Chianti Colli Senesi 2020 Felsina
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キャンティ・コッリ・セネージ 2020 フェルシナ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョヴェーゼ/ミディアム》
ドメニコ・ポッジャーリ氏がカステルヌォーヴォ・ベラルデンガのワイン荘園を購入したのは1966年のこと。友人であった故ルイジ・ヴェロネッリ氏の紹介で、フランコ・ベルナベイ氏をエノロゴに雇い入れ、1983年にリリースしたのがフォンタッローロと、キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ・ランチャ。このふたつのワインで一気にフェルシナの名声が高まることになります。ポッジアッリ家の所有となりますが、現当主は、娘婿であり1982年までは哲学博士として高校で教鞭をとっていたというジュゼッペ・マッツォコーリン氏。
フェルシナが位置するのはシエナの北、キャンティ・クラッシコ認定地域最南端のカステルヌォーヴォ・ベラルデンガ地区で、一部はキャンティ・コッリ・セネージ地域となり、境界を跨いで畑を所有しています。ランチャはキャンティ・クラッシコ地区内の単一畑、フォンタッローロはキャンティ・コッリ・セネージ地区のブドウも混醸されてますので、キャンティ・クラッシコを名乗ることはできないんですね。
カステルヌォーヴォ・ベラルデンガ地域は土壌は石灰を含む岩と薄板状のマール土壌が主体で、僅かに砂質とシストが混じり込みます。この複雑な土壌は感想しがちでブドウ樹は地中深くの粘土層まで根を生やさないと十分な水分を得られません。現在ではビオロジックを採用してブドウ栽培を行っていますが、ブドウのみならず様々種の植物をブドウ畑に隣接させることでミツバチや、動植物との共存を進めているそうです。
「有機的な栽培だけでは十分とは言えない。サンジョヴェーゼはマッサル
セレクションによって色々なクローンの最良の樹を増やしてきた。
更に森や動植物との共存を進め、次世代に僕達の伝統を残していきたい。」
また、同時に、
「自然な栽培環境とワインの美味しさは関係ない。」
とも言い切るところに共感を覚えます(まったくその通りだよ!)。
現在リリースしているキャンティ・クラッシコは四種類。CCベラルデンガ、CCRベラルデンガ、CCRランチャ、CCGSコローニア。サンジョヴェーゼ100%からなるIGTのフォンタッローロにカベルネソーヴニョンのマエストロ・ラロ、シャルドネのイ・シストリ、ヴィンサント。近年はスプマンテにも挑戦しています。
現在、フェルシナがリリースしている「キャンティ・クラッシコ」は4種類。スタンダードな「キャンティ・クラッシコ・ベラルデンガ」、この「キャンティ・クラッシコ・リゼルヴァ・ベラルデンガ」、クリュ付きのリゼルヴァとして「キャンンティ・クラッシコ・リゼルヴァ・ランチャ」最後は、「キャンティ・クラッシコ・グラン・セレツィオーネ・コローニア」となります。
初ビンテージは1983年だそうですが、なぜか公式サイト未掲載なのがこのキャンティ・コッリ・セネージ。キャンティ・クラッシコではありませんが、キャンティDOCGの一員となります。フェルシナが所有する畑は、キャンティ・クラッシコ地区と、その南、キャンティ・コッリ・セネージ地区にまたがっており、そのコッリ・セネージ地区のサンジョヴェーゼのみでかもされています。スラヴォニア産の大樽で8ヶ月以上の樽熟成。
今や一般的なのは「キャンティDOCG」ではなく「キャンティ・クラッシコDOCG」となりますが、トスカーナの広い範囲で呼称が認定されているの「キャンティDOCG」の中に選ばれし「キャンティ・クラッシコDOCG」認定地域があるわけですね。「キャンティ・クラッシコDOCG」の場合はサンジョヴェーゼが80%以上となり、2006年からは白ブドウの混醸は認められていませんが、「キャンティDOCG」は、サンジョヴェーゼ70%以上、白ブドウは10%以下となっています。昨今の日本市場では「キャンティ・クラッシコDOCG」がほとんどなんじゃないかな。その昔のフィアスコボトル(藁包み)は「キャンティDOCG」であることがほとんどでしたね。残念ながら「キャンティ・クラッシコDOCG」地域外ですが、一部地域ではその地域の名前をラベルに記載することが認められていますし、その地域を名乗る場合は、通常の「キャンティDOCG」とは違う醸造方法が定められてるもんもあります。代表的なものに、「キャンティ・コッリ・セネージDOCG」、「キャンティ・ルッフィーナDOCG」、「キャンティ・コッリ・フィオレンティーニDOCG」などは聞いたことがあるかと思います。
元々はワイら「キャンティDOCG」やったのに、ちょっと条件ええから言うて黒い鶏マークまで勝手にこさえて「キャンティ・クラッシコDOCG」とか名乗りよってからに‥と大阪弁で「キャンティ・クラッシコDOCG」地域以外の生産者達が嫉妬しているかどうかはわかりませんが、それもDOC法に囚われないという意味でスーパートスカーナを産んだ原動力になったかもしれませんし、ほんだら、ワイら海沿いでフランス品種で勝負したるでえ‥と大阪弁で吐き捨てるように言ったかどうかはわかりませんが、ボルゲリやスヴェレートなどの発展に寄与したかもしれません。
