Dessimis Pinot Grigio 2009 Vie di Romans
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デッシミス 2009 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ピノ・グリージョ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するイソンツォDOCに所属するマリアーノ・デル・フリウリのカンティーナ。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい、平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール‥17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならず、イタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。
なんでも‥創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの‥かのカリフォルニアの大規模な生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権云々で1986年に名称の変更を余儀なくされたとか‥。そして、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、葡萄品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと‥。また「テロワールに最も適した葡萄を栽培すること」「凝縮した葡萄を作ること」「完熟期を迎えた葡萄を最高のタイミングで収穫すること」など‥当たり前っちゃー当たり前‥理想と言えば理想‥でも、その理想を具現化できている生産者が少ない中‥こんな当たり前の事を目標に信念に掲げるのが彼‥流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元
に作る‥ある意味、エゴイスティックなワイン達は、確かに、彼のヘンコな一面を垣間みれますし、彼の話‥を聞けば聞く程‥神経質そうな‥几帳面な性格を伺えます‥しかし、彼の作品を飲めば‥ただの趣味、わがまま‥では済まられない素晴らしい作
品であることに間違いありません。
■ビンテージ情報
2007年と2009年は気候的に似ている年。比較的に雨の多い年だったが、成熟期の天気はさほど悪くない。よって、ブドウはきれいに成熟し収穫された。2004、2006、2008年のような非常に良い収穫年ではないが、バランスの取れたヴィンテージ。フルなワインでは無い分、それぞれのワインの個性が早い段階から感じられる。ミネラル感、酸味、繊細な果実味が特徴。
ジャンフランコ氏の2009年ヴィンテージの印象は、出来上がり自体は自身なりに満足の出来るレベル。豊かな果実味を出すよりも、フレッシュな果実味を考えていたので考えていた通りの味わいになった。
■テクニカル情報
『デッシミス』とは『農家の年貢』という意味だそうです‥。いまどき「年貢」なんて単語を聞くのも稀ですね‥^^; その昔‥農家は「出来のいい」農作物を奉納しなければならなかった…。つまり「年貢」となるのは「出来のいい作物」なんですね。よって、ヴィエ・ディ・ロマンスの「出来のいいワイン」として『デッシミス』という名前となったようです‥。
ヴィエ・ディ・ロマンス社では比較的大きな畑となります。2006年は30760本、2007年は40491本、2008年は39428本との情報。昨年までの情報では、畑の面積は5.95haと記載していましたが、2008年の情報では7.50haとなっています。2007年から約1万本の増産となっていますので、そのタイミングで畑が増えたのかもしれません。
そんな7.50haの畑には、haあたり6000本の株密度でピノ・グリージョが栽培されています。植樹は1985年、1999年、2002年。平均樹齢は15年の様子。収穫はhaあたり5853kgとなります。海抜は34m。砂利や小石を含む赤みがかった粘土質の「赤み」は、その色に反映されているのかもしれません。
手摘みで収穫されたピノ・グリージョは、タンクでの8度での醸しの後、一旦澱を沈め15度〜19度に温度管理されたバリックでの発酵と、マロラクティック発酵で合計25日間。そして、そのままバリックで澱と接触させたまま約7ヶ月(2008年は8ヶ月と記載)の樽熟成を経ます。瓶詰め前にも、一旦タンクで澱を沈め瓶詰め‥8ヶ月(2008年は9ヶ月と記載)以上の瓶熟が施されてのリリースとなります。この2009年の正確なアルコール度数は15.56度となります。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
