Barbera d'Alba Superiore 2018 Oddero
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バルベーラ・ダルバ・スペリオーレ 2018 オッデーロ
《イタリア/ピエモンテ/赤/バルベーラ/フルボディ》
現存するバローロやバルバレスコの造り手として最も古い歴史を持つとされるのがこのオッデーロ。現在でも1700年代に建設されたというラ・モッラ地区のカンティーナでの醸造を続けています。最初の自社瓶詰めは1878年。それまではダミジャーナ(大きなガラス瓶)で販売していたそうです。
1960年代になりジャコモ・オッデーロ氏がジョヴァンニ・ガヤ(アンジェロの父)や、リナルディなどと共に後のDOCGの基礎となるバローロの法規制を作ります。第二次世界大戦後、荒廃したランゲの畑は農民から手放されて行くことになりましたが、ジャコモ・オッデーロは畑を買い足します。よって現在でも、ラ・モッラ、カスティリオーネ・ファレット、セッラルンガ、モンフォルテ、バルバレスコなどランゲ地区の幅広い地域に、最良の畑を所有しています。
オッデーロが所有する畑はブルナテ、リオンダ、ブッシア、ヴィレッロなど、各地域の最良の畑がズラリ。またバルバレスコにおいては、法律ではバルバレスコ地域で収穫されたブドウをバローロ内のカンティーナで醸造するとランゲ・ネッビオーロに格下げしなくてはなりませんが、オッデーロのみがバローロ内でバルバレスコ(しかもガッリーナ)のブドウを醸造しても、格下げせずにバルバレスコを名乗れる唯一の生産者。これは、法規制前から「そうしていた」ことで例外的に認められているそうです。
現在所有する畑は合計35ha。90歳を越える先代から1997年に栽培や醸造を引き継いだのが娘のマリアクリスティーナ。先代の時代は農薬が推奨された時代だったが1997年から徐々に有機栽培に移行、現在は全ての畑で有機栽培を実践しています。畑ではコンポスト(堆肥)と硫黄、極少量の銅のみが使用され、除草剤、防虫剤は一切しようしません。害虫(ティニョーラ)にはホルモン剤を使用。ホルモンを麻痺させることで交尾できなくなり自ずと害虫の数が減るとのこと。
とはいえ、畑は各地に点在し、畑のひとつひとつは小さな区画となりますので、隣の畑の影響も受けやすい。よって近隣の造り手とも協力して有機栽培を推進しているそうです。また、古くから所有すている畑は同じネッビオーロでもクローンは様々で現在は16種類ものネッビオーロのクローンが混在しています。
また、葉だけではブドウ樹の循環型自主生育。ツルをできるだけ切らずに自由に伸ばすことで葉を増やし、光合成を促進します。ツルを切ることでブドウを凝縮させる造り手が多い中、グリーンハーヴェストもほぼ行わないのは過度な凝縮を必要としないからだそうです。またグリーンハーヴェストを行う場合は、凝縮のためではなく畑の風通しを良くするためだそうです。
醸造は一時期はバリックを試したり、ステンレスタンクでの発酵も試みたようですが、現在はセメントタンクでの発酵に戻しバリックは破棄したそうです。セメントタンクで自然酵母のみでのゆっくりと、温度管理をしない発酵。マセラシオンはブドウの状態に合わせて20日から30日とこちらもたっぷりと時間をかけて行われます。
熟成はオーストリアはストッキンガー社の大樽。ストッキンガーの樽材は厚く、目が詰まっていることから酸素供給率が低い。またタンニンも少なく、樽による香り、口中での甘味がほどんど出ないんとのこと。また、DRCやパカレも使用しているフランスはグルニエの大樽も良い結果を出しており、1年目の樽はバルベーラと、2年から3年の樽はランゲ・ネッビオーロに。4年目からバローロの熟成樽として使用しているそうです。すべてバローロは醸造は同じ。クリュの違いが表現されています。
ここまでテンプレ
オッデーロのバルベーラは、カスティリオーネ・ファレットの海抜250m付近にある樹齢15年から20年のものと、ラ・モッラにある海抜230m付近にある樹齢約15年のバルベーラの混醸。例年9月の最終10日間の収穫。選果の後、ステンレスタンクでのアルコール発酵とマセラシオン、そのままマロラクティック発酵まで施され、50hlから60hlのフランス産の樽で最低16ヶ月の熟成後、春にアッサンブラージュ。夏頃まで休ませて瓶詰め。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