フェルシナの場合は、「キャンティ・クラッシコDOCG」を跨ぐように畑を所有しており、「キャンティ・クラッシコDOCG」地域のブドウのみならば、「キャンティ・クラッシコDOCG」を。そして今回ご紹介する「キャンティ・コッリ・セネージDOCG」地域のブドウのみならば、「キャンティ・コッリ・セネージDOCG」を。そして、それを混醸することで「フォンタッローロIGT」を生んでいます。
決して「キャンティ・クラッシコDOCG」よりも劣るわけではありませんが、「キャンティ・クラッシコDOCG」を超えるものを作るならスーパートスカーナとしてIGTを名乗ればいいという風潮もあるのでしょうね。「キャンティDOCG」に関しては、いい意味でもトスカーナらしい地酒、サンジョヴェーゼとしては素直に感じますね。バリック使ってまでというのもあるでしょうし、トスカーナの街中でも郊外でも、普通のトラットリアや、オステリアでこれで十分と思わせる、安定してトスカーナのヴィーノ・ロッソ、そんな感じもまたいいんですよね。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのフェルシナらしい共通デザインのラベル。真っ白ではなく少しグレーとクリームが混じる白地のラベル。キャンティ・コッリ・セネージはマットな赤色が差し色になっています。何もキャンティ・コッリ・セネージが格下とは言いませんが、パっと見た感じは、キャンティ・クラッシコですね。コルクは良質の4,5cm、グラスはシュピゲラウのディフィニッション、ユニバーサル型、ちなみに表記のアルコール度数は13度となります。色味は決して濃いわけではありませんが、深味のある暗い部分もある赤。サンジョヴェーゼの香りのひとつとして小豆などの豆の風味を例えることがありますが、ナチュール系のオフフレーバーとしての炊いた豆の風味とは違いますのでご安心を。お約束のスミレに甘味を、黒胡椒などのスパイスがほろっと混じる黒いチェリーはフェルシナらしい。
口に含みますと、プラムやアセロラ、チェリーのような赤く酸味のある果実と、ベリー系のやわらかく甘味のある果実が混在します。軽くスモーキーな風味がありますが、全体としてチャーミングでフルーティーな果実味ですね。特にキャンティ・クラッシコだから、キャンティ・コッリ・セネージだからと区別するわけではなく、キャンティ地区のサンジョヴェーゼの個性そのものです。ただ、この2020年も2,000円税込を斬ってご案内できることに感謝感激、とても2,000円以下のワインには思えませんよ。
グラスの中でもよくなるね。タンニンと酸味はまだ若さゆえのクッキリとした部分もありますが、果実味はグラスの中で丸くなりますね。それにしてもいい渋味もある。香りにスモーキーさがあり、味わいには少しローストしたような部分が渋味と繋がります。
二杯目です。断然開いて感じますね。香味にイチゴ系のチャーミングな甘味はあるのですが、スパイシーさや、タンニン、酸味を彷彿とさせる要素があり、どちらかが打ち勝つわけでもない複雑さになってるのがいいですね。スパイス感があるので、果実の風味はどこか「野生的」にも感じますが、決して雑ではないのが良いワインの証なのです。しっかり赤ワインしてるね。こういうのグラスで出てくると嬉しいし、この価格でちゃんとした(語弊あり)サンジョヴェーゼ飲めるってスゴいわ。
二日目もシュピゲラウのディフィニッション、ユニバーサル型です。もう少し甘味ある香りが前に出てきましたね。でも、スパイシーさは健在。でも、これがあるから複雑さを感じるんですよね。初日よりも果実味がクリア、しっとりとした旨みも出てきました、酸味とまぐわってとてもジューシーです。膨大ではありませんが、少しエキスを感じますが、度数はあくまでも13度。いやあ、13度にしてはボリュームもしっかりありますね。初日よりも輪郭部分になめらかさがありますね。決してやさしくはいけれども。いい感じで若い粗さが二日目は取れてより飲みやすくなります。けっこう果実味にふくよかさがあるんだけど、バシっとしたタンニンと酸味が膨張させないね。
三日目もシュピゲラウのディフィニッション、ユニバーサル型です。黒いチェリーとベリーの熟した果実味が旨味、甘味とともに前に出てきました。よくまとまってますね。タンニンまで甘く感じるます。じんわりと複雑な香味があって、ほんとアンダー2,000円は奇跡的。クラッシコではなく、コッリ・セネージであることをネガティブに感じさせないのもさすがです。いい意味で三日目にしてなめらかですね。ようやくタンニンと酸味が溶け込んだ感覚があります。まあ、真っ当なサンジョヴェーゼですね。フェルシナらしい構成感は、やはりタンニンと酸の骨格がしっかりしているから‥も感じて頂けます。コスパに秀でたキャンティ・コッリ・セネージ。いいですよ。
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