Dessimis Pinot Grigio 2010 Vie di Romans
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デッシミス 2010 ヴィエ・ディ・ロマンス
《イタリア/フリウリ/白/ピノ・グリージョ/辛口》
フリウリ州‥スロヴェニアとの国境沿いの街、ゴリツィアの西に位置するイソンツォDOCに所属するマリアーノ・デル・フリウリのカンティーナ。祖父の代から100年もの間、ガッロファミリーの手によって守られたその土地は、水はけのよい、平らな土地で、海と山の両方から吹く風に恵まれるミクロクリマを持つテロワール‥17歳で家業を継いだ現オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏は、同地区のみならず、イタリアの生産者が一目置き、イタリア最高の白ワインの生産者として最も尊敬され信頼される‥「北の巨人」と形容される人物です。
なんでも‥創立以来「ガッロ」と名乗っていたものの‥かのカリフォルニアの大規模な生産者である「(EJ)ガッロ」との商標権云々で1986年に名称の変更を余儀なくされたとか‥。そして、現在の「ローマ人の道」という意味のヴィエ・ディ・ロマンスになったそうです。
彼の考えるテロワールとは「人間、土地、気候、葡萄品種」であり、その中でも最も重要なのは「人間」であるとのこと‥。また「テロワールに最も適した葡萄を栽培すること」「凝縮した葡萄を作ること」「完熟期を迎えた葡萄を最高のタイミングで収穫すること」など‥当たり前っちゃー当たり前‥理想と言えば理想‥でも、その理想を具現化できている生産者が少ない中‥こんな当たり前の事を目標に信念に掲げるのが彼‥流行の醸造法や、市場に流されることなく、彼がその地で得た知識、経験を元に作る‥ある意味、エゴイスティックなワイン達は、確かに、彼のヘンコな一面を垣間みれますし、彼の話‥を聞けば聞く程‥神経質そうな‥几帳面な性格を伺えます‥しかし、彼の作品を飲めば‥ただの趣味、わがまま‥では済まられない素晴らしい作
品であることに間違いありません。
オーナーのジャンフランコ・ガッロ氏による2010年のビンテージ解説。
総体的に考えて2010年は気温が低く、雨の多い年。このようなヴィンテージは89、92、96、98、05年が当てはまると思う。しかし、出来上がったワインはこれらの年と完全に異なり、思っている以上に良いワインが出来上がった。理由は、収穫期のブドウの選別の結果が本当に良い影響を及ぼした。
ブドウ自体のボリュームは、果実味の強さは無いが、バランスの良い素晴らしいワインとなっている。果実味本来の味が強く出ていて、品種の特徴が良く分かる年でもあり、自分としては満足の出来る収穫年と位置づけている。
2010年ヴィンテージから、全ての白ワインでマロラクティック発酵無しとなりました。(ドゥトゥンは2009年よりマロラクティック発酵無し)
無しとなった理由は、オーナーのジャンフランコ氏は自分が思っている以上に熟成が進んでいたり、味わい自体に疲れを感じることがしばしばあったり、その遠因がマロラクティック発酵に有ると考えているから。その点を改善するためにこの決断へと至った。
樽発酵からステンレス発酵へ変更
これまで「ヴィエ・ディ・ロマンス・シャルドネ(樽)」「ヴィエリス・ソーヴィニョン」、「ドゥトウン」は樽での発酵を施していたがステンレスタンクでの発酵に変更となりました。
そう、今年からのヴィエ・ディ・ロマンスは新しい道を歩みだした‥と、言っても過言ではないでしょう。これまでのスタイルとどこが共通で、どこが変わったのか?決して楽なビンテージではなかったと思われる2010年‥だからこその変革をぜひ楽しんで下さいね!!