撫で肩、ALBEISAの共通瓶。ラベルもオッデーロらしいですね。コルクはなかなかの質の4,5cm、グラスはシュピゲラウ、ディフィニッションのユニバーサル型。表記のアルコール度数は14,5度となります。さすがにバルベーラらしくコルクのお尻も紫に染まっています。ワインも深みのある黒味がかった赤。バルベーラらしいスパイス香とともなう、ワイルド系のチェリーやベリーな果実香。上品ながらほどよく効いてる樽香がいいですね。スペリオーレ以外に普通のバルベーラもあったんだっけ?ですが、フランス産の様々な容量併用の樽熟成が16ヶ月はなかなか贅沢な仕様です。樽の風味はやわらかで、フレンチオークらしいヴァニラ系の風味がクリーミー。とはいえ、樽が効きすぎている感じはないですけどね。
口に含みますと、たっぷりの果実の香味がありますが、シャープな酸味と乾いたタンニンが印象的。これがバルベーラの果実味を厚ぼったくさせない秘訣かと思いますね。度数も14,5度と高めですが、そうは感じさせません。すでに旨味があり、旨甘味系にも感じますが、先の酸味と渋味に加えて、香ばしい苦味があり豊満な果実味をしっかりとタイトに抑えてくれてるのも好印象でおいしい。うん、いいコーヒー豆っぽい。樽熟成期間も長いですが、2018年は現地現行ではないでしょうね。今年2023年なので、2020年あたりのはずですが、それもこのどこか落ち着いた旨味や馴染みの理由かと思います。
酸味や渋味、苦味があるので、果実味をタイトに…と書きましたが、十分にやわらかく口の中を満たしてくれますよ。やわらかに満ちる果実味と、それをユルませない酸や渋味、苦味とのギャップ萌え、いえ、萌えてるわけではないのですが、このコントラストがいいんですね。いやあ、旨いな。コショウなスパイス、野生の果実のスパイスもあるバルベーラらしさがあるんだけれども、樽のおかげでワイン単体でもいけてしまう。もちろん、頬肉やタンのシチューに、黒コショウたっぷりとか、それぐらいガツンとしたお料理が欲しい。なんあらバターがリッチでもいい。でも、案外、鹿や猪または馬肉のジャーキーと、そこそこ癖のあるチーズと合わせて飲むのもいい。
バルベーラって幅が広いんですよね。もっと濃くて樽たっぷりのもおいしいし、もっとソリッドで引き締まったのもおいしい。ネッビオーロだって、きっとそう。いくつか(色んなとまでは言わない)のスタイルがあり、それぞれで評価されてる(おいしい)スタイルがあるんですよね。このオッデーロはけっしてモダンな感じでもないし、じゃあクラッシックか?となるとまた違う。めっちゃわかりやすく、みんな好き。
二日目のグラスはシュピゲラウのディフィニッションのボルドー型(ブルゴーニュ使い)です。これぐらいにしても大丈夫であろうという予想。こっちのグラスに入れると、色はそう濃く感じさません。ディスクの直径も違いますしね。グラスが違うと色からして印象も変わります。どちらがいいかを選ぶもよし、それぞれのグラスの特徴を楽しむもよし。樽香はややエレガントになりましたね。少しだけヨードっぽい風味がスパイスとともにあり、果実の香りは十分なレベル。飲み口は旨味がしっかりと出て果実味はたっぷりです。やわらかに密度がありしなやか。スパイスや野生の果実が雑なタイプのバルベーラは好みませんが、さすがオッデーロ。口に中にたっぷりと含んで旨味と渋味、酸味、酸味にどこか柑橘を感じるだけれども、なんだろう。だが、そこがまたおいしいんだな。樽の風味もあるし、果実の香味もたっぷりですが、もはやモダンとか伝統とかの領域ではない、とても良いバルベーラで間違いありません。
三日目のグラスはシュピゲラウのディフィニッションのボルドー型(ブルゴーニュ使い)です。開いてますねえ。どっぷり開いてます。深い馴染みがありフルボディ。樽が果実味を支配するわけではないのですが、ある程度の樽は効いてます。バルベーラはウルトラ・モダンも似合うし、シックでシビアなのも似合う。案外、幅が広く、頂点のスタイルが決まってない感じ。こちらはウルトラ・モダンでもないし、いい塩梅で樽も効いてるし、果実味はたっぷりなんですよね。モダンではないが古臭くない現代的なバルベーラとしましょうか。これが分かりやすいおいしさのポイントなんですね。
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