Langhe Nebbiolo 2008 Bartolo Mascarello
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ランゲ・ネッビオーロ 2008 バルトロ・マスカレッロ
《イタリア/ピエモンテ/赤/ネッビオーロ/フルボディ》
1922年…祖父によってアジェンダが設立されました。バルトロ・マスカレッロが自身のバローロを醸したのが1961年のこと。そして2005年に惜しまれつつ他界。その志‥その頑なな姿勢、スタイルは、長女のマリア・テレーザに引き継がれました。
その「造り」は、古典派、クラッシックと形容されます。時代に流されることなく、昔から守り続けていたブドウ栽培や醸造を頑固に守り続けているのです。現在所有する畑は合計約5haと小さなもので、その(ネッビオーロの)畑はカンヌビ、サン・ロレンツォ、ルーエ、ロッケの四カ所となります。確かに、単一クリュ名を名乗ることは、そのテロワールの具現化という意味では理解しやすいわけですが、バルトロ・マスカレッロは、単一クリュ名でバローロは醸造していません(大昔にカンヌビをリリースしていた歴史あり)。
誰もが単純にカンヌビの名を冠した単一クリュのバローロを‥と思いがちですが、バルトロの考えは‥カンヌビの畑は特別に日照に恵まれているがゆえに、暑過ぎるビンテージには、それがかえってマイナス要因になりかねない…とのこと。
単一クリュのビンテージによるブドウの不出来を、その他の畑からのブドウで補う‥という考え方があり、単一クリュ名は冠さずとも、村名バローロDOCGとして、そのビンテージを表現し、そのビンテージの最良のものを‥という意思の表れだそうです。もちろん、様々な畑からのブドウをブレンドすることは、より複雑さを醸し出すことにも寄与しているとも考えられます。
昨今では、単一クリュ名を名乗るワインは少なくありません。村名はスタンダードクラスで、上級なラインとして単一クリュ。スタンダードものよりも高くなってますけどね‥。しかし、それはそれで‥西野嘉高的には否定はしません。より、その単一クリュの特性が表現され、村名より美味しいのであれば‥その価格差は当然とも言えますからね(でも、決してそうであるとは思えないものも‥が実情ですよね)。
合計5haとはいえ、何もネッビオーロのみが栽培されているわけではありません。ネッビオーロはカンヌビが1ha、ルリエとサン・ロレンツォが0,38ha、トリリオーネ(ラ・モッラ)が1haとなります。バルベーラは0,7ha、ドルチェットは0,77haの記載がありますので、残りはフレイザ他となりそうです。
では、醸造に目を向けてみましょう。(あくまでも、今はそのバローロの話です)伝統的なセメントの発酵槽は温度管理をしません。発酵中は毎日のルモンタージュが行われ期間は約15日から20日間そして熟成中は樽の移し替えが行われます。発酵終了後にバローロの場合は3年もの熟成を経ますが、最初の一年は1回から2回、二年目と三年目には年に1回の樽の移し替えを行います。澱引きを兼ねており、移し替えに際に空気に触れさせることで、ゆるやかな酸化を促すわけですね(澱引きは熟成期間中に二回のみの情報もあり)。
そして瓶詰。通常は三年後の冬に行うのが一般的だそうですが、バルトロ・マスカレッロでは半年遅い夏に行います。寒い時期の瓶詰めは、塩が固形化して浮遊するためフィルターが必要になる‥バルトロ・マスカレッロでは、フィルターをかけることで失われる要素がないように‥との配慮のようです。
では、樽熟成に関して、もう少し言及しておきます。熟成に使用されるのは、バリックでもフランス産のオークでもなく、スラヴォニア産の大樽(ボッテ)で行われます。バリックでの樽熟成を頑なに嫌がった生産者としても知られていますね。
ただ、西野嘉高的には単一クリュか?混醸か?と同様に、バリックで熟成されたバローロを否定するつもりはありません。生産者の思想はそれぞれ尊重したいと思いますし、多様化は決して悪いことではないし、そのビンテージによって醸造や方法が変わるように樽材、樽の大きさも‥変わる、違って当然ですよね。要は飲んでみて「過ぎないこと」の確認です。
晩年、足を不自由にしたバルトロは畑に出る事ができずに、一部ボトルに手書きラベルを付けていたのも有名なエビソードですね。特に「NO BARRIQUE NO BERLUSCONI(バリックとベルルスコーニはお断り)」なんて書かれているほどなんですね。手書きラベルといえば‥ロマーノ・レヴィと、このバルトロ・マスカレッロ‥どちらも頑固なオヤジ達でした。ただし、そのラベルのオプション料金をどこまで出せるか‥かもしれませんね。
バルトロ・マスカレッロのランゲ・ネッビオーロもそのバローロ同様に混醸。毎年決まった比率かは不明ですが、約半量はカンヌビの畑からのネッビオーロとなります。いわゆるセカンドということになりますね。そのバローロの熟成ポテンシャルは計り知れませんが、ランゲ・ネッビオーロも同様に硬く、かなり先のあるワインとなります。
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