すっかりお馴染みのデザイン。バックラベルに記載のアルコール度数は2008年同様の14.5度となります。相変わらず、ヴィエ・ディ・ロマンスのワインはバックラベルに注意書きがあるのですが、今年は液面に関する情報となり、昨年までの澱や酒石に関する情報は省かれております。
「生産者の意向により瓶内の空気を極力減らす為、通常に比べコルク下いっぱいまでワインが充填されております。その為、通常よりも温度変化に敏感で、わずかな温度変化によってもワインが液漏れする恐れがありますので、取扱にはご注意下さい。冷暗所での保存をお薦めしております。」
コルクはなかなかの質の5cm。グラスはブルゴーニュ型一択、冷蔵庫キンキン温度からのスタートです。ほぼロゼ‥薄らと玉葱色、カッパーな銅色が過るオレンジ色というよりはピンク、ロゼ色ですね。昨年よりも赤味が強いとも言えるかもしれません。黙ってサービスされれば、まさか白ワインだとは思えず、かといって、グラヴナーのような血尿的ではありません。透明度もあり、奇を衒うには‥と、思うがこれが実力を兼ね備えるワイン。
まだ完全に開き切らない香りですが、香りの量は十分。タジェリンオレンジ、ピンク色までに熟れた夕張メロン、完熟のビワのピューレ‥うーん、デッシミスだねぇ。この感じ‥この香りが大好きなんですよ。缶詰のサクランボの裏ごし、濃縮果汁還元のアプリコットジュース。ブラッドオレンジ。柑橘香に(いい意味の)金属的な高音の香り、スワリングするグラスが重たい。すでに、フルボディ。
口に含みますと‥冷ややかな輪郭にミネラルを感じるが、確固たる物体が口の中を埋め尽くす。ドレエほどのオイルのようなドヨンとした感じまではいかないが、とてもマロやかで、温度が上がるとトロっとなりそうですね。密度は十二分、舌に綺麗に酸味がタッチし、キメ細かいながらも十分に溶け込んだ酸味とミネラルが温かみ、厚みのある果実味に、冷ややかさを与えています。デッシミスは2008年よりも良い。
濃い果実の香りがあるのですが、どこか、実はそれらの濃さの元は柑橘の果実で、それらのホトバシル≒揮発的な、香りが一陣の風となり、厚ぼったく感じさせない。ある意味ミックスジュース。濃いオレンジの風味主体。実は樽の恩恵があるはずですが、樽が浮つくことはなく、果実の密度の高さこそが主体。とても美味しい個性‥やはり、デッシミスは偉大だ。
放置プレイで温度を上げてみた二杯目です。香りに深さ‥濃い夕張メロン香を強く感じます。きっと、デッシミスは、温度と時間で様々な密度ある香りが交互に主張するタイプかと思われます。口に含みますと、うーん、温度が上がってからの酸味が素晴らしい。ブラッドオレンジの酸味、タンジェリン、ネーブル、低音の柑橘系果実の香味ながら、酸味はそこまで低音ではなく、どこかで「しつこい男」を嫌う男前の女子的存在。
二日目です。冷蔵庫キンキン温度、グラスはブルゴーニュ型。初日ほど色が濃く感じないのが不思議‥どんどんとオレンジ色がかってきたかな。香りはとてもまとまってきましたね。フレッシュなイチゴの搾り汁、夕張メロンも新鮮‥フレッシュながら、とても密で、なめらかな香り。初日よりも若返ったような雰囲気が不思議で面白い。
フワっとバターの香り‥口に含みますと、うん、旨味と酸味がめさくさ出てますね!!ミネラルも綺麗に感じ、塩気‥どこか、ヴィニフィカート・イン・ビアンコな様相。そう、そうだわ!!ピノ・グリージョって、実は白品種なんだけど‥白じゃない部分がある。だから色もロゼ的だし、白というよりも、白に仕立てた(色はロゼだけど)、そんなヴィニフィカート・イン・ビアンコのようなスタイル。
だから好きなのかも。
今宵のワインの肴は、ラタトゥイユ‥もとい、カポナータなのですが、トマトとの相性もいいですね。白身のお肉をトマト味で‥なんて完璧かもよ。
二杯目‥ちょっと温度が上がってきました。やっぱり、温度が上がるといいですね。香り、味ともに音階が低くなり、濃く感じるんです‥温かみのある果実味、香り‥とも言えるかもしれません。まろやかにもなる‥うーん、旨いなぁ。温度だな‥温度。味が濃く感じ、余韻も長くなる。十分な旨味がそう感じさせる。
三日目です。今宵は寒いので、セラーに放置温度=冷やしておりません。グラスはブルゴーニュ型。二日目同等の色調。香りに瑞々しさ‥白ワインであることを確認する。でも、やはりヴィニフィカート・イン・ビアンコ的ですね。香りはチャーミングなのは相変わらずで、口に含むと、旨味な密度、酸味もじゅんわりとしてて、素直に美味しい。口の中でもチャーミングな果実達が香りで充満し、余韻も長い。温度はヒエヒエから、高めまで、幅広いレンジでそれぞれに美味しさがあるが、それなりに冷やして温度を上げる方が面白いかな。三日目にしても樽っぽさはあまり感じず、近年のヴィエ・ディ・ロマンスらしいのか?それともビンテージ的なものかは不明ながら、果実が主体というのは嬉しいな。また、アルコール感もとてもストレスがなく上手‥。そう、上手だな。さすがです。
やはり魅力的、魅惑的なのがデッシミス。
これ‥実は白なんだよ‥女子にウンチク語りたい(え!?)
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