Chianti Classico 2021 Poggio Scalette
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キャンティ・クラッシコ 2021 ポッジョ・スカレッテ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョベーゼ/ミディアム》
醸造家として数々の生産者の作品を手掛けているヴィットリオ・フィオーレ氏‥イタリア醸造技術協会理事や、国際醸造家組合執行委員なども勤め、イタリアワイン界の重鎮であり、その功績は計り知れません。1978年、病気がちな妻の体調を気遣い環境のよいトスカーナに移住することを決意。また、これまでの経験と知識、理想を具現化するために自身のワインを造るべく畑を探し始め、ついに1991年、グレーヴェ・イン・キャンティ地区のルッフォリに理想の畑を見つけ出します。
1800年代後半、フィロキセラの害により、イタリアの畑は全滅しますが、その後‥第一次世界大戦後に初めて植えられたサンジョベーゼがあるこの畑を、当時の農夫達が「イル・カルボナイオーネ」と呼んでいたことから名付けられました。
そこに植わるサンジョベーゼは、サンジョベーゼ・ディ・ラモーレと呼ばれるオリジナルのクローンで、樹齢70年を越える古樹が大事に育てられています。キャンティ・クラッシコエリアではありますが、その土壌は石灰やガレストロではなく、砂岩質や、砂質が主体で、水はけの良く、その標高の高さは、日夜の寒暖の差をもたらし、風が吹き込む独特の山肌に広がる畑は、夜9時になっても、葡萄は太陽の光を浴びながらも、涼しく、病気から葡萄を守るミクロクリマとなります。
1968年に生まれたのがヴィットリオの息子であるユーリ・フィオーレ。1992年にブルゴーニュのボーヌ醸造学校
「Beaune Technicien Supereur en Viticolture ed Oenologoe」
にて醸造課程を終了し、1993年から偉大なる父、ヴィットリオと共にポッジョ・スカレッテ働き始めます。そして現在は実質的にユーリが主導し、イル・カルボナイオーネのみならず新しいワインにも挑戦しています。2007年が初ビンテージというカベルネソーヴィニョン、メルロ、カベルネフラン、プチヴェルドを各25%混醸したカッポガットや、かつてはピンキオーリ専売だったメルロ100%のピアントナイア、シャルドネ100%となりリキアーリ。そして2009年からはキャンティ・クラッシコDOCGをリリースしています。
ポッジョ・スカレッテと言えば、サンジョベーゼ・ディ・ラモーレとなりますね。もちろんこのキャンティ・クラッシコも、サンジョヴェーゼ・ディ・ラモーレが100%使用されています。ただし、比較的樹齢の若い区画から‥とのこと。現在、ポッジョ・スカレッテが所有するブドウ畑は22ha‥その内、サンジョヴェーゼは15haとなり、そこからイル・カルボナイオーネとキャンティ・クラッシコのブドウが収穫されますが、その樹齢が80年の区画、40年の区画、10〜20年の区画と分かれており、どの区画のブドウもイル・カルボナイオーネにもキャンティ・クラッシコにもなる可能性を持っていますが、やはりイル・カルボナイオーネになるブドウはたいていが高い樹齢からのブドウとなるそうですが、収穫後、アルコール発酵とマロラクティック発酵が終了する月から12月後半の段階で試飲をして、最終的に振り分けられているそうです。
ポッジョ・スカレッテの畑の規模であれば、年間10万本ほどのワインの生産が可能。ながらこれまではその30%にあたる3万本のみのイル・カルボナイオーネを中心に、あとは極少量のワインばかりで残りの70%はバルクで販売していたわけですが、現在は25%の規模に相当する約2万5千本ほどのキャンティ・クラッシコをリリースしています。とはいえ、残り45%に相当する4万5千本相当は変わらずバルク売りのようですね。
