Kepos 2006 Ampeleia

トスカーナ州の赤

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■ ケポス 2006 アンペレイア
《イタリア/トスカーナ/グルナッシュ、ムールヴェドル、アリカンテ、カリニャーノ、マルセラーノ/赤/フルボディ》


トレンティーノを代表する赤ワインといえば‥テロルデゴ種からなるフォラドリのグラナート‥ですね。そんなトレンティーノで名を馳せたフォラドリの現当主‥エリザベッタ・フォラドリ女史が、仲間とスタートさせた新しいプロジェクトがこのアンペレイア‥トレンティーノではなくトスカーナ、単一葡萄品種ではなく、多数葡萄品種からなる新しい試みなのです。

エリザベッタと意を共にするのは、ワイン愛好家の二人‥ジョヴァンニ・ポディーニ氏と、トーマス・ウィドマン氏‥まだ彼らの素性は明らかではありませんが、ワイン愛好家‥でワインが造れるのであれば‥俺も造りてーよっ!!まぁそれなりに‥懐具合も余裕のある方々なんでしょうね‥^^; 生産者としての経歴はありません。

そんな彼らが、なぜトスカーナなのか‥エリザベッタはもとより、二人の愛好家もアルト・アディジェの住人にも関わらず‥。

そんな三人が集まったのは、なぜかニューヨーク。お互いがワインに求める理想のスタイルは‥「地中海らしさのある、なめらかな絹のようなワイン。」という共通項に辿り着きました。そして、「じゃ‥作っちゃう?」となるところが素晴らしいですね。

普通はこう考える‥まず土地があり、その土地にあう葡萄品種を考え、植樹、栽培しワインに仕立てる。しかし彼らは、目標とする地中海を感じさせる‥高貴で調和の取れたワインを造るために‥まずは、栽培したい葡萄品種からその葡萄品種に適した土地を探し初めました。

彼らが栽培したいと考えた葡萄品種は、地中海の雰囲気を持つ、南フランスやスペインの葡萄品種だったんですね。

そして彼らの理想郷となったのが‥トスカーナ州はマレンマだったのです。マレンマと聞けばティレニア海に程近いイメージもありますが、アンペレイアが生まれるロッカストラーダ地区は、スヴェレートとモンタルチーノ‥どちらが近いか?と問われれば後者な、シエナから南西に向かった位置、海からは30km内陸に所在します。海にも近いことは地中海らしい葡萄品種を栽培するのに適しているはず‥しかしそれだけではない感覚を‥この土地を選んだエリザベッタは感じたんでしょうね。

まずエリザベッタが着目したのは、カベルネフラン。もちろん、マレンマは、トスカーナということもあり、基軸はサンジョベーゼなわけですが、カベルネフランを軸としたワイン造り、構成を思い描いたようです。

マレンマ地区には、モレッリーノ・ディ・スカンサーノDOCGがあり、海抜600m〜700mの丘陵地帯‥エリザベッタは、この地域の高度、日照量、土壌、気候を徹底的に研究しました。特に、古代ローマ時代には、マレンマは石炭と鉄鋼の鋼業が盛んな土地で、その土壌には、それらに由来する多分のミネラルが含まれていることも解りました。

畑は、かつてスイス人の実業家が所有していた土地で、葡萄品種にあう土地を買い増しして行く方法で畑を広げました。よって、アンペレイアが所有する畑は、マレンマ地区に点在する‥という特殊な形態となっています。

特に、アンペレイアは標高700Mの丘に三つの大きな畑を所有しています。畑は標高別なっています。そして、それぞれの畑に合う葡萄が栽培されているのです。


・アンペレイア・ディ・ソプラ畑
 
標高450m〜650m。内陸と海洋の両方の影響を受ける土地。一番標高の低い土地で、この土地は、かのフランコ・ベルナベイ氏が見つけたものです。粘土質で水分を多くく含む。
カベルネフランのみを栽培。

・アンペレイア・ディ・メッツォ畑

標高280m〜350m。粘土質で小石の多い肥沃な土壌。
サンジョベーゼ、カリニャン、グルナッシュ、アリカンテを栽培。

・アンペレイア・ディ・ソット畑

標高230m。温暖な気候、ミラノ大学と共同研究のための畑も。火山質。
グルナッシュ、アリカンテ、ムールヴェドル、マルセラン、サンジョベーゼを栽培


彼らがワイン生産を始めた理由からもわかるとおり、彼らの目的はマレンマ地区にありながらも「典型的なトスカーナのワインを造るつもりはない」ということです。確かにサンジョベーゼも栽培し、2004年のアンペレイアでは25%ブレンドされていますが、それは、味わいの目標である「シルクのようなエレガントなワイン」のためであり、トスカーナらしさを求めたのではない‥ということです。

