Latimis 2014 Ronco del Gelso
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ラティミス 2014 ロンコ・デル・ジェルソ
《イタリア/フリウリ/白/フリウラーノ、リースリング、ピノ・ビアンコ、トラミネール・アロマティコ(極少量)/辛口》
フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州はコルモンス地区も素晴らしい生産者の宝庫。協同組合なカンティーナ・プロドットーリ・コルモンスはもちろん、リヴィオ・フェルーガやボルゴ・サン・ダニエーレもコルモンスだ。
現在のオーナー兼エノロゴはジュリオ・バディン氏。元々はブドウ栽培農家だったそうだから、それこそ協同組合に卸していたか、この地での比較的大きな生産者となると前述のリヴィオ・フェルーガ、日本では見かけないがアンゴリスという生産者かも。自社瓶詰めを始めたのは1988年、イソンツォ川の支流であるアルテ川近くに畑を所有しており、痩せた小石混じりの土壌。土壌の個性を生かすために、肥料はほんの少しだけとのこと。
「うちはオーガニック、ビオデナミや何とか(失礼)ではない。かと言っておざなりにワインを造っているということでは全くない。環境へのわずかなインパクトしか及ばさない栽培や醸造のテクニックを使わないことには意味は見いだせない。これは醸造学校で習ったことで、純粋に農業であり、自分にとって宗教的なものではない。
例えば、害虫にはフェロモン剤を使う。銅剤は6kg/haしか使わないし、敏感な品種には一切使用しない。ボトリティス菌の殺虫剤はずっと使っていない。ピート由来の天然肥料は使用する。除草剤は1,5リットル/haのみ使うけど、殺ダニ剤は一切使用せずダニには天然の天敵を使う。水をセーブするために点滴灌漑を行う。畑は自分の庭みたいに大事に手入れするんだ。
醸造においては培養酵母、硫黄、ベントナイトは使うけど他は使わない‥自分が目指すワイン醸造への見解を損なうことなく、全てが自分の知識や経験、思慮分別を通して得て来たテクニックなんだよ」
現在約25haのブドウ畑から、8種類の白ワインと、1種類のロゼ、2種類の赤、1種類のパッシートを醸しているが、そのパッシート以外は、コルモンス地区のあるゴリツィア県のフリウリ・イソンツォDOCを名乗る。
ジェルソのワインの個性は明白。もちろん、その品種特性の表現も巧みだが、樽熟成の有無に関わらず、異次元の密度の高さ、オイルのような粘性。単一品種、混醸に関わらず果実や花の香味は立体的で複雑。フルボディで強さを感じますが飲み飽きしない‥。実は皆さんが(も)求めていたフリウリワインはこのジェルソでは?
合計約2haの様々な畑で栽培されるブドウの混醸。フリウラーノとトラミネールはhaあたり4,500本、ピノ・ビアンコとリースリングは5,700本の株密度。それぞれグイヨで栽培されています。ソフトプレスで搾られた各モストは19度に温度管理されたステンレスタンクでの培養酵母での発酵。マロラクティック発酵は行われずにタンクでの熟成が施されます。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味(2013年の毒味です)
ボトル形状は撫で肩のいわゆるブルゴーニュ型となりますが肩部分に「GORIZIANA」の凸モールドがございますのでイソンツォDOC(ゴリツィア県)の共通瓶のようですね。ピエモンテ州のアルバ地区の「ALBEISA」の共通瓶と同じくマーケティングを兼ねたコストダウン策という感じかな。ロンコ・デル・ジェルソの(表)ラベルはどこかの高級チョコレートメーカーのパッケージのような洒落たもの。詳細な情報はすべて裏ラベル(裏はちょっとショボい印刷なのが残念)となります。
