San Lorenzo Chianti Classico Gran Selezione 2010 Castello di Ama
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キャンティ・クラッシコ・グラン・セレツィオーネ・サン・ロレンツォ 2010 カステッロ・ディ・アマ
《イタリア/トスカーナ/赤/サンジョヴェーゼ80%、マルヴァジア・ネーラ、メルロ20%/フルボディ》
1972年の創業‥当主となっているロレンツァ・セバスティ女史の夫で醸造家を勤めるマルコ・パッランティ氏は1982年から参画したそうです。ガイオーレ・イン・キャンティ地区の優れた生産者であるのはご存知の通り。メルロからなるラッパリータを代表とする国際品種からなるワインも醸していますが、単一クリュを名乗るキャンティ・クラッシコは歴史が古いですね。
2010年からは若樹で醸される"AMA"という名前のついたCCがリリースされていますが、アマの伝統的なCCは"Castello di AMA"という名前を名乗ります。しかし、後者はすでに公式サイトから消えていますので(ヴェロネッリ誌には2009年が掲載のまま)今後はCCGS三種類以外は、CCのみとなりCCRに空きができるか、もしくは新しいCCまたはCCRが誕生する可能性もあります。CCGSのリリースのタイミングでラインアップが刷新され、まだその過程と考えた方がいかもしれません。
CCGSに関しては生産者の中でも賛否両論の様ですが、マルコ・パランティ氏はなんせキャンティ・クラッシコ協会の会長さんですからリリースは決まっていたようなものですが、まさか80年代に名乗っていたクリュのひとつ「サン・ロレンツォ」を復活させるとは思っていませんでした。
また、アマの最高峰といえば、そんなクリュを名乗るCCですが、日本市場での希望小売価格も二万にもなるワインが、協会として最高峰に位置づけるCCGSどころかCCRも名乗っていたなかったわけで、少なくとも2011年ビンテージからはCCGSのラベルが貼られているのを確認しています。ただし、瓶熟成期間を含めてCCGSを満たしているワインですから時期2008年か2009年のリリースからCCGSを名乗ってくる可能性もあります(未確認)。
サン・ロレンツォは単一クリュというよりもガイオーレ・イン・キャンティにアマが所有する畑の地域名的なもののようです(生産本数も少なくありませんしね)。とはいえ、一部のブドウ樹は1974年と1978年に植樹されたhaあたり3,000本の株密度の古い畑のものも。1996年から順次植え替えられている区画はhaあたり5,300本の株密度とのことです。アマにとっては軸となる区画なのかもしれません。
なお、ベッラヴィスタはサンジョヴェーゼ+マルヴァジア・ネラ、カスッチャはサンジョヴェーゼ+メルロとなりますので、キャラクター的には前者に近いのかもしれません。なお、将来的には現在CCしか名乗らないベッラヴィスタやカスッチャもCCGSを名乗ることになるようです(2015年のChianti Classico Collectionにて2011年のそれらを出品したようです)。
それぞれのブドウは手詰みで12kg入りのボックスで迅速に収穫されます。30度から32度に温度管理されステンレスタンクで個別に発酵。発酵期間中はポンプオーバーの処理が施され香味を抽出します。21日から22日間の発酵や醸しが終了したモストはマロラクティック発酵が施されブレンドされます。新樽比率20%の1年落ちのバリックで12ヶ月の熟成後瓶詰めされます。瓶熟成期間を含め合計30ヶ月以上の熟成を経てCCGSの規定を満たします。
DOCG法のおさらい
CCGSは自社畑のブドウのみ‥という規定があるということは、CCやCCRは契約農家からのブドウや、まあ、正直桶買いなんかもあるわけで。
CCは収穫年の翌年の10月1日から消費が可能。つまり今年(2015年)の10月1日以降は2014年産のCCが飲めるっことだ。
CCRは収穫の翌年の1月1日から起算して24ヶ月の経過(≒熟成)が必要となる(うち樽熟成期間最低3ヶ月)。となると2014年に収穫したブドウは今年(2015年)1月1日から起算すると2017年の元旦以降に消費が可能となるわけです。
CCGSは収穫の翌年の1月1日から起算して24ヶ月の経過(≒熟成)が必要となる(うち樽熟成期間最低3ヶ月)。となると2014年に収穫したブドウは今年(2015年)1月1日から起算すると2017年7月1日以降に消費が可能となるわけです。
