Tenuta di Trinoro 2020 Tenuta di Trinoro

トスカーナ州の赤 > Tenuta di Trinoro

アンドレア・フランケッティ

更新履歴 2023/06/05
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テヌータ・ディ・トリノーロ 2020 テヌータ・ディ・トリノーロ
《イタリア/トスカーナ/赤/カベルネフラン92%、メルロ8%/フルボディ》

アンドレア・フランケッティ氏が他界されたのは2021年12月5日ですので、2020年ビンテージの発酵後のセパージュ比率の決定は彼思うところではありますが、熟成後、瓶詰め至るその日は迎えれなかったのだと思われます。ただ、この2020年のイレギュラーなセパージュ比率はカベルネフランをこよなく愛した彼そのものであり、生前に2020年のリリースは通常よりも遅らせるように指示していたと聞けば、もう2020年はやはり彼の手による完成形であることは間違いありません。

そして、例年、公式サイトに記載されていたテクニカル情報的なものは2020年に関してはなく、アンドレア・フランケッティ氏の2020年の記録のみが掲載されています。このことからも、テヌータ・ディ・トリノーロとしても2020年が彼のラストビンテージという解釈なのだと思います。では、フランケッティの没後の2021年以降はどうなんだ‥と思われるかもしれません。収穫タイミングやセパージュ比率の選定など、フランケッティ氏の意思、思いが強く反映されるワインだからこそ、心配にもなりますが、確かに奇才とされた彼を継ぐ者は確実に存在します。フランケッティだったら‥という思いを持ちながらも、新しく進化したテヌータ・ディ・トリノーロが2021年からスタートするんです。世代交代の進むイタリアワイン業界ですが、何もネガティブになる必要はありません。何も確立されたブランドが品質を伴わずに評価され続けるわけではありませんからね。

生前から決まっていたそうですが、この2020年からプリムール市場での販売を止めたことから、大幅に、大幅に(大事なことなので二回書きました)値上がりました。また、フランケッティ氏の日誌のようなものには、2020年の6,000本の生産本数は半減との表現がありますが、公式サイトでは2018年が7,000本、2019年は未掲載ですが、半減というわけではありません。ただ、ここまで極端にメルロを減らせば、いくらカベルネフランが良かったとしても(量は多くなるはず)半減までは、どうでしょうね。生産本数と、実際にリリースする本数には差があります。ましてや2019年まではプリムールで市場に出してたと思うと、本来は12,000本程の生産本数があったとしても新ビンテージとしてのリリース本数は限っていた可能性もあるかもしれません(何を深読みしとるんや)。まあ、生産本数がどやのこやの、今さら希少性を煽るワインではありません。

2020年9月18日
朝早くから外に出て、ブドウ畑に向かう。南風にあおられ、谷に夏がとどまっている。メルロの実をいくつか手に取ったがあまり味はしない。まだ時期が早すぎたか、果実は糖度は高いがフラットな味わい。風は日に日に強くなり、9月30日には果実の房が萎み始めている区画も散見される。風は耳をつんざくようになり、雨はは吹き出すように畑に降る。そんな降雨が三日間ほど続きました。

雨が止むと、気温は低くなり、谷全体が日差しを受け、白みがかっていた谷が少し暗くなったように見えました。ようやく季節が巡ってきたと実感しました。ブドウが乾くまでに二日間待ち、再びブドウ畑で試食をする。ワイナリーから皆んながやってきて、ブドウ畑に立ち、今年初めて味わう熟したブドウの味を堪能しました。

2020年10月3日
メルロは予定通り。2020年の収穫が始まりました。すばらしい果実が収穫できました。収穫が始まると醸造所は大忙しです。醸造所の担当スタッフ達はとても優秀です。これから収穫が多くなるにつれ、彼らは房をブドウ粒を見極め、手早くタンクに分け、それぞれの区画からのブドウを個別に醸造します。最初のメルロは豊かなアロマを放ち、干ばつを、次に寒さを、そして雨をも乗り越えました。毎朝、収穫担当者が畑に到着する中、私は高台のブドウ畑に足を運び、ブドウを試食します。凍えるように冷たいブドウは、どの区画でも熟していました。ただ、カベルネフランの収穫までにはしばらく時間が必要でした。10月6日まで、薄暗い日差しの中、空から雨がまばらに降る日が数日続きました。