お馴染みのラベルデザインとブルゴーニュ型ボトルとなりますが、この2010年はキャップシールトップに鶏マークがございます。バックラベルには「生産者の意向により瓶内の空気を極力減らす為、通常に比べコルク下いっぱいまでワインが充填されております。その為、通常よりも温度変化に敏感で、わずかな温度変化によってもワインが液漏れする恐れがありますので取扱にはご注意下さい。冷暗所での保存をお勧めしております。」と注意書きがございます。
「デッシミス」とは"農家の年貢"という意味だそうです‥。いまどき「年貢」なんて単語を聞くのも稀ですが、その昔‥農家は「出来のいい」農作物を奉納しなければならなかった…。つまり「年貢」となるのは「出来のいい作物」なんですね。よって、ヴィエ・ディ・ロマンスの出来のいいワインとして「デッシミス」という名前となったようです(たぶん)。
ヴィエ・ディ・ロマンス社では比較的大きな畑となります。2006年は30760本、2007年は40491本、2008年は39428本との情報。昨年までの情報では、畑の面積は5.95haと記載していましたが、2008年の情報では7.50haとなっています。2007年から約1万本の増産となっていますので、そのタイミングで畑が増えたのかもしれません。
そんな7.50haの畑には、haあたり6000本の株密度でピノ・グリージョが栽培されています。植樹は1985年、1999年、2002年。平均樹齢は15年の様子。収穫はhaあたり5853kgとなります。海抜は34m。砂利や小石を含む赤みがかった粘土質の「赤み」は、その色に反映されているのかもしれません。
手摘みで収穫されたピノ・グリージョは、タンクで8度での低温マセラシオンの後、16度〜19度に温度管理されたステンレスタンクでの約20日間の発酵後、澱と接触させたままバリックで約7ヶ月の樽熟成後瓶詰め。9ヶ月以上の瓶熟成期間を経てリリースされます。2009年のアルコール度数は15.56度でしたが、この2010年は14.21度、生産本数は24,954本とのこと。
独断と偏見に満ち溢れた極主観的毒味
キャップシールの素材が変更になっています。コルクは良質の5cm、冷蔵庫キンキン温度、グラスはブルゴーニュ型です。カッパーな銅色が過る、オレンジ色が挿すあくまでもレモンイエローであるのは、明らかにロゼ的な色合いだった2009年との違いを感じるが、いずれにせよ、ちょっと変な色であることは間違いない。ただし、透明度はバツグンで汚れがないのが嬉しいぞ。
2009年同様、開ききらないどこか寸止め感のある香り。樽に由来するヴァニラっぽい香りがとてもやわらかい。冷えてないタンジェリンオレンジの搾り汁、相変わらずの夕張メロン汁、熟したビワ、どこか金属的高音の香りも相変わらず。おおおおお、スワリングしてたら色が深くなってきたわ。缶詰のサクランボのブヨブヨな感じ、要素は相変わらずで個性的だなぁ‥うんうん。
口に含みますと、うん、輪郭‥表面に樽を感じた後に、しっかりと果実の密度を感じつつもミネラルを忘れてはいない。圧倒的ではないが、十二分で揺るぎがない。そのミネラルに固さと構成を感じつつも、やわらかで、いい意味で曖昧な果実達のやさしい膨張が密度を感じさせるが、隙間は感じさせない。酸に不足感はないものの、この2010年は、どこか天然でファジーな部分が面白い…ボーっとしてて可愛い女の子‥。決して的は外れてないのだが‥。
色の濃い柑橘の果実味主体。ブラッドオレンジ的でもある。香りには酸をあまり感じさせないメロンっぽさもあるのにね。含んだ香味からどんどんと樽の要素は薄らいで行く。2009年との違いと共通点‥2008年に似てるかなぁ。2009年と比較すると薄く感じるかもしれません。マロ発酵も止めたそうですし、まぁデッシミスは元々樽発酵はさせていなかったようですが(たぶん)、キレイで‥透明度が増したことが薄くなったと感じるかもしれません。
二日目、冷蔵庫キンキンブルゴーニュ型。やはり2010年の色調は2009年よりは赤味は強くない。ただし、注いでから‥ちょっと‥どんどん色が深くなるのが面白い。ネガティブな例えだけれども、リンゴが酸化してゆくように‥。樽由来のヴァニラの香りがふんわりとしたかと思うと、初日同様の果実達の競演‥初日よりも香りは(この温度でも)しっかりと開いて感じるのが嬉しい。ほぉ、味にも深みがでてきましたね‥もちろんまとまりも‥。はぁ、二日目めっちゃ美味しいですわぁ。デッシミスの本領発揮‥カクテルでいうところのファジーネーブルの風味、黄桃、白桃、夕張メロン、女子ウケが良さ気だよなぁ。とてもやわらかい果実味、しっかりと裏ごしされたピューレっぽさ、マロやかですよぉ。
三日目、冷蔵庫キンキンブルゴーニュ型。三日目にして、柑橘の要素が夕張メロンを支配した感じ。ただし、柑橘はやはりよく熟したタンジェリンオレンジ的。やわらかな酸味に不足感はなく、三日目でもダレない、ヌケない。三日目はふわりとした樽香も馴染んでますね。
2009年よりは2008年に近い印象。2009年ほど金属的(ヴィニフィカート・イン・ビアンコ的)な部分はなく、夕張メロン風味も2009年ほど強くない、色調も独特の赤味がかった感じは控えめ(それでもやはりカッパーがかった独特の色合いだが)。デッシミスは結構、年号によってその特徴的な色や、香りに共通項はありながらも、どの要素が前面かどうか?がわかりやすいですね。それは、かなり複雑な香味を持っているから‥とも言え、やはり毎年、検証したい興味深いワインなんですよね。この不思議に美味しい‥だからこそ、熱狂的なデッシミスタを生むのかもしれません(私もそのひとり♪)。
ふぅ‥バタースカッチの香りがまた出てきたよ‥。やっぱり面白いな‥デッシミス。
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