ということは‥この2010年のCCGS・サン・ロレンツォは、2010年に収穫され、2011年の1月1日から起算して、2013年の7月1日以降から消費が可能となったわけですね。
また、熟成期間となるとあたかも樽熟成期間を思いがちですが、収穫後発酵期間や、瓶熟成期間も含めますし、このワインのように最低30ヶ月の熟成期間の内、樽熟成期間は12ヶ月というワインも少なくありません。その分、しっかりと瓶熟成期間に費やされて規定を満たしてからのリリースとなりますが、バリックでの熟成となると、18ヶ月や24ヶ月もの樽熟成期間は長過ぎるという場合も少なからずということになります。
特にアマは瓶熟成期間の方が長めな生産者とも言えますね。ベッラヴィスタやカスッチャでも公式サイトも2007年が掲載されていますし、ヴェロネッリ誌も2007年のまま‥ですね。また、このサン・ロレンツォはラベルデザイン的には、ベッラヴィスタや、カスッチャとほぼ同じデザインが奢られますが、後者の平均年産が6,000本から7,000本に対して、このサン・ロレンツォは95,000本(ヴェロネッリ誌調べ)となりますから、立ち位置は少し違うと言えるでしょう。それに応じて価格も悪くない価格だと思いますよ。というかベッラヴィスタやカスッチャはとても買えるお値段ではありません。なお、CCR(2009年)が一番のボリュームゾーンのようで約180,000本の生産本数となります。
この2010年はヴェロネッリ誌2015年度版は92点(G.B.)。ワインスペクテイター誌95点となり、2014年度のTOP100の6位に選出されています。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
ラベルはベッラヴィスタやカスッチャ同様のデザイン。向かって右上角に2014年度判のスペクテイター誌TOP100で6位でっせーな丸いシールがダサいが我慢する。アマらしいオリジナルボトルは重量がありますね。肩部分には凸モールドも。シルバーノキャップシールには、新しいDOCGのシールですが、CCでもCCRでもCCGSでも特にデザインや、各クラス名が明記されているわけではなさそうです。コルクはなかなかの質の4.5cmで年号入り。グラスはとりあえずオヴァチュアで。なお表記のアルコール度数は13度ってのがアマらしいね。
思ったほどドロドロに濃い色合いではなく、健全な明るさと透明度を持ち、エッジの赤がキレイですね。ベッラヴィスタと彷彿とするマルヴァジア・ネーラが効いた香り。少し枯れを感じながらも湿ったスミレ、果実香はすぐにやわらかさを感じ、重さを感じさせない密度がしなやか。どこか樹海な腐葉土がマルヴァジア・ネーラかなあ。
口に含むととてもふんわりとしている。香り同様にやさしさがあり、密度に不足感がない‥と逆説で表現したくなる密度の高さ。しんみりとした旨味がすでにあるバランスもいい。
ああ、発酵温度の高さを感じているのか、それともタンクは開放型なのか?時と場合によって、そこにネガティブに感じさせるワインもあるが、グラスの中でどんどんと純度が増す。やわらかさばかりではない鉛筆の芯のような香味のニュアンスがあるが、やはりやわらかさがあり「B」あたり。
二日目もオヴァチュアです。グラスからの香りにようやく硬さを感じるミネラル香。何も初日がふにゃふにゃの骨抜きという意味ではない。飲み口のやさしさは初日同様だけれども初日よりもミネラルな構成感がある。張りというのかな。余韻にほんのりとロースト香に樽を思わせ、表面からも甘味ある果実香が増してきました。
断然二日目のまとまり、バランスに惹かれますね。しんなりと、沁みるようなスタイルは初日同様ですが、キャンティ・クラッシコという枠を逸脱してない、とても王道なスタイルが読み取れます。その20%の副原料の内、メルロがどれくらいの比率かはわかりませんが、正直、今時のCC(R)でサンジョヴェーゼがDOCG規定ギリギリの80%というのは低めの数字。100%も珍しくありませんからね。
とはいえ、グラスの中で解れますね。硬さにも感じたミネラルがとてもプルりんと。そういう意味でも若い内から飲める状態でもある。ただ、これは熟成しないという意味ではなく、しっかりと熟成期間を経てからリリースされたわけで、ある意味当然でもありますね。
三日目もオヴァチュア。二日目を思いだすようなミネラル香のあとに、ほんのりとしたヴァニラを伴う樽香。完全に溶け込んだ果実味で、まるで生チョコレートのような口溶け感がある。いい意味で凸凹がないので、まさにスムースに飲めてしまう。
浸透するようなやさしく沁みる酒質は女性的にすら感じますね。
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