2020年10月6日-10日
カベルネフランの区画で濡れて輝く泥の上を歩くと、ブドウは今、まさに熟しているように見えました。すべての区画で熟成していることを察知しました。寒く、不安定な天候でしたが、収穫担当者達を集め収穫を行いました。大きな雲が押し寄せる中、何日かは光を当ててながら収穫を続けました。カベルネフランの味は日に日によくなりました。一番標高の高い特別な区画の収穫は一番最後でとても重要な区画です。雨の年でもあるカベルネフランは、鮮やかで偉大な熟成をします。9月の暑さ、干ばつ、その後の雨、そして長い日差しが降り注いだ結果です。

2020年12月7日
無事収穫を終えたモストは樽の中で発酵されています。来年(2021年)の2月にどのように発酵を終えるか…を、想像しながら待つのです。

2020年2月19日
テイスティング用のテーブルには二列に並んだ多数のボトルが置かれています。どれも、2020年のブドウを醸造したタンクからのものです。テヌータ・ディ・トリノーロの2020年をブレンドするために、朝からテイスティングを重ね、その中でも最高と思われるタンクからのボトルを6本絞りました。

外はまだ寒く、冬の暗い天候ながらも春から吹いてくる風の息吹を感じます。カベルネフランの4種類のボトルをブレンドし、塩味、凝縮感…2020年のカベルネフランは雨の中を耐え抜いたリッチな甘草のようです。メルロの量を半分にし、そしてさらに半分にする。どんどんとメルロの比率を下げることでワインは力強く、長大なアタックと豊かな余韻を持つようになりました。

メルロの比率を極端に下げたことで2020年のテヌータ・ディ・トリノーロは毎年造るワインの約半分、6,000本に満たない結果となりました。醸造所の研究ラボにある椅子に腰掛け、窓からオレンジ色の夕暮れに染まる畑の雪を眺めながら、少し酔っていることに気づきました。

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トリノーロのアジェンダでは小区画(畝単位)・品種ごとに完熟を見極めての収穫、そしいて発酵や熟成が行われており、最終的にブレンドされるわけですね。その区画や品種、樹齢の都合で最初からトリノーロ向けの区画から醸造される樽ももちろんあるでしょう。

基本的に畑は共通です。サルテアーノ地区でhaあたり10,000本という高い密植で栽培されるブドウは、区画、品種ごとに醸造されブレンドされます。平均樹齢は28年、海抜は450mから600mという斜面に様々な品種、区画で栽培されています。2020年、メルロは9月26日と10月1日、カベルネ・フランは10月9日と10日に収穫されました。

発酵は40hlのステンレスタンクで10日(メルロ)、13日間(カベルネフラン)。新樽のフランス産のバリックでマロラクティック発酵と6ヶ月の樽熟成後、セメントタンクに移されて12ヶ月の熟成を。2022年の3月の下弦期間に瓶詰めされました。

