Sottomonte Sauvignon 2012 Ronco del Gelso
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ソットモンテ・ソーヴィニョン 2012 ロンコ・デル・ジェルソ
《イタリア/フリウリ/白/ソーヴィニョン/辛口》
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州はコルモンス地区も素晴らしい生産者の宝庫。協同組合なカンティーナ・プロドットーリ・コルモンスはもちろん、リヴィオ・フェルーガやボルゴ・サン・ダニエーレもコルモンスだ。
現在のオーナー兼エノロゴはジュリオ・バディン氏。元々はブドウ栽培農家だったそうだから、それこそ協同組合に卸していたか、この地での比較的大きな生産者となると前述のリヴィオ・フェルーガ、日本では見かけないがアンゴリスという生産者かも。
自社瓶詰めを始めたのは1988年、イソンツォ川の支流であるアルテ川近くに畑を所有しており、痩せた小石混じりの土壌。土壌の個性を生かすために、肥料はほんの少しだけとのこと。
「うちはオーガニック、ビオデナミや何とか(失礼)ではない。かと言っておざなりにワインを造っているということでは全くない。環境へのわずかなインパクトしか及ばさない栽培や醸造のテクニックを使わないことには意味は見いだせない。これは醸造学校で習ったことで、純粋に農業であり、自分にとって宗教的なものではない。
例えば、害虫にはフェロモン剤を使う。銅剤は6kg/haしか使わないし、敏感な品種には一切使用しない。ボトリティス菌の殺虫剤はずっと使っていない。ピート由来の天然肥料は使用する。除草剤は1,5リットル/haのみ使うけど、殺ダニ剤は一切使用せずダニには天然の天敵を使う。水をセーブするために点滴灌漑を行う。畑は自分の庭みたいに大事に手入れするんだ。
醸造においては培養酵母、硫黄、ベントナイトは使うけど他は使わない‥自分が目指すワイン醸造への見解を損なうことなく、全てが自分の知識や経験、思慮分別を通して得て来たテクニックなんだよ」
現在約25haのブドウ畑から、8種類の白ワインと、1種類のロゼ、2種類の赤、1種類のパッシートを醸しているが、そのパッシート以外は、コルモンス地区のあるゴリツィア県のフリウリ・イソンツォDOCを名乗る。
ジェルソのワインの個性は明白。もちろん、その品種特性の表現も巧みだが、樽熟成の有無に関わらず、異次元の密度の高さ、オイルのような粘性。単一品種、混醸に関わらず果実や花の香味は立体的で複雑。フルボディで強さを感じますが飲み飽きしない‥。実は皆さんが(も)求めていたフリウリワインはこのジェルソでは?
haあたり5700本の株密度でグイヨで仕立てられる「R3.242,277,108」というクローンのソーヴィニョンブラン。まず12〜18時間のコールドマセラシオンの後、ソフトプレスで搾られたモストは19度に温度管理されたステンレスタンクで培養酵母を用いての発酵。マロラクティック発酵は行われず2500リットルの大樽で12ヶ月の樽熟成後瓶詰め。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ボトル形状は撫で肩のいわゆるブルゴーニュ型となりますが肩部分に「GORIZIANA」の凸モールドがございますのでイソンツォDOC(ゴリツィア県)の共通瓶のようですね。ピエモンテ州のアルバ地区の「ALBEISA」の共通瓶と同じくマーケティングを兼ねたコストダウン策という感じかな。ロンコ・デル・ジェルソの(表)ラベルはどこかの高級チョコレートメーカーのパッケージのような洒落たもの。
詳細な情報(たいしたことは書いてない)はすべて裏ラベル(ちょっとショボい印刷なのが残念)となります。コルクももう少しがんばって欲しい4.5cm。冷蔵庫キンキン温度、グラスは樽熟成ソーヴィニョンということや高めの度数もありでヴィノムのボルドー型を選択。表記のアルコール度数は14.5度となります。
樽熟成されたソーヴィニョンらしいやや濃い目のレモンイエロー。グラスからはいわゆる猫のおしっこ系ハーブの香りがソーヴィニョンらしく、レモンキャンディーの香りを伴います。香りからも厚みを感じますが、ミネラルや酸味も感じますので暑苦しくはありません。熟したアプリコット、すこしパインっぽさもありますね。樽はあまり感じませんが、この厚みこそが樽由来なのかもしれません。
口に含みますと、とても輪郭がまろやかで、少し苦みを伴うハーブの香りがとても複雑。どこか、イタパセや東洋のハーブを思わせる香りがとてもいいですね。果実は甘過ぎずにとてもよいバランス。余韻もとても長いです。フリウリはソーヴィニョンもいいんですよね。この周辺地域の生産者は口を揃えてソーヴィニョンを薦める傾向にある(語弊あり)。どこかに樽は感じてますね。まろやかな部分‥決してヨーグルとまでは言わないけれども。旨味もあるんだけれども、旨味のある爽やかさなんだな。
温度が上がってくるとなお旨い。白い花、山椒?山椒なの?香しくも懐かしいスパイスの香りが上がってきます。ようやくこの温度でジェルソらしいやわらかな果実‥オイリーな飲み口が出てきますね。そう、温度が上がると猫のおしっこ系は控えめ、どこかハーブ系と、軽いカスタード(ここが樽なんだと思うけどね)が前に。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのボルドー型。間違ってレモンキャンディーを食べてしまった猫のおしっこは変わらず。よく香りが出ていますね。樽熟成させたソーヴィニョンですが、どこかハーブや柑橘の要素が清々しさを演出してくれ、重過ぎないんですね。香りの強さ、メリハリさ加減はジェルソらしくとてもいい。簡単‥という意味とは違う分かりやすさがありますね。複雑な香味もハッキリと感じます。
口に含んでからも、重過ぎず‥でもしっかりと果実を感じます。ほんのりと苦みがあり、旨味をキレイに運ぶ酸の質の高さったらない。樽熟成させたソーヴィニョンはあまり好みではないのですが、GAJAのアルテニ・ディ・ブラッシカとともに好きな樽ヴィニョンですね。
その猫のおしっこが強過ぎないんですよ。あくまでも食中酒を選びたいので、ソーヴィニョンらしい個性としてそれがあってもいいわけですが、中高生の頃は猫を飼ってた身としては、その比喩に理解もできるわけで、そればかり‥だとちょっと辛いんですよね。
温度が上がってからも美味しい。ほんとジェルソは樽熟の方のバランス感覚がとてもいい。そこがジェルソの不思議でもある。樽熟成させたものの方が樽由来のものがドーンと個性として感じそうなものだが、樽熟成させたものこそ高次元でバランスを取るんです。
三日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはサイズを落とさずにヴィノムのボルドー型のままで。この樽ヴィニョンも初日からそうは変わらない。どこかレモンキャンディーというかレモン味のラムネのような軽やかな柑橘、キンキン温度だと猫のおしっこは控えめかな。とてもまろやかになってきました‥めっちゃ旨いじゃないですか。旨味もあるんですが、どこかシャリシャリとしたシャーベット状の洋梨も爽快。余韻も長いですねえ。少し苦みのあるのがいいよね。冷や汁にミョウガ入れた感じ。
素晴らしいコスパある樽ヴィニョンに仕上がってます!
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