Dessimis Pinot Grigio 2011 Vie di Romans
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デッシミス・ピノ・グリージョ 2011 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ピノ・グリージョ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するイソンツォDOCに所属するマリアーノ・デル・フリウリのカンティーナ。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい、平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール‥17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならず、イタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。
なんでも‥創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの‥かのカリフォルニアの大規模な生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権云々で1986年に名称の変更を余儀なくされたとか‥。そして、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、葡萄品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと‥。また「テロワールに最も適した葡萄を栽培すること」「凝縮した葡萄を作ること」「完熟期を迎えた葡萄を最高のタイミングで収穫すること」など‥当たり前っちゃー当たり前‥理想と言えば理想‥でも、その理想を具現化できている生産者が少ない中‥こんな当たり前の事を目標に信念に掲げるのが彼‥流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元
に作る‥ある意味、エゴイスティックなワイン達は、確かに、彼のヘンコな一面を垣間みれますし、彼の話‥を聞けば聞く程‥神経質そうな‥几帳面な性格を伺えますが、そのストイックさが作品に表れており、まさに彼のワインなんですね。
■オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏による2011年のビンテージ解説。
2010年の冬から気候の状態が良く、安定した気温と降水量を保ったまま初夏を迎えました。それによってブドウは理想通りに育成し、8月中旬の一週間だけ気温が高くなりましたが、それ行こうも安定した気温と、適度が降雨から素晴らしいビンテージと言えるブドウが収穫できました。2010年に比べてボリュームがあり、アルコール度数も高く全体的に味わいが強い傾向にあります。特に樽熟系のワインはパワフルに仕上がり、出来栄としては2010年を超えると期待していますが、その分熟成を待って頂きたいビンテージです。
「デッシミス」とは"農家の年貢"という意味だそうです‥。いまどき「年貢」なんて単語を聞くのも稀ですが、その昔‥農家は「出来のいい」農作物を奉納しなければならなかった…。つまり「年貢」となるのは「出来のいい作物」なんですね。よってヴィエ・ディ・ロマンスの出来のいいワインとして「デッシミス」という名前となったようです(たぶん)。
ヴィエ・ディ・ロマンス社では比較的大きな畑となります。2006年は30760本、2007年は40491本、2008年は39428本、2009年は不明、2010年は24,954本、この2011年は24,954本と輸入元資料にありますが、2010年と同じはずではないので情報が更新されていないはずです。
そんな7.50haの畑には、haあたり6000本の株密度でピノ・グリージョが栽培されています。植樹は1985年、1999年、2002年。平均樹齢は15年の様子。収穫はhaあたり5853kgとなります。海抜は34m。砂利や小石を含む赤みがかった粘土質の「赤み」は、その色に反映されているのかもしれません。
手摘みで収穫されたピノ・グリージョは、タンクで8度での低温マセラシオンの後、16度〜19度に温度管理されたステンレスタンクでの約20日間の発酵後、マロラクティック発酵は施されず、澱と接触させたままオーク樽(50%が225L、50%が228L)で約7ヶ月の樽熟成後瓶詰め。10ヶ月以上の瓶熟成期間を経てリリースされます。アルコール度数は2009年が15.56度、2010年が14.21度、この2011年が15.00度となります。