実は、アンペレイアでは、7種類の葡萄品種の他に、一種類‥メルロが栽培されています。実は、その畑の前の所有者であった「メレータ」が栽培していたもので、樹齢が20年におよび、樹勢も強く、非常に状態が良かったからエリザベッタの判断で残したそうです。ただし、アンペレイアにブレンドされるわけではないですが‥。

醸造するのは、まだ20代前半というマルコ・タイトという若きエノロゴです。各葡萄品種、区画ごとに醸造し、新樽比率40%のバリックで16ヶ月の樽熟成を経ます。スーパートスカーナではなく‥スーパー地中海‥そんなワインです。

なお、ラベルにデザインされているロゴは、この地域で発見された、古代トスカーナのコインがモチーフになっているそうです。海の神であるネプチューンを模し、二頭のイルカが描かれています。地中海なワインを目指すアンペレイアにとって、ぴったりのロゴになりました。また、ラベル下にある縦の短い線は、葡萄品種の数を表しています。アンペレイアにいは7本、ケポスには5本となっています。そして最下段の3色の横線は、三人の友情と、三つの主となる畑を表しています。

そんなアペレイアが醸す、第二のワインがこのケポスなんですね。

リリースされるまでは、そんなアンペレイアのセカンド的なワイン?と、想像していたこちら‥きっと、アンペレイアに回らなかったカベルネフランとサンジョベーゼの若木から造られるんだろうという想像は‥

いとも簡単に覆されたっ!!

なんと、グルナッシュ、ムールヴェドル、アリカンテ、カリニャーノ、マルセラーノの5品種構成という‥フラッグシップであるアンペレイアの補助品種だけで構成されたのが、このケポスっ!!

もちろん、フラッグシップであるアンペレイアは素晴らしいワインなのですが‥個人的には、このケポスを推したいっ!!こんな葡萄品種構成なイタリアワインは他にないんでは?いや、他にないから薦めるわけではなく‥きっと、このワインを模倣するワインが出てくるのでは?と思わせるほどの完成度!!

実はこのケポス。アンペレイアのセカンドではなく、通常はカベルネフランを栽培するような標高の低い場所に専用畑を設け、そこでケポスになるべく栽培している5種類の葡萄のみて醸されます。

各葡萄品種は、コンクリートとスチールのタンクの併用で12ヶ月の熟成が施されますが‥これがまとまっとる!!5種類もの葡萄品種を使っているにもかかわらず‥チグハグさは皆無‥それは、アンペレイアの目指すところの‥シルキーなワイン、調和のとれたワインを具現化したものなんですっ!!この飲み口の感覚‥きっと初めてなはずですよ!!




独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味




バックラベルに表記のアルコール度数は14度。ラベルのフォント色と同色の、キャップシールの濃い朱色もいいですね。コルクは並質の4.5cmとなります。今回は、とりあえずヴィノムのボルドー型とブルゴーニュ型で飲んでみますね。

透明度のあるキレイなガーネット色で、エッジは見る角度によって若干紫からピンクなグラデーションって感じかな。樫というよりも杉な木質な香りは樽由来ですが、ほどよく甘味を感じさせるヴァニラのふんわりとした香りです。完熟してやわらかくなったイチゴ、赤いブルーベリーのピューレ、完熟ラズベリーを寒天で固めたゼリーのような香り。基本的にベリー系盛り沢山で、それぞれにやわらかさ‥を感じます。しかし、そのやわらかさが‥緩さに感じないのは、飲めばわかる酸なんでしょうね。

赤く濡れた白胡椒、赤色のメントス…香りからも、このワインのエレガンスを感じますね。ボルドー型だと、ミネラルを感じるチョーク系の香りが強くでますが、ブル型ですと果実味がキレイに真っすぐに感じられますね。

口に含んでみますと‥舌に滑り込む‥そう滑り込むという感じがぴったりな表現なシルキーな果実味が広がりますね。舌先や、前歯の裏上下、そしてその脇に当たる感じが、ほんとシルキーでエレガントですね。南仏な感じの葡萄品種主体ですが、野蛮で雑で荒っぽいかも‥みたいなイメージも少なからずあるのですが、ほんとにエレガントなワインです!!