キャップシールは昨年のモノよりも良くなりました。コルクは0.5cm短くなりましたし、質はまあソコソコもうちょっとがんばって欲しい。冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのボルドー型(昨年はオヴァチュアです)。表記のアルコール度数は13.5度と昨年と同じ。
透明度はしっかりありますが、それなりに黄色味のある色合い。若いながらもあまり緑の要素は射しませんね。2012年同様にトラミネールの香りがアロマティックに最前列。黄色い花と、おしろい、フレッシュなパインのような南国系フルーツも新鮮ながら、バナナのピューレのようなニュアンスもある。グレープフルーツなどの柑橘もありすでに複雑さが楽しい。ゲヴェのようにジンジンしないのがいいですね。
口に含みますと甘味を伴う旨酸っぱさが口の中に広がりおいしい。酸味がなかなかシャープに感じるのは温度も関係するかもしれません。まだオイリーさが出る温度ではありませんが、スキのない密度があり軽さはありませんね(重さもないが)。
エキスぃという意味ではなく味わいをしっかりと感じ、クッキリとしていますね。クリアなミネラルもあり、目鼻立ちクッキリ系。2012年ほど苦みはまだない。少しハーブなニュアンスがスパイス。
ああ、少し苦みにも似た酸味がある。柑橘のようそは真っ黄色だが、その苦みに似た部分はブラッドオレンジの皮のよう。最前列がトラミネールであることに変わりはないが、決して出しゃばるわけではない。まだまだ時間や温度で色んな要素が出て来るかと思うととても楽しみ。
やっぱ混醸の白っていいよねえ。
いやあ旨い。ラティミスほんと旨い。
甘味も強過ぎるわけではなく、しっかりと酸味を感じドライな飲み口。少し温度を上げましょう。
まろやかさ、フリウラーノやリースリングのオイリーな部分が出てきましたね。でもペトロール香っぽさは控えめかな。なめらかに感じるのは酸味の角をオイリーな皮膜で覆う感じね。それにしても味がしっかりしてる。ほんの少しの白桃、洋梨。
2012年の毒味を読み返すと、2013年は2012年ほど塩系のミネラルは控えめ。ミネラル系の厚みも同様ですが、柑橘な酸味を伴う果実味の味わいがしっかりクッキリが特徴です
ね。
二日目も冷蔵庫キンキン温度、グラスはヴィノムのボルドー型。昨年はオヴァチュアで通して飲んだわけだが、ジェスソの場合はもう少し大振りのグラスでもいいと思うのである。ただ、初日に飲み過ぎたようで白の場合は温度も上がってからの二杯目も検証したいのに二日目の一杯目は量が控えめなのである(俺バカ)。
トラミネールの香りは落ち着いてきた。さほどフリウラーノでもないしピノ・ビアンコでもない‥かといってリースリングでもないのだが、うまくまとまった柑橘がアロマティックに力強い香りを放っています。香りからもオイリーさが伺えますね。オリーブオイルに柑橘のフレーヴァーを足したもの。味わいはやはりしっかりとした果実味と酸味を感じてとてもおいしい。
昨年はもう少しメロンや洋梨の風味も感じたようだが、2013年は柑橘と溶け込んだ南国のフルーツ。後者に関してはオイリーさともリンクするんだと思う。透明な寒天のように弾力のあるミネラルもいい。
少し温度が上がった二杯目は格別。味わいとともにしっかりとした旨味に酸味がジューシーに溢れ出る。溢れ出るという作用に果実の香味が乗っかってくるから口の中で広がる広がる。
三日目はオヴァチュアにグラスをサイズダウンしてみた。もちろん冷蔵庫キンキン温度。混醸の利点は、時間や温度で表情が変わることだが、このラティミス2013年の場合、三日目でも初日とそう印象は変わらない。グラスに入れてからの時間経過も同様。変化を感じるとすれば温度上昇によるものが顕著。
混醸らしい複雑味がないわけではない。すでに複雑な状態を時間が経って保っている。ほんと味わいがしつかりしている。酸味、ミネラル、そして味わいがクッキリ。まるでフォトショップでシャープネスをかけたようだ。
目鼻立ちクッキリ系の愛らしい白、2013年も超絶オヌヌメです!
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