2010年は3780円(税込)での販売でしたが、ちょっと値下げ‥お求めやすくなりました。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
コルクは良質の5cm、冷蔵庫キンキン温度、グラスはブルゴーニュ型です。2010年と比較すれば一目瞭然のデッシミスなほぼロゼ色が復活していますね。タマネギまたはカッパーなオレンジがかった色でほぼ‥どころかこれはロゼですね。もちろん透明度があり濁りワインではございませんので‥念のため。
まだキンキン温度ですが、香りがよく出てますね。これは2009年や2010年のやや寸止めな感じとは違う部分。樽香こそ控えめですが、タンジェリンなどの色の濃いオレンジの果汁、同じく色の濃い夕張メロンの果汁、熟れたビワやキンカンのようなとにかくオレンジ色の強い果物のフレーヴァーがたっぷりですね。すでに甘味あるVdR香もありますがどこか新鮮な洋梨、白桃があり、酸味は蜜リンゴっぽい。
香りがとにかく複雑です。
口に含みますと、うおおん!!塊感がありますねーっ!!輪郭に樽のニュアンス、ほんの少しのタンニン。とてもふくよかな果実味で。2010年のようなファジーなニュアンスはなくキッチリと隙間が複雑な要素で埋められており、とてもしなやかに密度が高い。酸味も不足感なく、酸味はまるでブラッド・オレンジ由来なのはチャントンスに似ているかもしれません。
冷蔵庫キンキンですが、ヴィニフィカート・イン・ビアンコ的にキンキンに冷えて感じないのも例年通り。ちゃんと溶け込んだミネラルはあるんですけどね。旨味ある酸味がどんどんと沸き上がってくる。とても味わいは力強く、舌にしつかりと感じます。今宵のワインの肴は若竹煮なのですが、ワカメのヨードと鰹出汁にこれが案外合うのよねぇ。
二杯目は温度を上げつつゆっくりと。うん、あまり温度が上がってきても変化はありませんね。穏やかな波には感じますが、酸味も感じるしユルむことはありません。旨味も穏やかでとても美味。2006年あたりはもっと色も濃かったかと思いますし、溶け込んだ樽、アルコール、独特のVdR香の甘味をもっと感じたかと思います。その当時と比較すればデッシミスもロゼ色とはいえ、香味に瑞々しさを感じるようになりましたね。ただしこの2011年はそんな瑞々しくフレッシュさも感じさせますが、いわゆる濃い味、味わいがしっかりと感じられるんですよね‥香りもしかり‥となります。
二日目も冷蔵庫キンキン、グラスはブルゴーニュ型です。色は初日よりもピンクがかったように見えますがきっと錯覚です。冷蔵庫キンキンですが、注いでいる端から白桃やピンクグレープフルーツの果肉入りヨーグルト、赤い八朔の香りが広がりますね。口に含みますと、ミネラルが若干金属的なのはデッシミスならではですし、この2011年は柑橘の酸味と、その濃いオレンジ色の皮の香味、苦味がアクセントになっています。その柑橘の酸味や苦味がフレッシュさなんですよね‥その昔はワイン単体でも‥なスタイルでしたが、この2011年は食事とも合わせたい‥そんなワインなんです。
温度が上がってうくるとほんのりと樽やVdRらしさも感じますね。全体的にシャープな印象もあるのは、やはり柑橘の酸かな‥余韻もとても長くて以前のようなヘンテコリンな個性は控えめに感じますが、セパージュワインとして(ドレエもね)よく出来ていますね。
三日目はあえて冷やさず、グラスはオヴァチュアです。色調はオレンジを帯びたサクラ色っぽくなってきましたね。甘味のある香り、穏やかに酸化し始めたリンゴ、洋梨や白桃もあるのですが、酸味とほのかな苦味がクッキリと出るのでやはり柑橘主体ですね。
新情報では15%は新樽とのこと。それは確かに感じなくもないが、それほどでもない。樽での発酵や、マロラクティック発酵を止めてからの新しいスタイルにデッシミスも移行したのを感じますね。ただ、香味自体は相変わらずですし、デッシミスはデッシミスなんですけれども、見せ方が変わった‥そんな感じでもありますね。特にこの2011年は他の銘柄も柑橘の風味や酸が前面に出ているビンテージなので、なおさら、ピューレっぽさやマロな感じが控えめに感じるのかもしれません。
とはいえ、まずは色調からデッシミスの特異性をヒシヒシ‥今年は全体の傾向として柑橘風味と、それを連想させる酸が強めに感じますね。でも、デッシミスはデッシミス‥素晴らしい個性は今年も健在です。
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