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少し情報をアップデートしておきます。まだおおまかな情報ですので、以降新しい情報が入りましたらまた精査してお知らせするつもりです。2021年末にアンドレア・フランケッティ氏が亡くなった後、どうなるんだ?どうするんだ?誰が?というのは、誰もが疑問に持つところですね。ヴェロネッリ2023年度版には「マリオ・アルベルト・ベンジャミン・フランケッティ」の名前があります。マリオ・アルベルトの部分がベンジャミンと同じかどうかはわかりませんが、アンドレア・フランケティの息子であるベンジャミン・フランケッティが継いでいます。ただ、アンドレア・フランケッティには、ベンジャミンの他に、コディ、ジョルダーノ、バルダッサーラの子が居るそうですが、ベンジャミンが長男であるかどうかはわからないし、長男かどうかなんていうのは古い考えかもしれませんね。ベンジャミンがアンドレアの哲学を受け継ぎ今後とも運営をしていきますが、ブドウ栽培や醸造の責任者は、まだ30歳にもならないロレンツォ・フォルナイーニが勤めます。醸造大学を卒業後するにアンドレア・フランケッティの元で働き、インターン終了後もそのままトリノーロのスタッフである重要あつ、アンドレアの思想を継ぐひとり。また、パッソピッシャーロの関しては立ち上げからヴィンチェンツォ・ロ・マウロ氏が醸造責任者として20年もの間勤め続けており、アンドレア・フランケッティ氏のエトナにおける哲学を継承する人物とのこと。トリノーロに話は戻りますが、2020年から熟成期間を1年伸ばしたそうです。よってパラッツィを始め他のワインよりもビンテージは1年遅れています。これは2020年からプリムールでの販売を停止したのと同様にアンドレア・フランケティの計画とのこと。

2020年のビンテージ情報(その1)
2020年は非常に暑く、干ばつ的な猛暑となりましたが、8月28日と9月2日に恵みの降雨があり、これを機に暑さが和らぎました。秋が訪れ、バランスよくブドウの成熟が進みました。その後も天候に恵まれ、9月27日にメルロの収穫を開始、カベルネフランの収穫は10月10日に行われました。官能的なやわらかさと、非常に長い余韻を兼ね備え、完璧に近いカベルネフランとなったため、2020年はカベルネフランの比率の高いビンテージとなりました。

2020年のビンテージ情報(その2)
4月の春から6月末までは植物活動は順調に、バランス良く進みますが、その後、猛暑が到来しました。7月から8月末まで特に厳しい干ばつ的な天候が継続、8月中旬にはブドウ樹にストレスが掛かり始めました。しかし8月18日と9月2日は恵みの降雨があり、これを機に暑さが和らぎ、秋の気配が訪れバランス良いブドウ成熟が進みました。ご存知のように、テヌータ・ディ・トリノーロは、各ビンテージ最高のワインを造るべくブドウのアッサンブラージュを行いますが、2020年はカベルネフランが92%使用されました。ワインに求めている官能的な美しさや、やわらかさ、また塩分を感じるような長い余韻を兼ね備え、完璧に近いカベルネフランであったため100%に近い数値となりまいsた。メルロを若干加えたのは、フレッシュさと口内にながく留まる果実風味を与えるためです。ワインは優しさと高貴さを持ち、後半の塩気を感じる長い持続性は圧巻です。

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さらに情報のアップデートです。

2020年のセパージュ比率に関して。
(セパージュ比率よりも、その年の天候が味わいに大きく関係している。)2020年はカベルネフランの比率が高いわけせすが、高いからといって、メルロの方が多い場合と味わいの一貫性(トリノーロらしさ)がなくなるわけではなく、テヌータ・ディ・トリノーロらしい凝縮した圧倒的な果実味があり、奥にある酸味やタンニンの熟度、重圧感がしっかりと感じられるワインになっている。とのこと。

テヌータ・ディ・トリノーロは、毎ビンテージ、そのビンテージ最高のワインとしてリリースしています。午前と午後、それぞれの畑の畝ごとにブドウの実を試食し、畝ごとに最適なタイミングで収穫。計40回にも及ぶ収穫作業で得られたブドウは別々の樽で熟成を行い、最終的なセパージュ比率を決定していきます。2020年はカベルネフランが過去1、2の素晴らしい出来だったため、90%以上を占めることになりました(過去にカベルネフランを90%以上使用したのは2011年のみ)。

シュヴァル・ブランとの比較に関して。
アンドレア・フランケッティ氏がシュヴァル・ブランを好み、それを目標のひとつにしていたのはご存知の通り。あくまでもワイン・アドヴォケイト誌のポイントに過ぎませんが、シュヴァル・ブランとの評価の比較をすると‥。

