砂糖をたっぷり入れた紅茶‥の、葉っぱ。もっと田舎臭いスタイルかと思ってましたが、綺麗に‥キレイにモダンなスタイル‥いや、それはモダンではなく、純度の高さかもしれませんね。

まったく樽香は邪魔ではなく、果実香をより引き立てる溶け込み具合。その甘味のある果実香がやさしさを感じさせますが、きちんと香りからも骨格を感じさせます。まだ口に含んでいないのに‥

み‥見えるっ!!

この芳香な香りの中心部に、核‥そこから超毛細血管な‥梁。

これは、飲まずして久々に完璧なネッビオーロかも知れぬ‥。

口に含みます‥

最初に唇にあたる、そのタッチは、ファーストキスのようにシルキーで、そのまま絹な果実がスラスラと、しかし、絹な重さを感じさせながら、口の中を満たします。

このシルキーさたるや、このスパンナか?もしくは、ジュディ・オングの袖のひらひらか?と思わせる程…

こういう飲み口は初めてかもしれない‥感動。

シルキーではあるが、舌先に、口内壁に、そのキメの細やかな分子構造を感じ取れる‥からなおさら‥シルキーを感じる。味わいは、香りほど甘味はなく、いたってドライ。

なんなんだ‥これは‥。

樹齢の高さゆえなのか?

2004年。2000年代最高のビンテージがゆえに、まだガチガチか?とも思ってましたが、今、飲めるシルキーさが嬉しいですね。

味わいは、紅茶ではなく、まるで昆布だし‥。この生産者のエルバルーチェ(白)にも感じる、塩なミネラルがよく溶け込んでます。そんなミネラリーな塩味もあるのですが、その角が丸いわけです。だからシルキーに感じるんですよね。

その輪郭はシルキーで、そのやわらかさは‥いい意味で曖昧な部分を持ちながらも、きちんと、骨格を感じさせるわけです。よい‥これはよいスパンナです。

昆布だし‥ではありますが、フィニッシュには、やはり紅茶葉を感じますね。昆布出しで作った紅茶‥(←旨そうじゃない表現だが‥)2004年というビンテージならではの力強さはあるが、強過ぎる感じはないよね‥フルボディだけれども、ミディアムのような飲みやすさがある‥。

バローロか?バルバレスコか?と聞かれれば後者。ラベルデザインも含め、この醸造所を継いだ‥ロザンナ女史らしい、女性的なスパンナ‥ネッビオーロなんですね。

ほんと、杯を進めるにつれ、このヘタなネッビオーロよりも、ネッビオーロらしいスパンナのうっとりするような、芳香な香りに魅了されます。

ええな〜

潤っとるな‥

そう‥

潤ってる。

純度の高い香りで潤っとるわ。

それが‥ガッティナーラ地区の特徴なのか?アントニオーロの特徴なのか?はわかりませんが、このひとつ深い階層に感じるミネラル、塩っ気‥右へ習えではない個性は十二分に評価ができますね。

やばいな〜

まだ、バローロもバルバレスコも整理できてないのに‥

ガッティナーラとか‥

でも旨過ぎる‥。

二日目です♪やはりアントニオーロの特徴なんでしょうね‥非常にミネラルを感じる‥土壌を感じますね。ヒンヤリとした土や石の香り‥。ネッビオーロの果実香、白か、黄色の小さな華の蜜のような甘味のある香り…。アントニオーロ特有の塩気はミネラル由来‥ですね。

非常にイイです‥これは、凄いネッビオーロだ。

口に含みますと、やっぱりシルキーですね。酸味に、輪郭を感じます。ある意味、初日よりもハッキリと感じる‥とも言えますし、豊富になった…とも感じます。まだ、ジュクジュクジューシーではありませんが、非常に質の高い酸味です。

樽香は、木質な感じで、引き締まってますね。

これだけ酸味、渋味、果実の質が高いと、まだ若いビンテージながら、ネッビオーロが飲めてしまうことも驚きですが‥もっと熟成もさせてみたいとも思える酒質ですね。

いやー参ったっ!!

三日目‥最終日です♪心なしか、色が深く≒黒くなってきたような気もします。一貫してブルゴーニュ型ですが、これで間違いありません。注ぎたては、チョークと木質な感じの、ネッビオーロに限らずな土壌由来の香りですが、時間とともに、果実香が強くなるのも、ご多分に漏れず。

熟成したわけではありませんが、三日目という、ほどよい酸化は、熟成香にも似た香りが出て来ましたね。味わいもすっかり馴染んできました。

文句なしに旨いネッビオーロですね。価格も‥どうしても4000円を斬りたかった無理矢理な値付けですが、この価格でこそ、さらに‥なコスパだと思います。今すぐ美味しいネッビオーロですしね。

モダンなネッビオーロも嫌いではありませんが、今後は、この樽の塩梅、濃さの塩梅‥これだな‥!!と思える、エエ塩梅です。決して、田舎臭い‥古臭いものではなく、エレガントに現代的‥いい意味でシンプルなのは、洗練と同意ですね。

思いっきり、ネッビオーロ(スパンナ)の果実を楽しんで下さい。

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