標高350mから550mの西南西の畑は、砂質、砂岩質(水はけに優れた石だらけ)と、少々のガレストロ、泥質の土壌に、コルドーネスペロナートとグイヨで仕立てられた樹齢30年から35年のサンジョヴェーゼは、若い畑はhaあたり7,250本の高い植樹率、古い畑はhaあたり3,000本の植樹率となります。収穫されたサンジョヴェーゼはセメントタンクにて15日から18日間の醸しとアルコール発酵の後、マロラクティック発酵が施され、セメントタンクの中で約11ヶ月の熟成後、40ミクロンという非常に軽いフィルターで濾過された後瓶詰されます。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ポッジョ・スカレッテらしいラベルデザインが踏襲されています。この鮮やかな赤がポイント色となるこのCC、いいですねえ。2011年の度数は14度でしたが、2012年から2014年は13度、2015年は13.5度、2016年は生産されず、2017年から2019年までは13度、2020年とこの2021年は13,5度となります。コルクは弾力もあってなかなか良い4,5cm、グラスはシュピゲラウ、ディフィニッションのユニバーサル型。色調はポッジオ・スカレッテらし紫ピンクのエッジのある深く暗い色調。凝縮しつつも鮮度感のあるスミレと、チェリーやプラムの果実香がとてもいい。微かにスモーキーさがあり、アメリカンチェリーの果実やの風味。
口に含みますと、輪郭にやわらかさはあるものの、その内側の密度感は十分でギュっと詰まった果実味があります。舌に残る味、長い余韻は一杯目から感じることができますね。微かなローストの風味と、タンニン。十分な酸味がバランスを保っています。スカレッテのこのCCの味わいの強さって独特の個性ですね。だからって装飾したような樽の風味に支配されているわけではないし、どこか甘味のある鉄分も個性だな。これはイル・カルボナイオーネにも感じるスカレッテのサンジョヴェーゼの個性なんです。ただ、サンジョヴェーゼ・ディ・ラモーレという品種(クローン)の個性かどうかはまた別の話。他のラモーレからのワインも飲んだ経験がありますが、もっと色も淡くエレガントな風味を持ち味としている造り手の方が多いかもしれません。
二日目もグラスはシュピゲラウ、ディフィニッションのユニバーサル型。グラスからの香りはそう変わりませんが、飲み口はグンと果実味に深味が増しましたね。スミレやプラムが溶け込んだチェリーとベリー、フランボワーズな果実味がほんと飲み応えがある。このキャンティ・クラッシコのサンジョヴェーゼとしての個性は唯一無二。もし、これで派手な樽香がついていれば、個人的にはどうかと思うが、それがないのがわかってらっしゃる。しっかりと濃い目のスタイルですが、飲みにくさはありません。なんならこれだけ濃密なのに飲みやすさまである。最後に舌に続く味わいに力強さを感じるはずだけれども。そしてスパイシーな部分にしっかりとタンニンの風味、モカのヒント(樽じゃない)。
三日目もグラスはシュピゲラウ、ディフィニッションのユニバーサル型。ようやくタンニンに繋がるミネラルや土の香りが出てきましたが、紫の果実の風味は相変わらず果実の主役。飲み口に少し粘性を感じ、旨味がさらに深くなりますね。いいまとまりです。終盤には酸味と繋がるプラムの風味が主役かな。
キャンティ・クラッシコの生産者の自社製品のヒエラルキーとして、スタンダードなCCはもっと淡く、さっぱりとしたスタイルにして、CCRや、CCGS、IGTと、どんどんと密度感の深いスタイルになりますが、スカレッテの場合、そもそもイル・カルボナイオーネというIGTがあり、このCCは後発なんですよね。セカンド的な立ち位置ですが、あくまでもCCなんだけど、イル・カルボナイオーネの系譜も感じさせるんだな。どこか、他のCCの造り手とは違う個性ありますね。このワインのファンが多いのもわかるな。なんだかんだと毎年飲んでますが、スタイルも確立されてますし、ビンテージによるブレは少ない印象ですね。2021年も安定もおいしさです。
■2021年のルッフォリ地区のビンテージ情報
冬から春抜かけてのまとまった降雨によりある程度の土中水分蓄積が行われました。ただ、Ruffoliは砂質や砂岩質主体の山中にある為、同地区Greve in Chiantiのように粘土含有量が殆どないため水分貯蓄量は少なくなります。
また、高標高(400mから600m)の為に、夏季は冷たい風が吹き付け、朝夜の気温低下により暑い年であっても大きくブドウにストレスが掛かる事はありません。収穫もGreve地区より10日近く遅いです。8月に若干の降雨ありましたが全体的に乾燥した夏となり、日照も強く気温もそれなりに上がりましたが、熱波的、干ばつ的ではなくレギュラーな年でクラッシックヴィンテージ思い起こさせる気候と言えます。
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