2019年ビンテージまでにテヌータ・ディ・トリノーロがシュヴァル・ブランの点数を超えたのは2013年の一度のみ。2013年のボルドーは非常に難しいビンテージで、シュヴァル・ブランの点数は92点。過去10年で唯一の95点未満だったビンテージとなります。

テヌータ・ディ・トリノーロの2020年ビンテージは97点と2018年や2019年に及びませんが、シュヴァル・ブランの2020年の96点を上回る点数となりました。2020年はボルドーも良年とされています。アンドレア・フランケッティ氏と、醸造チーム総意で最終的なセパージュ比率を決定し、かつ、リリースを遅らせる指示をしていたアンドレア・フランケッティ氏の集大成の言えるべきビンテージになっています。

今後の運営に関して。
アンドレア・フランケッティ氏の息子であるベンジャミン氏がトリノーロ、パッソピッシャーロの当主を勤めています。アンンドレア・フランケッティ氏が亡くなる前から醸造チームでワイン造りに関与していたようです。アンドレア・フランケッティ氏の没後、いくつかの会社からワイナリーの売却の打診があったそうですが、ベンジャミンしは「父が息子のように(息子よりも)可愛がり、手をかけてきたワイナリーを兄弟のように感じており、今後も手放すつもりは全くない(家族を売るようなことはしない)。」とのこと。

畑に関しては現在所有している土地の中でさらに標高の高いエリアに畑を増やす可能性はあるようですが、テヌータ・ディ・トリノーロの生産本数が急激に増えることは考え難いとのこと。ボルドーのトップシャトーでは、収量の約40%をファーストラベルとしてリリースしていますが、トリノーロは終了全体の10%に満たないそうです。

また、パッソピッシャーロに関しては、設立当初からチームを組んでいるヴィンツェントが醸造責任者を務めています。アンドレア・フランケッティ氏が闘病中、身内でも入室が制限されていましたが、ヴィンツェントは入室が許可されれ、今後のワイン造りに関して沢山の細かい指示を聞いているそうです。

テヌータ・ディ・トリノーロに関しても、パッソピッシャーロに関しても、アンドレア・フランケッティ氏が細かなロードマップを伝えていたようですね。それに則って栽培や醸造が続けられますので、今後さらなる高品質を目指すことになりますが、何かが変わるというわけではなさそうです。ご安心下さい。


ワインアドヴォケイト/97点(M.L.)
The flagship wine from Tenuta di Trinoro is this gorgeous blend of 92% Cabernet Franc and 8% Merlot. The 2020 Tenuta di Trinoro follows on the heels of the 2019 vintage that earned a perfect 100-point score. The 2020 vintage is more open-knit for sure, but it offers a very special view onto Cabernet Franc in particular. The plush black cherry softness of the Merlot is aligned magically with the dark intensity and tannic power of the Cabernet Franc. The fruit ripeness is impeccable and there are no green tones, nor are there any overripe nuances. Everything comes together with balance. For the first time, this wine is being released with an extra year of bottle age. 6,000 bottles were made.

ジャンシス・ロビンソン/18++点(J.R.)
Exceptionally high Cabernet Franc: 92% (8% Merlot). Very good vintage but released after Andrea Franchetti’s demise by those who survived him. Harvest: Merlot 30 September to 2 October; Cabernet Franc 8–10 October. 6,000 bottles produced. Velvety purple. Lots of tannin and a much more structured wine than earlier vintages. A slower developer. Tea-leaf flavour. Kept back for a year before releasing it. 15% Drink 2028–2048

ジェームス・サックリング/96点(J.S)
So perfumed with violets and lavender with some currants. Medium- to full-bodied with polish and finesse. Racy and fine. Finesse with drive. Very elegant and straightforward with a racy texture. Very long and lightly edgy. 92% cabernet franc and 8% merlot. Drink after 2027 but already beautiful.

ガベロロッソ/トレビッキエリ

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