タンニンと酸味‥いずれも綺麗に溶け込んでますね。決して太くはないが、細くもない‥でも、ツーっと細く伸びてるように感じる‥。音色で表現するとピアノの音に近いですね‥軽く右手を右のほうに伸ばした感じの高い音の鍵盤をトーンンンン‥‥‥と叩いた感じかな‥エコーでもこだまでもなく‥トーンと伸びる音に近いですね。

ボルドー型で口に含むと、ブル型よりもボディを感じますね。でも、やわらかさは共通だし、シルキーさも共通。もう少し、しっとり感があるかな。まぁどちらで飲んでも美味しいですね。ただ、グラスからの香りならブルゴーニュ型かな‥飲み口はボルドー型の方が‥うーん、どっちでもイイ!!

余韻の伸びもイイですねぇ。ほんと、キレイでエレガントに伸びる。繊細さもあるが、萎縮はしていないし‥素晴らしいワインだなぁ。こんなセパージュで、これほど完成度の高い、均整のとれたワインになるなんて‥完全に唯一無二ですね。香りはこれで全開だと思います。この感じのワインはきっとそう。控えめに感じるかもしれませんが、ペルカルロ同様‥これが、このワインの全開状態のはず。うーん、このはんなりした感じ‥好きだなぁ。

それは、南仏っぽい葡萄品種構成という先入観からなのか?どこか開放的で、のほほんとした感じに似た‥ひょっとすると、これを緩い‥と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、万が一、緩い‥と感じたら、いやいや‥西野嘉高はこれを、やわらかい‥と言ってたな‥と思い出して下さい。そして、このワインは優しいです。非常に優しいワインです。まったく疲れません‥無理強いされないんです。だからといってワインの自己主張が弱いわけじゃないんですけどね。

いいなぁ。和み‥癒し‥このケポスに感じますね。初めて会ったのに、すでに幼馴染みの領域ですね。こんなスタイルのワインって‥なかったのよね。本当は、こんなワインを求めていたのかもしれない‥と思わせる。

ようやく二杯目(実質、三杯目ですが‥)は、ボルドー型に注ぎました。香りが濃くなってきたかな。口に含む‥おいしい‥美味しいわぁ。ほんと無駄がないですね。めちゃくちゃ複雑ってわけでもないんですが、無駄がない。でもシンプルで単調‥という意味でもないんです。シルキー、やわらかい‥という表現と、緩い‥抜け気味なんて表現は紙一重かもしれませんが、それほどギリギリのライン、いや、俺にとってはギリギリではないんだが‥そう思われる可能性のある‥ほどの繊細な感じの癖に、実はそうでもないんだなぁこれが‥(←何いってんだか‥)

エレガントなワイン‥生産者達はよく自身のワインの表現に、この魔法の言葉を使いますが‥それがエレガントに思えた事例は‥案外少ない。しかし、このアンペレイアが自身でエレガント、シルキーを表現するのがまさにぴったし!!目指しているスタイルを忠実に表現できていること…素晴らしい生産者ですね!!

二日目です。初日からやさしい酒質を考慮して、ヴィノムのボルドー型か、オヴァチュアで悩みましたが、ヴィノムのボルドー型です。二日目ならでは‥色が深くなってきましたね。グラスからはラズベリーのチューイングガムな香りが可愛いですね。

カワイイよ‥カワイイよ‥ケポス、カワイイよぉ。

口に含む‥というよりは、ほんとシュルシュルーっと入ってきますね。シルキーさは二日目も健在。研磨剤のような細かな粉っぽさも実はあるんですが、均整のとれた球体なので、さらにそれでシュルシュル感が加速してますね。いい意味で、力が抜けてるなぁ‥全身マッサージしてもらった後‥みたいな感じね。二日目は‥馴染みまくって、一体感があります。5種類もの葡萄品種がブレンドされているようには思えないほど‥。そういう意味では、複雑さは初日だけどね♪

まぁ一応‥フラッグシップとして、アンペレイアというワインがあるわけですが、このケポスの方が、シルキーさでは上ですね。初日からイキナリ美味しい状態なのもイイですね♪

実は、輸入元の展示試飲会で飲んだときは、もっと南仏ぽいなぁ‥でもラングドックとかじゃなくって、綺麗なローヌあたりの‥って感じだったのですが、やっぱり一本通して飲んでみないとダメですね。めっぽいイタリアワインの雰囲気があるんですが、(特に綺麗な酸味はね♪)新しいね‥このシルキーさと、やさしさは、画期的です。

三日目です♪いいですねぇ。この三日目の状態。(←どうなんだよ!!)いや、まぁ‥飲んでもらえばわかるかな。(←いやいや、それを伝えるのが仕事だろ‥)うーん、やっぱシルキーやわ。まったくストレスを感じさせないですね♪このスムーズな感じ‥ぜひ味わって下さい!!ある意味‥画期的ですよ♪

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