Flors di Uis 2013 Vie di Romans
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フロールス・ディ・ウィス 2013 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/マルヴァジア・イストリアーナ45%、リースリング・レナーノ40%、フリウラーノ15%/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するマリアーノ・デル・フリウリ地区はイソンツォDOCエリアとなります。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクマを持つテロワール。17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならずイタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。ジャンフランコが三代目‥次は息子さんが四代目となるそうです。
創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの、カリフォルニアの大規模なワイン生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権の兼ね合いで1986年に名称の変更を余儀なくされたそうで、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、ブドウ品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと。また「テロワールに最も適したブドウを栽培すること」「凝縮したブドウを作ること」「完熟期を迎えたブドウを最高のタイミングで収穫すること」な、当たり前のことを当たり前に‥に向かって邁進する生産者。
流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に毎年生み出されるワイン達。何度かご一緒させて頂きましたが、本当に偉大さを感じる人物ですね。そこには包容力もあるわけですが、自身の目標や探求へのストイックさをヒシヒシと感じます。とても几帳面でブレない‥見習いたいものですね。
2009年からの樽発酵やマロラクティック発酵の廃止、リースリングレナーノ単一のプリン・フリートや、メルロからなるロゼのチャントンスの生産終了もあり、転換期にあると言え、それまでのスタイルとの差異は少なからず感じて当然ですが、思想としては進化をたどっているはずなんですよね。
イソンツォDOCエリアは北緯45度から46度、日本でいうと最北端である稚内あたりとなります。この地区は平地で海抜も30m前後ながら「北」であることや、大陸性気候と地中海性気候の両方を併せ持つこの地区だからこその要因も多数でそのひとつにロシアから吹き付ける冷たく乾いた風"ボーラ"が平地ながら滞留を興さずに冷涼な気候を保っています。
また徹底的に酸化を防ぐ醸造も彼ならでは。除梗の段階から極力酸化を防ぎ、発酵が始まるまではドライアイスの粒を混ぜることで酸素を寄せ付けません。またタンクには窒素を充填することで酸化を防ぐ徹底ぶる。酸化を防ぎきった果汁は、ブドウの粒の中味と同じ色、香り、味を持つそうです。
■オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏による2013年のビンテージ解説。
2013年は全般的に気候が安定をしており、収穫自体も非常に良く、出来上がったワインは品種別にしても良好でした。結果、糖度と酸度が十分に高く、ワインの熟成面のポテンシャルも高いです。近年では2009年、2011年と同じレベルでヴィエ・ディ・ロマンスとしても良い収穫年です。特にオーナーのガッロ氏が自信を持ってお薦めするのは、樽熟成をさせている、ヴィエリス ソービニョン、ヴィエ・ディ・ロマンス・シャルドネ、デッシミス、です。若い時はパワフルさを感じていただけますが、各ワインのポテンシャルが非常に高く、熟成も期待できるヴィンテージとなります。
■熟成樽に関する追加情報
ヴィエ・ディ・ロマンスが使用する樽の容量は225Lと228Lの二種類。樽の製造メーカーによってブルゴーニュタイプである228L容量の樽と、ボルドータイプである225Lの樽を併用しているそうです。元々ヴィエ・ディ・ロマンスではブルゴーニュタイプの228Lの樽を使用したいたそうですが、樽メーカー(ダルジュ、バロン)がブルゴーニュタイプ(228L)の樽の製造を止めてしまい、以降はその樽メーカーからボルドータイプ(225L)の樽を購入することになったので、熟成に使用する樽の容量が複数あるようです。
なお、現在ヴィエ・ディ・ロマンスのワインの熟成に使用されている樽のメーカーとタイプは下記の通り。なお、3Lの差はワインに及ぼす影響はないとのことです。
・タランソ :ブルゴーニュタイプ
・セゲンモロー:ブルゴーニュタイプ
・ダルジュ :ボルドータイプ
・バロン :ボルドータイプ
「フロールス・ディ・ウィス」とは「花の香り」という意味。単一品種からなる個性と、らしさ溢れる酒質が魅力のヴィエ・ディ・ロマンスのラインナップの中でドゥトゥンと、このフロールス・ディ・ウィスのみ混醸となります。このフロールス・ディ・ウィスに混醸される品種は三種類。セパージュ比率はビンテージによって異なる可能性がありますが、マルヴァジア・イストリアーナ主体。今年はリースリング・レナーノの比率が高いですね。
合計の畑の面積は3.88haで、1987年、1995年、2001年に植樹された平均樹齢20年の樹は、ボキス、チャンパニス、ヴィエ・ディ・ロマンスの畑で栽培されており、砂利や、小石を含み、鉄分を多く含む赤味がかった砂質のシルト質土壌だそうです。haあたり6000本の株密度、海抜は29m〜34mの畑で収穫されたブドウで醸されます。
フリウラーノ→リースリング→マルヴァジアの順番に収穫されたブドウは、約8度でのコールドマセラシオンの後、16度〜19度に温度管理されたステンレスタンクで澱と接触させたまま16から25日間のアルコール発酵。マロラクティック発酵は行われずにステンレスタンクで澱と接触させたまま約8ヶ月の熟成後、9ヶ月の瓶熟成となります。生産本数は約20,000本。
アルコール度数は2008年が14.4度、2009年が14.86度、2010年が13.9度、2011年が14.4度、2012年は14.42度、この2013年は14.00度となります。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
お馴染みのラベルデザイン。バックラベルに表記のアルコール度数は14度となります。2013年は二本目ですが、近年のヴィエ・ディ・ロマンスは生コルクとディアム社製の圧縮コルクの併用でしたが、このフロールス・ディ・ウィスに刺さるコルクはディアム社製の5.5cmという長い圧縮コルク
ワインは冷蔵庫キン温度、グラスはヴィノムのボルドー型です。透明度があり、すこし緑がかったレモンイエロー。レモンキャンディの香りは決して軽目ではない。少しジンとする黄色いハーブ。中から高音の甘味ある香りがありミネラリーではあるが、香り同様に酒質も軽めではないように感じる。レモンピールのシロップ漬け、レモンバームのヒント。この2013年はリースリングが多いわけだが、フリウラーノのオイリーさが厚みに感じるのかもしれません。
まずは口に含みます。厚みがあり、輪郭にフレッシュな酸味と塩分。豊富な酸味が隅々まで行き渡り、グレープフルーツの果肉のつぶつぶを這うようでもある。香りよりもしっかりと酸味を感じ、ドライに終息する。膨らみ、厚みもあるのだが、重くさせない良質の酸味がある。冷蔵庫キンキンの一杯目だが、香味ともに開いている。
終盤に少しの苦みを伴う。思ったよりもフラワリーという華やかさよりも、柑橘の果実と酸味が前にある。少し温度が上がると白い花の香りも上がってきますね。確かにフリウラーノさは今年は希薄かな。リースリング・レナーノとマルヴァジア・イストリアーナの個性、まあ安定していますな。品種構成に誤差はあったも安定のステン仕上げの混醸モノ。
二日目も冷蔵庫キンキン温度。柑橘香とすこし花の香り。初日よりもリースリング感が増しています。旨酸っぱいチャーミングな酸味がとても新鮮ですが、少しだけ石油香も感じられる。構成が酸味とミネラルなんだけれども、ミネラルの質がとても良くなった。2009年から造りときっと思想が変更になってから‥この2013年はビンテージの影響もあるんだろうけれども最高の出来栄じゃないかな。構成感があり、小さく感じさせないミネラルがあるので平べったくないんです。立方体。
今年は柑橘に丸みがある。白桃や洋梨汁ぶっしゃー的ではなく柑橘主体なんだけれどもミネラルの角が丸いんだな。キンキン温度から、萎縮することなく香味は開き、温度が上がってもなお開いている状態。ただし、この2013年は一本気な気質。三種の品種の混醸に一体感、まとまりがあるので、例年ほど複雑に感じないかもしれない。ただしそれはネガティブなものではなくよくまとまっているということ。
三日目も冷蔵庫キンキン温度。グラスもヴィノムのボルドー型と変わらず。2013年のヴィエ・ディ・ロマンスは異端のデッシミスに引き続きの二本目ですが、これまでも抜栓後ヌケやユルみなど感じさせませんでしたが2013年はさらにミネラルを主軸とした構成感が揺るぎない。二日目にも感じましたが例年よりも一本気な完成度で時間や温度による変化は少な目ですが、フリウラーノの構成比率の低さと、リースリングの構成比率の高さは思う存分楽しんで頂けると思います。酸などは柑橘ですが、全体的にリースリングな白の装いで熟れた感じではないのも好感が持てますね。
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